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上村達男氏:不祥事続きのNHKの根底に横たわる日本の病理
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上村達男氏:不祥事続きのNHKの根底に横たわる日本の病理

2016-01-20 23:00

    マル激!メールマガジン 2016年1月20日号
    (発行者:ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/
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    マル激トーク・オン・ディマンド 第771回(2016年1月16日)
    不祥事続きのNHKの根底に横たわる日本の病理
    ゲスト:上村達男氏(早稲田大学法学部教授・元NHK経営委員)
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     NHKがおかしい。1月10日には現役のアナウンサーが、危険ドラッグ所持で逮捕され、新年早々、籾井勝人会長が衆院予算委員会で陳謝する事態となった。既に今年に入ってから子会社「NHKアイテック」で架空発注による500万円の着服が明らかになっているが、昨年同社ではカラ出張や架空発注などで2億円を超える着服が発覚したばかりだった。
     インターネットの登場で既存のメディアが軒並み苦戦を強いられる中、潤沢な受信料収入で独り勝ち状態にあるわれわれの公共放送局に、今、一体何が起きているのか。
     コーポレートガバナンスの専門家で、昨年2月までNHK経営委員会の委員長代行としてNHKの経営にかかわってきた早稲田大学法学部教授の上村達男氏は、NHKはトップにある籾井会長が問題発言や不祥事を起こしても責任を取らないために、組織としてガバナンスの危機に陥っていると指摘する。
     上村氏によると、そもそもガバナンスとは組織の正当性を意味する言葉で、突き詰めていけば社内に向けてトップが権力を行使する際の正統性の有無を意味している。明らかにそれをはき違えている人物が、NHKのトップの座に居座っていることが、不祥事が起きやすい体質を生んでいると上村氏は指摘する。
     会長に権力が集中する一方で、内部統制は甘い制度になっている。またこれだけ影響力のある企業には、通常、監督官庁にも一定の監督権限が与えられているが、NHKは言論機関であるという理由からその権限は限定的だ。そのためいざトップが暴走を始めたり内部統制が崩れると、それを修正する機能が働きにくいという構造上の欠陥がある。
     そのような欠陥を内包しながらも、これまでは国会が全会一致の原則を守り、社員一人ひとりの自律的な公共意識もある程度機能していたため、NHKは何とか公共放送としての一定の信頼と評価を得ることができていた。しかし、安倍政権の下で、数々の不文律が破られた上、その結果として深刻な資質上の問題を抱える会長が相次ぐ不祥事にもかかわらず会長の座に居座り、権勢を振るい続けるという異常事態となり、ついに内部統制が崩壊する事態に至ってしまった。
     NHK問題を通じて見えてくる公共放送のあり方や、そこから見えてくる日本の現状について、ゲストの上村達男氏とともに、神保哲生と宮台真司が議論した。

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    今週の論点
    ・NHKは「上から腐ってきている」
    ・会長人事で揺らぐ、経営権の正統性
    ・NHKの不可解な経営体制
    ・われわれが公共性を取り戻すために
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    ■NHKは「上から腐ってきている」

    神保: 今回はNHKの問題を取り上げます。直近では、NHKで現在出演中のアナウンサーが危険ドラッグ所持の疑いで逮捕されました。そう言っている間にも、タクシー券の使用流用という報道もあり、不祥事が頻発している。その一方で、籾井勝人会長はまだ辞任されていないのです。「政府が右と言うことを左というわけにはいかない」と就任で言ってから、あれだけ問題になっても普通に居座っている。
     このような状態でNHKがガバナンスを維持することができるのか。やはり、NHKの問題というのは、いち法人の問題とは違います。少なくとも、TBS問題やテレビ朝日問題、朝日新聞問題などとは違う。この問題をわれわれはどう受け止めればいいのか。

     
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