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マル激!メールマガジン 2020年3月18日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド 第988回(2020年3月14日)
「バイデンの方がトランプに勝てる」は本当か
ゲスト:渡辺靖氏(慶應義塾大学環境情報学部教授)
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11月のアメリカ大統領選挙に民主党の公認候補として出馬する候補者選びは、有力候補が次々と脱落した結果、ジョー・バイデン元副大統領とバーニー・サンダース上院議員の2候補に絞られた。
出だしのアイオワやニューハンプシャーで大きく出遅れたバイデンだったが、選挙戦から脱落したピート・ブティジェッジ、エイミー・クロブシャーらの民主党主流派候補が相次いでバイデン支持を打ち出したことで勢いを取り戻し、14州で同日に予備選・党員集会が行われる3月3日のスーパー・チューズデーで当初独走態勢にあったサンダースを一気に追い抜きトップに躍り出た。
サンダースが首位を走り始めてからの民主党は、サンダース包囲網のような様相で、各候補や党の重鎮たちがバイデン支持を打ち出している。バイデン支持者たちは、民主社会主義者を自認するサンダースの主張する政策は急進的すぎて、本選でトランプに勝てないことを理由にするが、世論調査では40歳以下の民主党員はサンダース支持がトップを占めている。その一方で、40歳以上ではバイデン支持が圧倒的だ。
アメリカの若者は「ミレニアル社会主義者」と呼ばれるほど、社会主義に対する抵抗感が弱く、またシェアエコノミーとも親和性が高い。加えて大きな格差を生んできた資本主義の欠点を痛感している人も多く、サンダースの主張する政策に違和感を覚えない傾向が強い。
しかし、学生ローンに苦しみながらそれを完済し社会の競争に勝ち残った結果、ようやく余裕ができた中高年にとっては、学生ローンの返済免除や公立大学の無償化を謳うサンダースは、感情的に受け入れにくい面もある。
しかし、中道かつ穏健な政策を主張するバイデンで、本当にトランプに勝てるのか。
今週のマル激は、なぜ民主党はサンダースをそうまで敵対視するのか、エリザベス・ウォーレンはジェンダー差別の犠牲者だったのかなどを検証しながら「バイデンの方がトランプに勝てる」という民主党主流派の主張が本当なのかどうかについて、アメリカ取材から帰国して間もない慶應義塾大学の渡辺靖教授と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・コロナウイルス問題で吹き荒れる、トランプへの逆風
・なぜ“サンダースよりバイデン”なのか
・ウォーレン&ブティジェッジの“エリートゆえの後退”
・果たしてバイデンはトランプに勝てるのか
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■コロナウイルス問題で吹き荒れる、トランプへの逆風
神保: 今日はアメリカから帰国したばかりのゲストの方にお越しいただき、しっかりと大統領選について議論したいと思います。マル激ではおなじみの慶應義塾大学環境情報学部教授、渡辺靖さんです。
実は渡辺さんはアメリカに行かれた後、ヨーロッパにも行かれて、今日羽田に帰って来られました。新型コロナウイルスの影響で下手をすると日本に入れない、ということもありましたね。
宮台: 日本向けの便がなくなってしまう可能性があります。
神保: お疲れだと思いますが、せっかくですからアメリカの様子を伺いたいと思います。選挙戦がメインではありますが、アメリカも日本から1ヶ月、あるいは数週間遅れで同じようなことがおきており、日本と違う理由ですが検査もできず、批判も起こっているということです。またマスクや消毒薬も一斉に売り切れていて、パニックのような状況になっています。今回の新型コロナウイルス についてアメリカで起きている状況について、日本との対比も含めて、渡辺さんはどうご覧になっていますか。
渡辺: やはり大統領選挙と絡めて見てしまうのですが、どう見ても経済にとっていいことはないということです。そうすると、これまで経済実績をひとつの売り物にしていたトランプ大統領にとっては、かなりの逆風が吹くということになります。
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