THE STANDARD JOURNAL アメリカ通信
▼「国家戦略」として捉えた「移民政策」とは?
みなさんこんにちは和田憲治です。
これまで、日本が取るべき「移民政策」について、「アメリカ通信」では何度も取り上げていますが、ここで一旦まとめておきます。
基本的なスタンスとして「国防」の観点から人口問題を考えてみます。
【日本をとりまく現状】
アメリカの三大戦略地域は、欧州、中東、東アジアです。
その欧州ではウクライナ戦争、中東ではイスラエル・ガザの紛争が始まっています。残るは東アジアです。ここが安全である保証は何もありません。
その場合、日本は中国と台湾問題で対峙しないといけません。短期、中期で中国と日米台が衝突する準備は必要です。「全てアメリカに頼るんだ」というのは論外としておきます。
【軍事費の確保には経済成長が必要】
となると、軍事費の確保が必要ですが、経済成長が必要となります。GDPは人口と一人あたりの生産性によって左右されます。
GDP = 人口 ✕ 一人あたりの生産性
問題は日本は人口減少国家であるということです。しかも、若年層が少なく、労働者人口が決定的に減少しているという点です。人口ボリュームの多い団塊の世代はどんどん引退しているところです。
経済成長はおろか、生活水準の維持すら難しく、低迷するのが予測されます。これでは軍拡を続ける中国に対峙するための国防予算の増加、確保も厳しいでしょう。
「中国も人口減で経済成長が止まっているではないか」という人もいると思いますが、中国はGDPが減ろうと軍事費を縮小していませんし、むしろ増大させています。一党独裁国家である以上、プーチンが勝手に戦争をはじめたように、習近平も戦争を開始できるし、好きなだけ国民から軍事費を巻き上げることができるのです。
現代の日本で、戦前のように生活を切り詰め、軍事費を絞り出すことは不可能でしょう。権威主義国家や独裁主義国家からの侵略に対抗するためには、防衛力の強化が必須ですが、そのためにはまずGDPの維持・成長が必要であり、その条件として、労働者人口を増加するしかないのです。
【労働者人口をどう増やすか?】
岸田内閣は異次元の少子化対策を講じていますが、他の先進国の実例などを見てもかなりそのハードルは高く、政権浮揚のためのパフォーマンス以上の、実質的な効果はほとんど期待できないでしょう。
現実問題として、この政策を議論しようにも「産む機械は差別だー」とか「女性の人権がー」というリベラルたちのクレームに終始してしまい、少子化対策はこの数十年迷走してきました。(ここでは「労働力はロボットがー」という話をする人がいますが、それはおいておきます。)
労働人口を増やすためには、この「少子化対策」を諦めず、議論も政策も試行錯誤を継続することは当然です。しかし、それと同時並行に「移民の受け入れ」も真剣に検討しないと、現代社会を維持するのは物理的に不可能ではないでしょうか?
この極めて難しい問題は「少子化対策」と「移民受け入れ政策」の2つの同時並行しかないのです。
(和田 憲治:https://twitter.com/media_otb )