マル激!メールマガジン 2014年5月7日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ )
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マル激トーク・オン・ディマンド (2014年05月03日)
新国立競技場は本当に必要なのか
ゲスト:森山高至氏(建築家・建築エコノミスト)
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東京のど真ん中にまるで宇宙からUFOが舞い降りてきたような風貌の巨大なスタジアムを建造するプロジェクトが、静かに進んでいる。これは東京での開催が決まった2020年のオリンピック・パラリンピックのために国立競技場を解体し、そこに新たなスタジアムを建てようというもの。日本スポーツ振興センター(JSC)が、オリンピックを招致する過程で、東京大会の目玉の一つとしてぶち上げたもので、デザインコンペを経てイラク出身のイギリス人建築家ザハ・ハディド氏のデザインを採用することが決定している。
ところが、まだ招致の段階でアドバルーンのように、しかも拙速にぶち上げた計画だったこともあり、いざ建設しようかという段階にきて、さまざまな問題が噴出している。まず、当初1500億円と見積もられていた建設費が一時は3000億円に膨れあがり、それがまた1700億円に縮むなど、計画の中身自体がデタラメなのではないかといった懸念が生じている。しかも、そのデザインがまた奇抜さを極めている。コンペの結果選ばれた「脱構築」で有名なハディド氏のデザインは流線型のUFOが突如として舞い降りてきたかのような風貌で、かなり近未来的なデザインとなっている。
そもそも「神宮の杜」として親しまれてきた国立競技場周辺は神宮外苑の風致地区に指定されていて、近隣に明治神宮を始め、聖徳記念絵画館、新宿御苑など歴史的な施設も多く、これまで建築家たちが苦心しながら景観を維持してきた地域だった。そこに巨大で近未来的な建造物が建てば、神宮外苑の景観が根本から変わってしまうことは明らかだ。
プロジェクトに反対する建築家の一人でゲストの森山高至氏は、計画の中身もさることながら、プロジェクトの進め方やこのデザインに決まった経緯などに根本的な問題があると指摘する。そもそもなぜ景観の問題などが事前に十分に議論されないまま、このような保存されるべき価値のある地区に巨大なスタジアムを建設する計画が進んでいるのか。国を挙げた五輪招致のかけ声の前に、実際の計画の中身の妥当性などが精査されないまま計画だけが進んでいることが問題だと森山氏は言う。
森山氏はそもそも国立競技場を建て直す必要があるのか、と疑問を呈する。五輪開催で新しい競技場が必要になる根拠として、観客8万人を収容できることと、陸上のサブトラックが備わっていなければならないことの2点があげられているが、その程度であれば現行の施設を改修し、競技場内の空きスペースを利用することで十分対応が可能だと言う。
五輪招致のお祭り騒ぎの陰で静かに進んでいた新国立競技場建設問題とは何か。ゲストの森山高至氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・ひっそりと決められた新国立競技場のデザイン
・新国立競技場をめぐる4つの問題
・新デザインが神宮外苑に「ふさわしくない」理由
・今後の建築の試金石に――森山氏の改修案
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