ヒデちゃん、今年も手紙を書くね。


いつも、たくさんの人たちに夢を見せてくれて、ありがとう。

前へ進む勇気を与えてくれて、ありがとう。


去年のお誕生日に手紙を送った後で、世界中が酷いことになってしまってね。

みんな不安や辛い思いをしながら、毎日を送ってる。

そうだよね、ヒデちゃんも心配してるよね。

僕たちが生まれてから初めて体験する、想像もしていなかったことだから・・・。

でもこんな時だから、いつもよりも素直な気持ちで毎日を過ごして、お互いに助け合うし、大切な人のことも想うし、みんなで一緒になって乗り越えようと頑張るからね、何でもないことのありがたみも感じるんだ。

YOSHIKIもね、音楽家の枠を超えて、ファンはもちろん、世界中の人のことを心配して、できる限りのことをやっている。

YOSHIKIはさ、重要なことと向き会う時にはいつも、ヒデちゃんだったらどうするだろう、って考えるって言っているんだけど、本当にいつもヒデちゃんと会話しているんじゃないか、って思う位に・・・そう、ちょうどあの頃、二人が話し合った後みたいに、ファンのことを何よりも大切に考えて、大きな愛で自分にできることを全力でやってる。

何だかね、不思議な気持ちになるよ。

Xってバンドなのにね。

メンバー同士は本当に命を賭けた戦友のように、お互い深い絆で結ばれてるし、お互いを尊敬してるし、メンバーとファンの関係もね、もうただの「バンドとファンの関係」じゃなくて・・・ファンは数えきれないほどいるのに、お互いが1対1で支えあってる親友みたいで。

ありがとうね、あの頃ヒデちゃんがメンバーとファンに注いだ、優しさが生み出した愛なんだね、きっと。




ほら、あの頃ってメンバー同士もメンバーと僕も、一番大切なことって、なぜか言葉にしなかったでしょ。

あの、言葉にしないで、だけど目に見えない何かで繋がってるっていうのをね、こうやって緊急事態が続く今、僕はすごく感じてる。

とにかく医療を支える人たちに深く感謝していて、現場が大変だから心配もしているのだけど。

12月、誕生日の手紙に書いたように、真由子ちゃんとお別れした時にびっくりするくらい沢山の先生と看護師さん達が泣いてたでしょ。

その真由子ちゃんがずっと医療に守られていて、ヒデちゃんの骨髄バンクドナー登録があって。

それにね、30年前なんかは、ライブで全国を駆け巡る間、いつもメンバーの誰かが怪我をしていたし、僕も何度看護師の人や先生に病状を説明したかわからない。

LAでは、首を痛めたYOSHIKIのためにLA中の医療施設や先生を訪ねてまわったし、「Jealousy」を出してからはライブの現場でいつも看護師の人がそばにいた。

そうやって自分達がいつも医療を支える人たちに助けられてたからなのかな、病気と闘うファンのことを、いつもメンバーは気にしていたよね。

うん、ヒデちゃんはもちろんだけど、TAIJIもTOSHIもYOSHIKIもPATAも・・・みんな気にしていたよね。

そうしてYOSHIKIは今、世の中で大変なことが起きるたびに寄付を続けていて、「COVID-19救済基金」にも「国立国際医療研究所」にも寄付をしてる。




何だか遠いようで、実はちゃんと「目に見えない何かで繋がってる」っていうことがね、僕は最近とても大切なことだって思っていて。

この前も、あの頃の僕が、ヒデちゃんにはプライベートなことを全部話していたんだ、って新しい本に書いたんだけどね、そのことを思い出している時は、やっぱり時間なんか超えちゃって、ヒデちゃんと繋がってるんだよね。

YOSHIKIもヒデちゃんと繋がってるでしょ。

だからライブでファンにその深い想いが伝わる。

そして、ヒデちゃんは今も沢山のファンと繋がってる。

ヒデちゃんが、真由子ちゃんだけでなく、病気で苦しんでいるファンのことを気遣っていたように

YOSHIKIは今、世界中のファンと、不安になってる多くの人たちと繋がってる。

医療を支えている人たちは、苦しむ人たちと繋がっている。

「目に見えない何かで繋がってる」ってすごいことなんだよね。

だって

それって間違いなく

「愛」

だよね。




ヒデちゃん、僕たちはちゃんと気をつけて未来を創っていくから、安心してね。

これからは何もかもが変わってしまうかも知れないけど、 それでも未来を創っていく。

そうしないと、ヒデちゃんから沢山のことをもらった意味がないからね。

大丈夫。

「愛」で繋がってるから大丈夫。




ヒデちゃん、ありがとうね。

ヒデちゃんからもらった優しさで

みんながきちんと繋がってる。

僕も頑張るから。

ヒデちゃん、本当にありがとうね。



2020年5月2日

津田直士


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過去、5月2日に配信されたhideへのメッセージはこちら

2019年 https://ch.nicovideo.jp/tsudanaoshi/blomaga/ar1758710
2018年 https://ch.nicovideo.jp/tsudanaoshi/blomaga/ar1508476
2017年 https://ch.nicovideo.jp/tsudanaoshi/blomaga/ar1257668
2016年 https://ch.nicovideo.jp/tsudanaoshi/blomaga/ar1020434
2015年 https://ch.nicovideo.jp/tsudanaoshi/blomaga/ar782868
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2017年夏、津田直士が寄稿した記事: イミダス時事オピニオン「X JAPANが世界で評価される理由」

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【津田直士プロフィール】音楽プロデューサー/作曲家
Sony Music在籍時に「BLUE BLOOD」「Jealousy」「ART OF LIFE」
のCo ProducerとしてX JAPAN(当時はX)をプロデュース
インディーズ時代から東京ドーム公演までをメンバーと共に駆け抜けた記憶
の一部は、映画『WE ARE X』の中、インタビューという形で語られている。
また、自署「すべての始まり」にはその記憶のすべてが描かれている。