第270号 2018.5.15発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしの人たち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…麻生太郎氏の「セクハラ罪はない」発言に対する攻撃が止まない。弁護士の紀藤正樹はブログで「フランスでは、セクハラ罪が既に存在している」「麻生大臣の発言は、無知と国際感覚のなさの両者において、あまりに恥ずかしい」とボロカスに罵った。果たしてフランスの「セクハラ罪」とはどういったものなのか?セクハラ対策に関して、日本はフランスよりもずっと遅れているというのは本当なのか?
※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」…世の中は不条理なことばかりである。今回は泉美さんが過去に遭遇した不条理、そしてそこから受けた影響が赤裸々に綴られる。泉美さんが「ルサンチマン弱者」に陥らない理由の一端が明らかに。
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!アイヌ問題はもう取り上げない?日頃、何か運動はしている?もし立憲的改憲が叶った場合、自衛隊の名称はどうなる?養子を貰うことを考えたことある?「エンタメとしては最高だけど歴史認識がダメ」な作品はあり?「可愛い」と思ってしまう男性はいる?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第277回「フランスのセクハラ罪を知っているか?」
2. しゃべらせてクリ!・第228回「問題棚上げ、はっきょい、のこったぶぁ~い!の巻〈後編〉」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第81回「不条理のままに」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第277回「フランスのセクハラ罪を知っているか?」 麻生太郎氏の「セクハラ罪はない」発言に対する攻撃が止まない。
麻生の発言がいつも大雑把なことくらい、誰でも知っている。中には擁護のしようがない暴言もあっただろうが、基本的に男っぽい美学と茶目っ気もあるキャラクターを持っているので、わしは人格として嫌いではない。
かつて京都で芸者の踊りを見ながら、酒を飲んだこともある。
アルファベット英語で堂々と外国人とおしゃべりする豪胆さは大したものだなと思う。
安倍晋三の下で働いているから、損をしているなとわしは思う。
麻生自身はセクハラをするような男ではない。部下が犯した道徳的な罪に対して、世間の風圧に負けて断罪するのではなく、「セクハラ罪はない」と抗弁するのは、それほど非難されるべきだろうか?
問題とされているのは4日、麻生が訪問先のマニラで行った記者会見での発言だ。
そもそもこの記者会見は、マニラで行われたアジア開発銀行年次総会などについてのものだったのだが、その質疑応答で朝日新聞の記者が、福田淳一前事務次官のセクハラ問題の調査を財務省が打ち切ったことに対して、テレビ朝日側がなおも徹底調査を求めるという文書を出したが、これについての見解を聞きたいという質問をした。
それに対して麻生は「これは1対1の会食ということになっていたそうですから、そういったやりとりについて、財務省だけで詳細を把握していくということは不可能です。これはいくら正確であったとしても、それはいかにも偏った調査ではないかと言われるわけですから」と答え、さらにこう言ったのだ。
「御存じのようにセクハラ罪という罪はないのですよね、あなたよく知っているように。殺人とか傷害とは違いますから。訴えられない限りは、親告罪ですから、あれは。」
一対一の会食の場で何があったかを、財務省だけで詳細な調査をするのは不可能だし、仮に調査をして、それが正確なものだったとしても、偏った調査だと言われることは目に見えている。
じゃあ警察に調査を委ねるかといっても、セクハラについて殺人や傷害と同様に警察が捜査できるような「セクハラ罪」というものがないのだから、それもできない…麻生はそう言ったのだ。
福田は女性に直接手を触れたわけでもなく、ただ不快な言葉を言っただけだから「強制わいせつ罪」にも当たらず、罪に問うとすればせいぜい「名誉棄損罪」か「侮辱罪」であり、これは本来、当事者同士で解決すべき軽微な罪ということで、被害者からの訴えがなければ刑事事件として起訴することができない「親告罪」となっている。
福田に刑法上の犯罪行為があったとして、警察に捜査してもらおうというのであれば、まずは被害者が福田を「名誉棄損罪」か「侮辱罪」で刑事告訴しなければならない。
ところがテレ朝は匿名の社員が被害を受けたと抗議をしているだけで、被害者は告訴どころか、被害届すら出していないのだから、どうしようもない。
ここで麻生が言ったことは、全く正しいのである。
やや余談であるが、強制わいせつも昨年、性犯罪を厳罰化した改正刑法が施行されるまでは親告罪だった。
TOKIOの山口達也に呼び出され、無理やりキスされたり顔をなめまわされたり押し倒されたりした女子高生は、警察に被害届を提出したが、ジャニーズ事務所との話し合いで示談が成立、被害届を取り下げた。
親告罪であれば、話はこれで終わっていた。おそらく事務所も山口も、昨年の法改正の意味をはっきり把握しておらず、今まで同様、これでもみ消したと思っていたのだろう。
ところが強制わいせつは非親告罪になっていたため、被害者が被害届を取り下げても捜査は続き、山口は書類送検され、事件が表沙汰になったのだ。
警視庁は書類送検の際、起訴を求める最も厳しい「厳重処分」の意見を付している。既に示談が成立しており、不起訴になるのはほぼ確実なのに「厳重処分」の意見がつくのは異例のことで、山口が有名タレントであることが考慮されたからかもしれないし、もしかしたら捜査において犯行が相当に悪質だったと認められたのかもしれない。
コメント
コメントを書く配信ありがとうございます。
セクハラって、難しいデスネ。
まあ、新しい概念ですからね。まだまだ全世界的に曖昧なのでしょう。
でも、先生の指摘する通り、イデオロギー化した全体主義が問題なのであり、ダメな事はダメなのですよね。
狛江市だかの市長がセクハラ問題で辞任を迫られているようですが、「名乗り出れば話し合いたい」と記者会見で言っていた事が引っ掛かります。
相手は市の調査には応じていて、そこで被害者と認定されているのですから、異議があるなら、まずその市の調査機関にするべきではないでしょうか?
なんだか件のジャーナリストの件とごっちゃにしている気がします。
これも全体主義?
よしりん先生
Q&Aにお答え頂きありがたま…
いやいや黙秘やった!
そりゃそうですよね。小林よしのりが『可愛いと思う男』を発表しちゃいけません!
(^o^;)
失礼致しました
m(__)m
もくれんさんのブログの『ゴンぎつね』に爆笑しました(笑)
しかしどこまで女をバカにすればすむのでしょう?
私はセクハラは受ける側じゃなくする側でした…
後輩の脱チェリーの日を職場のカレンダーに○したりとか…懲役二年位でしょうかね
( ;∀;)
ムラムラする入浴剤贈るようなクソセンス上司と、結婚してこそ一人前、子どもは最低3人こさえるべきと曰う連中との脳構造は基本的には同じなのは間違いない。どちらもセクハラヒスに勝るコミュ障案件だがおばちゃんにもなると処し方位は身についてしまう。
しかし下の世代が学んで真似して将来部下にムラムラグッズをプレゼントしたり、結婚や子どもの圧力をかけるようになるのはなるべく避けたいものだ。
こういうジジイは滅びないし、いつの間にか育ってる。こちらも魔女狩りの如く絶滅を目指してるわけでもないのだが。
ゴキブリやネズミが出たときとか張り切って退治してくれる優しさもあるし。
コミュ障にコミュ障返しは残念ながら不毛に終わる。
それでも人は1人で生きるのは不可能だから、気づいた人が出来る限り工夫するしかないのだ。
木蘭さんのコミュ障か?を読んで、セクハラですよ!って言える女性もどれだけいるのか分かりませんし、逆に嫌がらせされる場合もありそうで、
この朝日新聞の指南みたいなのはなんだか怖いです、そんなもんでセクハラ無くなるわけないし。
しかし、今の世の中は確かにコミュ障ってのは有りますよね、特にネット依存症の方々、まあ、私もその一人ですけど、ドンドンコミュ障を拗らせる可能性は高いと思います、
何せ今や小中学校のお知らせなんかもペーパーレスでほとんどメール配信だし、学級毎にLINEのグループライン有るらしいし(ウチのパートさん達の話参照)
LINEではガンガンやり取りして、面と向かってになると会話無し!とかも普通にあるらしく、ドンドンツールの中に詰め込まれてしまい、自我を保つにはネットツールが必須になるのかも知れませんね、何処かのググるポエマーみたいにね。
昨日(5/21)の朝ドラを見て…
秋風先生のキャラ、明らかによしりん先生をモチーフにしているような気がしています
Q&Aでよしりん先生は否定されていましたが、いち小林よしのりファンとしてはムフフ(笑)としながら、秋風先生と秘書菱本とのやりとりを見ています
前回のわろてんかは途中で見るのをやめてしまいましたが、今回は最後まで楽しく見ようと思います
秋風先生は、佐村河内守のみうらじゅん割に1票。
monmonさん、どうもありガチョウ。
(^-^)
ゴー宣を読み、考えさせられました。パワハラを念頭に置き、入念に考えられて作ったであろうはずのセクハラ罪が存在するフランスでさえ、訴訟を起こした人の95%が職を失っている現実。職は失いたくないですよね。だから我慢してしまうんでしょうね。パワハラ、セクハラが、本当に無くなるには、どうしたら良いか。プロフェッショナルの仕事人なら、パワハラ・セクハラを嫌うのではないでしょうか。プロが増えていけば、パワハラ・セクハラをやる人間は隅に追いやられるのでは。人間の質が上がるしか無いのでしょうかね。
セクハラと言っても、幅は広くて中身にはグラデーションがあるという事を、ゴー宣や先生のブログを読み、ようやく分かってきました。危うく八つ墓村の住人になる所でした。いつも常識を教えて下さり、どうも、ありがとうございます。
木蘭先生のトンデモ見聞録、なるほどな、と思いながら読ませて頂きました。今の木蘭先生が形成される過程を見ることが出来た気がして、何だか得した気分で居ます。
醒めた目線で見る機能を搭載した木蘭先生は、新開発の高性能な武器を搭載したロボみたいなものなのでしょうね(例えがおかしいかも)。
門限を破って家に入れなくなり、泣き喚くのにすぐ飽きて三点倒立をして、倒れて顔面を強打し大流血するところが、なんとも木蘭先生っぽくってサイコーでした♪ 凄く面白かったです。
前号への、たびたびの書き込み、失礼致します。スパのゴー宣を読みました。プロフェッショナルが、セクハラ、パワハラを嫌うということは無いですね。考えが浅かったと痛感しています。
『麦とろ飯、うめえなあ~』には爆笑しました♪