マル激!メールマガジン 2015年9月2日号
(発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/
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マル激トーク・オン・ディマンド 第751回(2015年8月29日)
ロフトプラスワン20周年記念ライブ
見えてきた日本の難点の正体
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 20年前の1995年、日本は大きな時代の転換点を迎えていた。
 阪神・淡路大震災に始まったこの年は、地下鉄サリン事件とオウム真理教に対する警察の一斉捜査、村山談話、そして高速増殖炉もんじゅのナトリウム漏洩事故など、国の根幹を揺るがすような大きなニュースに明け暮れた。
 この時、日本の何かが確実に壊れ始めていることを、われわれの多くが感じたはずだ。その後日本は1997年の山一、拓銀の経営破たん、1999年のガイドライン法制(周辺事態法、盗聴法、国旗・国歌法など)から小泉改革と、もっぱら壊れる方向へと突き進んでいく。
 そして今、安倍政権の下で、壊れた日本を象徴するかのように、憲法をも顧みない安保法案の審議が着々と進められている。そんな今だからこそ、われわれは時代の分岐点となった1995年当時にあらためて立ち返り、あの時掛け違えたボタンを、もう一度掛け直す作業が必要なのではないか。
 一見、計算上はプラスに見えるような施策でも、それを実行した結果、社会の中の重要な機能が壊れれば、GDPなどの数字には出ない形で、社会は衰退し劣化していくことになる。それは目に見えないものの場合が多いし、計測が難しい場合も多い。
 この20年、われわれは戦後の高度経済成長とバブル時代の栄光を忘れることができず、もっぱら経済のパイを大きくするためにさまざまな改革を推し進めてきた。社会を発展させていくためには、不断の改革は必要だろう。しかし、改革の名のものに時代遅れとなった古い制度や仕組みを捨てていく過程で、われわれは故宇沢弘文教授が言うところの「コモンズ」(社会的共通資本)をも無自覚に流していってしまったのではないか。
 今必要なことは、われわれにとってのコモンズとは何かを確認しながら、それを再構築したり、それに代わる機能を果たす仕組みを新たに作っていくことだろう。
 今回、新宿ロフトプラスワンの開店20周年に合わせて行われたマル激トークライブでは、時代の分岐点としての1995年からここまでの20年を振り返りながら、その間、日本が失ってきたコモンズとは何かを改めて考え直し、その再構築のために今われわれは何をしなければならないかなどを、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
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今週の論点
・1995年、日本に何が起こっていたか
・マル激が見てきた、9.11と3.11
・2015年までの“目も当てられない10年”で明らかになったもの
・やりたい放題の官僚制に対抗するため、われわれがすべきことは
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■1995年、日本に何が起こっていたか

神保: 20年前の1995年、宮台さんはロフトプラスワンに頻繁に出ていたそうですね。

宮台: ロフトプラスワンが始まった95年、僕は毎月、イベントに出演していました。その時はオウムの話と援助交際の話をメインにしていたものです。

神保: 今日はまず、このフリップをもとに話を始めましょう。

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1995年の出来事
1月 1日  政党助成制度(政党交付金)スタート
1月17日  阪神・淡路大震災
3月20日  地下鉄サリン事件
4月19日  円が1ドル=79.75円を記録
8月15日  戦後50年
9月    米・ユナボマーの犯行声明分が米紙に掲載される
11月 4日 イスラエル・ラビン首相が暗殺される
11月23日 「Windows 95」発売(日本語版)
12月 8日  高速増殖炉「もんじゅ」ナトリウム漏洩事故

流行・ベストセラー
プリント倶楽部(プリクラ)、『パラサイト・イヴ』、『リング』、『脳内革命』、『新世紀エヴァンゲリオン』(テレビ放映)、『週刊少年ジャンプ』653万部(新年号)
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