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中野晃一氏:リベラルに復活の目はあるか
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中野晃一氏:リベラルに復活の目はあるか

2014-10-15 21:00

    マル激!メールマガジン 2014年10月15日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/
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    マル激トーク・オン・ディマンド 第705回(2014年10月11日)
    リベラルに復活の目はあるか
    ゲスト:中野晃一氏(上智大学国際教養学部教授)
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     民主主義の命綱ともいうべき言論を封鎖して、どうしようというのか。朝日新聞の従軍慰安婦報道をめぐり、依然として活発な論争が続いている。この問題については、いろいろな考えや主張があって当然だが、いずれにしても議論を戦わせることはいいことだ。しかし、それが他者への威嚇や脅迫にまでエスカレートすれば、むしろそれは自ら言論の自由を放棄しているのと同じことになる。朝日新聞の従軍慰安婦報道に関わったとされる2人の記者が教鞭をとる2つの大学に対して、何者かが脅迫状を送りつけるという事件が起きていたことが明らかになった。ところがどうも、この事件に対する社会、とりわけ「リベラル」と呼ばれる陣営の反応が、あまり芳しくない。
     上智大学国際教養学部教授で政治学者の中野晃一氏は、朝日新聞に代表されるリベラルと呼ばれる勢力は、新自由主義の台頭に呼応する形で、1980年代の中曽根政権以来、弱体の一途を辿ってきたと指摘する。そして、2001年からの小泉政権時に旧社会党勢力が駆逐され、自民党内のリベラル勢力ですら政治力を失った。組合は正社員の利益団体に成り下がり、NHKは繰り返しあからさまな政治介入を受けた。そして、今度は朝日新聞が、自爆の側面があったとは言え、権力から厳しい圧力を受けている。
     そのような事態に至った背景として、中野氏は、世界的な潮流と同時に、日本国内のリベラルの堕落があったと指摘する。それは、米の核の傘に守られることを是としながら非核や軍縮を主張していたり、正規雇用者中心の労働組合が貧困に喘ぐ非正規雇用の利益を守ろうとしない姿勢などに代表される、正にリベラルの堕落だった。
     しかし、問題はリベラルを衰退に追いやった勢力が、かつての対抗関係にあった保守主義勢力ではなかったことだ。リーズニング(論理)を重んじるリベラルの言説が説得力を失う一方で台頭してきたのは、感情的な言説で世論を釣ることに長けた歴史修正主義だった。戦下での保守対リベラルの対立構図は「リーズニング」対「感情」の対立構図に取って代わられ、少なくともここまでは、リーズニング側の完敗に終わっているように見える。
     今や事態は、大学に対する脅迫事件があっても、社会がこれといって危機感を持たないところまできている。このような現状を変える手立てはあるのか。言論の自由などの基本的な人権を、このままわれわれはドブに捨てることになるのか。ゲストの中野晃一氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。

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    今週の論点
    ・かつての右翼にはなかった、“卑怯”な脅迫事件
    ・段階的に進んでいった、リベラルの衰退
    ・血盟団から朝日、NHKまで、政治暗殺・言論封殺事件を振り返る
    ・失った“砦”を再び築くためには
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