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5金スペシャル映画特集:映画が描く「つまらない社会」とその処方箋、そしてつまらなそうな自民党総裁選が問うもの
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5金スペシャル映画特集:映画が描く「つまらない社会」とその処方箋、そしてつまらなそうな自民党総裁選が問うもの

2024-09-04 20:00
    マル激!メールマガジン 2024年9月4日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム https://www.videonews.com/ )
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    マル激トーク・オン・ディマンド (第1221回)
    5金スペシャル映画特集
    映画が描く「つまらない社会」とその処方箋、そしてつまらなそうな自民党総裁選が問うもの
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     月の5回目の金曜日に特別企画を無料放送でお届けする5金スペシャル。今回は久しぶりに映画特集をお送りする。
     今回取り上げた映画やドラマは「地面師たち」(大根仁監督)、「Chime」(黒沢清監督)、「マミー」(二村真弘監督)、「無言歌」(ふるいちやすし監督)、「転校生」(金井純一監督)、「そうして私たちはプールに金魚を、」(長久允監督)の6作品。いずれも社会のつまらなさや異常さ、理不尽さが隠れたテーマになっている作品だ。
     「地面師たち」は土地をめぐる実在する詐欺事件をモデルにした小説を原作としたネットフリックスのドラマシリーズで、われわれがいかに土地所有という概念に取り憑かれ、振り回されているかを物語る作品だ。昨今の都内で所狭しと高層ビルの乱開発が進む背景が垣間見えるところも興味深い。
     「Chime」は、何の変哲もない日常を送っていた料理教室の講師が、不審な行動を取る生徒との出会いをきっかけに、日常のつまらなさを痛感させられるとともに、非日常の危ない世界へと誘われていく様が描かれている。
     「マミー」はこの番組でも繰り返し取り上げてきた和歌山カレー事件を扱ったドキュメンタリー作品で、警察や検察、メディアをはじめとする社会の総意が働いた結果、無罪の可能性が非常に高い林眞須美氏が犯人に仕立て上げられていった経緯が検証されている。警察に検察、メディア、そして裁判所などそれぞれが自分の立場からは合理的と思われる行動を取った結果、明らかに不合理な結論に達してしまう合成の誤謬が巧みに描かれている。
     「無言歌」、「転校生」、「そうして私たちはプールに金魚を、」の3作品はいずれも女子中学生や女子高生が主人公の短編映画で、つまらない社会から抜け出したいと願う若者たちの希望や絶望が描かれている。
     どの作品も現実の社会のつまらなさが描かれているとともに、社会をつまらなくしている原因やそこから抜け出すための処方箋のヒントが鏤められているようにも見える。
     なお、番組の冒頭では、現在の政局を「長老支配」と「安倍(清和会)政治」を終わらせようとする岸田首相の目論見という視点から、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
     
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    今週の論点
    ・人はいかに鈍感なまま社会に組み込まれているか―「地面師たち」、「Chime」
    ・和歌山カレー事件に象徴される失われた日本の正義
    ・ここではないどこかを求める若者たち
    ・「正しく生きる=わくわく生きる」であるために
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    ■ 人はいかに鈍感なまま社会に組み込まれているか―「地面師たち」、「Chime」
    神保: 今日は8月の5回目の金曜日ということで、5金と称して特別な企画を無料放送します。普段はニュースに寄ったテーマを選ぶのですが、5金では映画評論など普段はやらないテーマを扱います。今日は「地面師たち」、「Chime」、「マミー」、「無言歌」、「転校生」、「そうして私たちはプールに金魚を、」といった邦画がテーマです。「地面師たち」は7回のドラマシリーズで、Netflixで公開されています。
     
    宮台: 「VIVANT」という作品も有名になりましたが、世界的には全然見られていませんでした。しかし「地面師たち」はアジアでは1位を独占しています。
     
    神保: 私たちの事務所は目黒にあるのですが、この作品は隣の五反田駅前に実際にあった海喜館という旅館の土地を舞台にしています。ただ、映画では寺として描かれていました。600坪くらいの一等地にもかかわらず有効活用されていないので、そこの土地を買いたい人が客を装い泊まりにくるため旅館は嫌になってしまい、最終的には関係者しか泊まっていないような状態になってしまったという実話があります。
     
    地面師という言葉は実際にニュースで使われた言葉ですが、彼らは自分たちが持っていない土地を、あらゆる文書を偽造したりオーナーになりすましたりすることで売ろうとします。綾野剛、豊川悦司、ピエール瀧などが出演しています。
     
    宮台: 実際に騙された積水ハウスが石洋ハウスとして出てきたり、実名で出てくる企業もあったり、民放では絶対に作れないということで話題になりました。実際に起こった事件の概要を踏まえて作られているので、そういうことがあったというのが分かるという点も重要です。
    80年代はバブルの時代でもありましたが、地上げの時代でもありました。再開発に伴う地上げ屋がいて、文筆家の宮崎学さんもその前は地上げ屋をやっていましたよね。このドラマシリーズでは豊川悦司が地面師たちのトップを演じていますが、元は地上げ屋でした。
     
    神保: 元々は暴力団に入っていたという設定でしたよね。
     
    宮台: 地上げ屋が暴力団ということは昔は定番の設定でした。しかし地上げは高度に頭を使わなければならないので、普通のやくざではできないようなことをする知能犯という設定で、現実にもそうだったと思います。暴対法や暴排条例など抜け穴がない色々な法的規制がある中でも、合法性を紛議するというやり方をしてたくさんのお金を動かしていて、非常に面白い時代的設定です。今でいえば広域強盗や特殊詐欺の上にいる連中も同じように知能犯です。 
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