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マル激!メールマガジン 2021年11月10日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/)
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マル激トーク・オン・ディマンド (第1074回)
なぜ自民がそれほど負けず立憲が負け維新が躍進したのか
ゲスト:小林良彰氏(慶應義塾大学名誉教授)
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この選挙でわれわれは何を選択したのか。
安倍、菅政権によるコロナ対策の失敗などで、下馬評では野党側に有利と見られていた2021年の総選挙は、自民、立憲がそれぞれ議席を減らし、ほぼその分を維新が獲得する結果となった。多少の議席は減らしたものの自民、公明の政権与党が絶対安定多数を維持する一方で、野党陣営全体としては議席を伸ばしたが、リベラル勢力、とりわけ立憲民主党にとっては厳しい選挙となった。
今回も小林良彰慶應義塾大学名誉教授に、選挙後の恒例となった独自の調査に基づく投票行動分析をお願いした。小林教授は全国で4500人あまりの全世代の有権者を対象に総選挙の直前に調査を行い、その投票行動を分析した。
その調査から見えてきたものは、無党派層を取り込めないために党勢を拡大できていない立憲民主党の現状と、政策的には必ずしも支持できないが、政権を任せられるのは自民党しかいないと考えて自民党に投票している有権者が多いことだった。
また、政策面では選挙の争点として景気対策、財政対策、年金、医療などの経済問題をあげた人の割合が5割を越え、コロナ対策と答えた15%を大きく上回る一方で、現在の自公政権の経済政策を支持する人の割合は42%にとどまった。有権者の多くが経済政策を最重視する一方で、現在の政権の経済政策には必ずしも満足していないことがわかった。にもかかわらず、自民党が支持されたのはなぜか。その理由を説明するものとして、政権担当能力の有無については自民党と答えた人が5割に達していたのに対し、立憲民主党と答えた人は6.8%しかいなかったことがあげられる。
小林氏は、政権交代を支持する人の割合や、安全保障面で独自防衛力の強化を支持する人の割合が増えていることなどから、全体的に有権者の保守化の傾向が見て取れるとしながらも、同時に原発再稼働に反対する人や夫婦別姓に賛成する人の割合は過半数を大きく上回るなど、テーマによって従来の右左対立の構図は成り立たなくなっていると指摘する。
特に顕著だったのが、若年層の自民党支持の傾向だ。政党に対する好感度の調査では、10代、20代では自民党に好感を持つ人の割合がそれぞれ50%、44%だったのに対し、立憲民主党に対しては38%と34%と、両者の間には10%以上の差がついた。小林氏は、特に若い世代は、政権時代には震災と原発事故に苦しみ、野党に転落してからは内紛や分裂を繰り返した民主党に対する印象がすこぶる悪い。また、「政権」と言えば、自民党政権しか知らないため、それ以外の政権がイメージできない人も多いと語る。
選挙制度にも精通している小林氏自身は小選挙区制には反対の立場だが、選挙制度がそう簡単には変えられないという前提の上に立てば、現在の選挙制度の下では、立憲民主党、ひいては日本のリベラル勢力は、これまでのような組合依存体質を引きずったままでは到底政権交代は実現できないと語る。日本で最も大きな政治勢力が、「無党派層」ないしは「支持勢力なし」であることは周知の事実だ。であるならば、それを大きく取り込めるような明確な理念と政策、そして個々の議員が日頃の地道な政治活動により、小選挙区制にも耐え得る強固な支持基盤を築いていくことによってのみ、政権交代への道は開けることだろう。
その一方で、なぜ今回、日本維新の会は大きく躍進することができたのか。大阪の地域政党としてはほぼ支配的な地位を確保したかに見える維新が、他の地域までその勢力を伸ばすことは可能なのか。
恒例となった小林氏の研究会の投票行動分析をもとに、この選挙でわれわれは何を選んだのかを、小林氏とジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。また、番組冒頭で最高裁判所の裁判官の国民審査についても、その結果を検証した。
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今週の論点
・下馬評有利の立憲は、なぜ勝てなかったのか
・豊かな時代を知らず、「変化」のリスクを負えない若年層
・理念ではなく組織論で政党を作るから、堂々巡りになる
・維新は参院選でも台風の目になるか
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■下馬評有利の立憲は、なぜ勝てなかったのか
神保: 今回は「選挙でわれわれが何を選んだのか」というテーマでお送りします。わかっていて選んだのか、わからずに選んだのか、ということを含めて議論していきますが、さっそくゲストをご紹介します。慶應大学名誉教授の小林良彰先生です。先生は今回もまた、投票行動の分析をされています。どんな調査なのか一応、最初に確認させてください。
小林: 私が代表をしております投票行動研究会というグループがあり、18歳以上の有権者を対象に、居住地域、都市規模、性別年代などの集団に合わせて調査をしています。
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