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記事 5件
  • 【梅津瑞樹チャンネル】会員限定 年賀状プレゼント!

    2021-12-01 00:00  
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    梅津瑞樹チャンネル会員の皆様に、
    2022年の年賀状をお届けします!

    チャンネル入会に加え、フォームからの応募が必要となります。
    この機会に是非お申込み下さい!

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  • 「イメージの犬」【梅津瑞樹】

    2020-05-10 18:00  
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    少年は寂しかった。
    何故ならば、彼に兄弟はいなかったし、学校の友人が放課後グラウンドを駆けずり回る頃、彼は一人お受験の為に駅の向こう側にある塾に通わなければならなかったからである。彼は両親からそこそこの期待を寄せられているのを敏感に感じとりはしたが、いつしかそれはしがらみとなって彼をそこそこ苦しめた。勉強は嫌いではなかったが、それでも友達との時間は何ものにも変え難かったのだ。彼は幼いながらも、友人関係においてその繋がりを強固なものとする方法の一つは何事かを共有することだと知っていたし、何よりそうして共有したものには鮮度があり、また足が早いということに焦りもした。
    塾から帰る頃には日が沈み、町はその姿を変えて待ち構えている。塾のある路地には妖しげなドレスを身に纏った女性が立ち並んでいて、少年は何だか目のやり場に困って顔を伏せ、地面にこびりついたガムを数えて歩いたものだった。
    路地を抜けると駅

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  • 「アイデア」【梅津瑞樹】

    2020-05-02 23:02  
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    祈りのパターンは人の数存在する。
    しかし全ての創造者は皆一様にこう一度は祈ったことがあるものだ。
    「嗚呼、神よ。アイデアを与えたまへ」
    声を大にしては言えないが、恐らくアイデアが詰まりに詰まった見えざる釜のようなものがあり、そこから伸びる無数のパイプに我々は一人ずつ繋がれていて、定期的にその供給を受けているのではないか。まるで親鳥が雛鳥に餌を与えるかの様に、神にアイデアの餌付けをされているのだ。
    こうして書くと何やら『マトリックス』における人間乾電池的なおぞましさが匂い立つが、とかく世界は平等である。神も悩みに悩んだ末に開発したシステムであろう。表向きは厳格であるが、反面常日頃からリベラルであることをも推進してきた彼らが如何に平等と自由の狭間で葛藤したかは想像に難くない。しかしその天秤を均衡に保つのもまた彼らの役割なのだ。
    因みに供給されるアイデアは如何なる個人に対しても内容は完全にアト

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  • 「うちざんまい」【梅津瑞樹】

    2020-04-26 18:18  
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    休日を家に篭るようにしてからというもの三週間が経とうとしている。
    ミュージカル『薄桜鬼』の中止が発表されてからこっちなので大体それぐらいだ。
    いそいそとマスクを着けて外に出て、人通りの少ない通りを普段よりゆっくりと歩いてコンビニへと向かう。店に入るとレジには巨大で透明なビニールが垂れ下がっていて、その隙間から店員が窮屈そうに釣り銭を差し出してくる。
    それだけのことで凄くアフターウォーというか、ポストアポカリプスをテーマに街全体が文化祭でもやっているかのように感じる。
    この21日間、上記のように買い出しへと出向く以外、主として4畳半とロフトを往復するだけの日々を過ごしていて判明したのは、僕という主観を中心としたこのミニマルな環境において、こと休日の過ごし方という点に関していえば以前とそう変わらないということだ。悲しいかな。
    引っ越してからこの方雨戸を開けていないので太陽光が一切入らない部屋の

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  • 穴の入り口にて【梅津瑞樹】

    2020-04-10 12:00  
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    この度、梅津瑞樹オフィシャルファンクラブ「梅津の潜む穴」が開設する運びとなりました。
    「ファンクラブ」と聞くと何やらむず痒く、またそもそも「ファンクラブ」というものが自体が実態不明というか、応援してくれる個人をクラブの名の下に一括りにしてしまった途端にその人が不明瞭かつ不透明になってしまう感じが拭えなかったのですが、インターネットを介したコミュニケーションが当たり前なこの時代、その不透明さみたいなものが必要な場所があるのではないか、ただ個であるのではなく、全を介していることをより強く意識した上で個としてあれる場所を用意するのも良いのかもしれないという結論に至りました。
    では、そのような場所に適当なのは、何処か。
    それは「穴」に他なりません。
    ――その穴はどこまでも広く深く、それに伴って暗い。その最奥に辿り着くことはできず、中は互いの顔が判別できないほどの闇。
    しかし辺りから声は聞こえる。確

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