目標としていたワールドカップへの道を切り拓くことはできなかった。悔しかった。なにより自分の力不足が悔しかった。だが、それも運命だと受け止めている。すべてが成長の糧になると信じて――。
「今日は取材ですよね。先にクールダウンしてきちゃいますね」と言い、愛くるしい笑顔を見せたのは浦和レッズレディースの不動のボランチ、猶本光だ。そんな彼女の右膝には今もなお、しっかりとテーピングが巻かれている。
昨年11月、クラブとして5季ぶりの優勝がかかるINAC神戸との大一番、前半に起こった接触プレーで猶本は右膝を負傷した。診断結果は、内側側副じん帯の損傷。攻撃では開幕戦から2得点を奪って勝利を呼び寄せ、守備ではアグレッシブかつ献身的なプレーで中盤をけん引したが、歓喜の瞬間はベンチに座ることもできなかった。何かを成し遂げた時の、確かな手応えを得られないまま、猶本の1年は終わった。