オペラ座の裏手を歩いていたら若い女3人が
新聞みたいなものを持って何か話しながら接近してくる。
トルコ系か、アラブ系か、ロマかわからないが、
物売りは相手にしてはならないし、
明確に拒否しなければならないことは過去の旅行の経験上、
知っている。
それにしても、妻と秘書みなぼんを連れてるのに、
わし1人に狙いを定めるとは大胆不敵。
Nonと強く何度も言ってるのに諦めない。
スリかもしれないから、胸ポケットを隠しながら早歩きで
立ち去ろうとするが、右側の女がわしの腕を組んで話してくる。
それを振り払おうとしたら、左側の女も腕を組んでくるから
羽交い締めだ。
とうとうみなぼんがNon!と怒気を帯びて叫びながら
割り込んでくる。
その迫力にやっと女たちは諦めた。
やっぱり、女には女で対抗しなければダメだ。
男が女に乱暴に怒鳴ることはできない。
わしって金持ちに見えるし、女に絶対危害を加えない
優しい男に見える。
それは万国共通のわしに対する印象だろう。
あまりにも紳士的で品位があるのだ。
日本だけだ、わしの印象が怖い人になってるのは。
昨日はビストロに男が入ってきて、まっすぐわしに
花を売りに来た。
断ったが、男も女も貧困層は生活を賭けて必死だ。
街は人種の坩堝だし、どれがフランス人か
わからない様相になっている。
旧植民地出身の黒人はもう二世三世だろうし、生まれながらの
フランス国籍だから、一流ホテルや一流レストランでも、
一定の人数を雇われているようだ。
だがアフリカ系の出稼ぎ労働者や、アルジェリア、モロッコ、
チェニジアという北アフリカの旧植民地出身者は、
やはり貧困層なのだろう。
数年前、移民の暴動が起こったニュースがあったし、
移民排斥運動を展開する極右政党も一定の議席を占めている。
日本も移民受け入れの政策を議論し始めたが、
今のまま新自由主義路線を進めれば、移民は必然になるし、
社会の底辺を日本人と奪い合う図式は避けられまい。
移民の犯罪は国家が完璧な「自由、平等、博愛」を
実現しなければ解決できないが、フランスですらそれが
出来ないのだ。
旅行者にたいする「おもてなし」なんて言ってられるのは、
日本が国を閉ざしてるからであって、移民に国を開いたら、
そんな文化は幻想だったということに気付くだろう。
日本人は、日本って素晴らしいの自画自賛史観で
悦に入ってるだけでなく、世界の状況から学ぶことだ。
フランス語がしゃべれても、「おもてなし」なんて言って、
安倍政権に擦り寄ってるような者は国際人ではない。
安倍晋三の信奉者たる自称保守は、
移民を「おもてなし」する覚悟はあるのか?
ないのなら、「おもてなし」なんて、軽はずみな言葉は
慎むべきである!