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桜井勝延氏:被災地の前市長が語る「現場感覚のない政治に危機管理はできない」
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桜井勝延氏:被災地の前市長が語る「現場感覚のない政治に危機管理はできない」

2020-03-11 21:00
    マル激!メールマガジン 2020年3月11日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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    マル激トーク・オン・ディマンド 第987回(2020年3月7日)
    被災地の前市長が語る「現場感覚のない政治に危機管理はできない」
    ゲスト:桜井勝延氏(元南相馬市長)
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     新型コロナウィルス感染症の広がりや政府の対応に世の中の関心が集中するなか、日本は東日本大震災から9年目の3月11日を迎える。政府主催の追悼式も中止となり、報道もコロナウィルス関連一色に染まる中、被災地はますます遠い存在になっている。
     しかし、そうした中にあっても、3月26日に福島のJヴィレッジをスタートする聖火リレーの準備だけは着々と進んでいる。リレーが予定されている駅周辺は避難区域から解除され、3月14日には常磐線全線開通が予定されている。今まで町全体が帰還困難区域だった双葉町は、まだ住むことはできないものの、駅前と北東部の避難指示解除準備区域だけが4日午前0時に帰還困難区域から解除された。
     震災時の南相馬市長で、避難や復旧・復興の陣頭指揮をとってきた桜井勝延氏は、表向きの見えるところだけの「復興」は、結局は、福島置き去りの発想だと、強い怒りを込めて語る。
     もともと酪農家だった桜井氏は、産廃処分場の建設反対運動をきっかけに、市議会議員、市長という道を歩んできた。市長になった翌年に東日本大震災と原発事故に遭い、市長としてその対応に追われた。情報も入らない中、さまざまな非難を受けながらも、市民の命をまもる立場にあるリーダーとして多くの決断を下さなければならなかった。桜井氏がそこで経験したことは、国も県も政治家も、現場を見もしないでものごとを決定し、責任をとろうとしないという現実だった。
     メディアに関しても同様だったと桜井氏は言う。震災後、市役所の記者クラブが一斉に退避し取材は電話のみだったときに、ユーチューブで桜井氏が発信したことが世界に伝えられ、3月下旬には、海外メディアが防護服を着て取材に来たそうだ。海外から取材に来るジャーナリストはいるのに、日本のメディアがどこもいない様を見て、桜井氏にとっては不思議な気持ちになったという。
     震災から9年が経ち、製造品の出荷額が震災前の8割程度まで戻るなど、着実に復興している部分もある。これは、ひとえに福島のひとたちの努力の結果であることを桜井氏は強調する。
     震災から9年目を迎え、当時、被災地南相馬市の市長だった桜井勝延氏に、震災時、国や東電、メディアは何をしていたのか、また、その後の被災地の状況はどうなっているのかなどを、社会学者の宮台真司とジャーナリストの迫田朋子が聞いた。

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    今週の論点
    ・被災地を聖火ランナーが走る“復興五輪”の欺瞞
    ・“ポジション取り”に勤しむ政治による、被災地への冒涜
    ・日本における「保守」は、ただの国家主義者である
    ・“やってる感”ではなく、実際にやっていることを自信に
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    ■被災地を聖火ランナーが走る“復興五輪”の欺瞞

    迫田: 3月11日で東日本大震災から9年になります。メディアは新型コロナウイルス一色ですが、3.11後の放射線の問題をメディアが繰り返し伝え、みんなが不安に思っていたときと状況が似ているように感じますが、宮台さんはいかがですか。

    宮台: 若干違いがあるとすれば、当時は必ずしも不安を煽りまくるというふうにはなっておらず、「大丈夫、大丈夫」と言っていましたが、いまは逆に人々の不安を煽り、キャッチボールのように不安を増幅させるというマッチポンプになっているような感じがします。いずれにしても重要なのは、科学的・疫学的に妥当なメッセージを発することと、すでにパニックになっている人たちに対するリスクコミュニケーションをどうするのかということが、別物になってしまっていることです。最初の政府からのコミュニケーション、あるいは情報のリリースにおいて、この乖離が生じないようにする必要がありますが、現在の政治的なコミュニケーションは疫学的にも、リスクコミュニケーション的にも妥当ではありません。右往左往している、烏合の衆だという印象を与えています。

    迫田: そんな情報によって、3.11の報道がほとんど埋没してしまっているなかで、マル激では原発被災地の現状について伝えていこうと思っています。ゲストは前南相馬市長の桜井勝延さんです。 
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