マル激!メールマガジン 2016年8月3日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第799回(2016年7月30日)
5金スペシャル
マル激放送800回記念トークライブ 「何でもあり」への抗いのすすめ
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5週目の金曜日に特別企画を無料でお届けする恒例の5金スペシャル。マル激は2001年2月16日の第1回放送以来、間もなく第800回の放送を迎えるにあたり、7月24日に東京・渋谷のロフト9でトークイベントを開催した。今回の5金はこのイベントの模様をお送りする。
マル激がスタートした2001年2月以降、米・同時テロがあった2001年9月11日までの間、27回の番組を放送しているが、そこでは、手を変え品を変え繰り出される政府による表現規制の企てや、記者クラブに代表されるメディアの構造問題、小泉政権の発足による政治保守から経済保守への権力の移行、靖国参拝問題と歴史修正主義、地球環境と食の安全問題などが議論されていた。そしてその多くは、依然として今も解決されていない。
ところが2001年9月の同時テロによって、世界の流れが大きく変わった。それがマル激の番組のラインナップからもはっきりと見て取れる。同時テロとその後に始まったアメリカによる「テロとの戦い」の名のもとに行われた報復戦争によって、それまでマル激が扱おうとしていた世界や日本が抱えていた問題の多くが、一旦は優先順位が下げられ、水面下に潜ってしまい、テロや安全といった目先の問題への対応が優先されることになった。
問題は問題として直視し、解決していくしかない。しかし、15年にわたるテロとの戦いによって疲弊した世界の市民社会は、もはや15年前の状況とは大きく異なっている。その間、格差は拡大し、中間層は解体され、メディアの堕落は進行するなど、社会全体が大きく劣化してしまった。市民社会は問題に対峙するための多くのツールを失っている。15年前のようにナイーブに一つ一つの問題に真正面から取り組むだけでは、おおよそ問題の解決は望めそうにない。しかし、ここで「何でもあり」のモードに身を委ねてしまえば、世界は堕ちるところまで堕ちることになる。
今回、800回という節目を迎えるにあたり、東京・渋谷のLOFT9 Shibuyaの新規開店に合わせて行われたトークライブでは、15年前の第1回の放送から、何が変わり何が変わっていないのかを検証した上で、なぜ今、われわれの当初の問題意識の再確認が重要な意味を持つのかを、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・15年経っても、手つかずで残った多くの問題
・「われわれ」を維持することは可能なのか
・実現しなかった「新しい公共」と、求められる知識社会化
・『ポケモンGO』ブームが意味することとは
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■15年経っても、手つかずで残った多くの問題
神保: 今回はマル激放送800回記念として、渋谷・ロフト9からお送りします。放送は「5金」の無料回になり、せっかく来ていただいたのに「なんだ、ネットで見られるのか」という話ではつまらないと思いますので、放送部分終了後に、質疑応答の時間を設けましょう。さて宮台さん、僕は800回続いている番組というと、『ミユキ野球教室』(1957~90年、日本テレビ系で放送された野球情報番組)くらいしか思い出せません。800回を迎えるにあたっての率直な感想はいかがですか?
宮台: 神保さんと最初にお会いしたのは1999年、第145回通常国会における盗聴法反対、そのほかにも一連のパッケージになった法律(ガイドライン法制)が持ち上がっていた当時ですね。直感的には、そこから社会はどんどん悪くなっていったな、という感じです。僕は1995年からラジオをやっていて、その意味では週に2回、いわば定点観測的にニュース解説をする場があるのですが、同じことの繰り返しであることがわかる。マルクスは「歴史は繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として」と言いましたが、まさに繰り返すたびにバカげたものになっている。それは犯罪であれ、政治的なイベントであれ、国際的な事件であれ、同じように感じます。
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