72fb1ce34d59e15889f7d5df6d4dc68b237d894c
第263号 2018.3.27発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしの人たち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…森友問題に関する国会集中審議で太田理財局長に対し、根拠の一切ない前代未聞の侮蔑質問をした自民党議員・和田政宗。さらに前川喜平前事務次官が行った講演の内容照会を、文科省が名古屋市教育委員会に求めた問題に関わっていた赤池誠章と池田佳隆。いずれも完全なるネトウヨ議員なわけだが、気が付いてみれば、国会議事堂の中にはネトウヨ議員だらけという、目も当てられない惨状になっている。この際だから、衆参別五十音順に列挙してみよう。
※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」…森友公文書改ざん事件に関して、フジ産経の政権擁護があまりにひどすぎる。フジテレビ「Mr.サンデー」では橋下徹氏が登場、“安倍首相夫妻の弁護士”として振る舞った。「官僚が政治家に忖度するのが民主主義」「人事権・予算で動かすのは当たり前」「昭恵さんに広告塔の責任はあるが違法不正なことではない」「証人喚問なんか無意味」…数々の詭弁・強弁を斬る!
※『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて、一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてくり!」。ぽっくんのクレイジー・ジャーニー!マチャイ族の酋チャマと対面ぶぁい!ぽっくん、世界中のどんな人とも心が通じ合えると信じとるぶぁい!さぁ、しゃべらせてクリ!

 089a94319cc5054fbc70eadde673d4f179f16e50


【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第270回「劣化ネトウヨ議員の増殖」
2. しゃべらせてクリ!・第221回「マチャイ族の酋ちゃまと対面ぶぁ~い!の巻〈前編〉」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第74回「独裁者志向で安倍夫妻を守る橋下弁護士の詭弁」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記




f4a7bdb81903f46c0115b6cb0a293e4301954e2f

第270回「劣化ネトウヨ議員の増殖」

 森友問題に関する19日の国会集中審議で、自民党参院議員の和田政宗「太田理財局長は民主党政権時代の野田総理の秘書官も務めておりまして、増税派だから、アベノミクスをつぶすために、安倍政権を貶めるために、意図的に変な答弁をしているんじゃないですか?」という、前代未聞の侮蔑質問をした。
 根拠の一切ない、ネトウヨそのものの妄想陰謀説である。
 太田理財局長は「あの、私は、公務員としてお仕えした方に一生懸命お仕えするのが仕事なんで。それをやられるとさすがに、いくらなんでも、そんなつもりはまったくありません! それはいくらなんでも、それはいくらなんでも、ご容赦ください!」と憤慨に声を震わせて答弁。
 和田の質問に対してはメディアでも非難轟々となり、翌日の国会質問では「部下が辱めを受けたら抗議すべきだ」と指摘された麻生太郎財相が「レベルの低い質問はいかがなものか。軽蔑する」と答弁せざるを得なくなり、和田の発言は議事録から削除された。

 和田は現在43歳。元NHKアナウンサーで2013年の参院選にみんなの党から出馬して当選。次世代の党(後・日本のこころ)を経て昨年6月自民党に入党した。
 以前からネトウヨ議員として有名で、辺野古の座り込み現場へ行って「不法占拠だ」と演説し、もみ合いになると「暴行を受けた」として同行者と共に被害届を提出。その時に「加害者」として名指しした人の中に87歳のおばぁまで入っていたということで、ネットで話題になったことがある。
 そして和田は安倍首相の大のお気に入りらしく、昨年自民党に入党したばかりなのに異例なほど安倍と面会し、安倍の党首討論や街頭演説、ネット番組への出演の際にも同行しているという。
 また、今年2月には安倍がフェイスブックに「哀れですね。朝日らしい惨めな言い訳。予想通りでした」と書き込み、首相とは思えない下品さに騒然となったことがあるが、これも和田が書いた朝日バッシング記事につけたコメントだった。

 一方、前川喜平前事務次官が行った講演の内容照会を、文科省が名古屋市教育委員会に求めた問題に関わっていた国会議員は、自民党参院議員赤池誠章と衆院議員池田佳隆で、この二人は自民党の文科部会長と部会長代理だ。
 赤池誠章は56歳、松下政経塾出身で2005年に衆院に初当選。その翌年に成立した第1次安倍政権下で教育勅語を絶賛するなどの発言を積極的に行ったが、1期で落選。
 2013年に参院に当選して国政復帰し、文科相政務官などを務めているが、2015年には文科省が「国際教育」をテーマに東宝とタイアップした映画『ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』の「友情に国境はな~い」というキャッチコピーに激怒し、ブログにこんなことを書いた。
「国家意識なき教育行政を執行させられたら、日本という国家はなくなってしまいます。文科省の担当課には、猛省を促しました」
 外国人の友達ができるという話の映画に「友情に国境はない」ってコピーを付けたら国家意識がなくなって、日本という国家がなくなる!? ほとんど狂っている。
 だったら「芸術に国境はない」とか「音楽に国境はない」とか言ったら亡国か!?
 呆れるほどのバカである。こんなネトウヨが国会議員で、以前から教育行政に圧力をかけ続けていたのだ。

 一方の池田佳隆は51歳、元日本青年会議所会頭で、その当時から安倍晋三の「愛国教育」に心酔。自民党が政権復帰した2012年の衆院選で初当選した安倍チルドレン、いわゆる「魔の三回生」で、「安倍の愛弟子」を自任している。
 池田は今回、文科省が名古屋市教委へ問題の質問を送る際に、その文面が「手ぬるい」として書き換えさせたという。
 そのせいか文面には「天下り問題で辞任」だの「出会い系バー」だのと、文科省の文書とは思えないことまで書かれていたわけだが、とっくに済んだことを持ち出して「安倍政権の敵」を執拗に攻撃しようというこの態度、まさにネトウヨそのものである。

 最近騒ぎを起こした和田、赤池、池田、いずれも完全なるネトウヨ議員なわけだが、気が付いてみれば、国会議事堂の中にはネトウヨ議員だらけという、目も当てられない惨状になっている。
 この際だから、衆参別五十音順に列挙してみよう。