• このエントリーをはてなブックマークに追加

記事 6件
  • 甲斐良治:憎悪社会化を阻止したい

    2006-12-28 11:01  
    53pt




    今年最後の投稿です。
    「ざ・こもんず」忘年会でのご挨拶でお話させていただいたことと同じなのですが、07年への決意表明に変えて、ここに記させていただきます。
    最近の私の関心は、「食と農」よりむしろ「都市における労働」にあります。その発端は、この1~2年、熊本・水俣、宮崎・高千穂、千葉・鴨川、新潟・上越、宮城・鳴子など、全国の農山村で都市から移り住んできたり通ったりしている若者に出会うことが多く、その年代が圧倒的に30歳前後であることに気づいたことでした。そして、彼ら・彼女らの世代が、私たちオジサン・オバサンとはまったく異なる労働の環境におかれていることに気づかされました。
    彼ら・彼女らが社会に出たのは90年代半ば。「雇用のポートフォリオ」なる方針のもと、経団連が「雇用の柔軟化」、すなわち「終身雇用・年功序列」システムの終焉を宣言したころでした。その結果、生み出された「非正規雇用」層が
  • 甲斐良治:「希望は、戦争。」という「うめき」

    2006-12-20 11:03  
    53pt



    12月17日の宮崎学さんの「突破者の独り言」――「歴史観をめぐって(其の三)」に、沖縄県知事選についてこんな記述があった。
    >私は、沖縄の失業者たちが最後まで平和理念を唱える人たちを自分たちと同じ苦しみを持つ側の人間だと思えなかったのではないかと思う。
    >つまり、失業者たちは革新側の運動を行っている人々を生活安定者として捉えたのである。
    私は沖縄県知事選については、必ずしもそうは思わないが、むしろ都市のフリーターが「平和理念を唱える人は、自分と同じ苦しみを持つ側の人間ではない」「革新側は生活安定者」ととらえているという論文(?)が朝日新聞社の『論座』1月号「現代の貧困――困窮する若者と貧困ビジネスの実態」に掲載されている。
    問題の論文は「『丸山真男』をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。」31歳フリーターは筆者・赤木智弘氏自身であり、北関東在住。「結婚どころか親元に寄生し

    記事を読む»

  • 甲斐良治:若者たちの農的ライフスタイル起業

    2006-12-15 11:05  
    53pt



    今日のお昼は九州在住の森千鶴子さん、農文協の新雑誌「うかたま」編集者のナカタと会食。森さんは「増刊現代農業」の常連執筆者であるのだが、福岡県宗像市の実家(イチゴ農家)と、大分県日田市旧中津江村(Wカップのときのカメルーンキャンプで有名)の廃校活用施設を行き来しながら「森の新聞社」を主宰し、宮城県宮崎町に端を発した「食の文化祭」「家庭料理大集合」を九州各地や島根県、広島県にまで広げた「伝道者」でもある(6年ほど前、宮崎町で開かれた「食の文化祭」を貯まったマイレージで学びに行って以来)。
    左から3人目が森さん。その右は『スローフードな人生』のノンフィクション作家・島村菜津さん。昨年11月の「高千穂の家庭料理大集合」で
    その森さんが、「森の新聞社文化事業」としてスタートさせたのが、「暮らしの学校」。詳しくは彼女のブログ「森の新聞」をご覧いただきたいが、各地の伝承料理、伝承生活技術を農家のば
  • 甲斐良治:複数の名刺や肩書きをもつ「新・遊牧民」

    2006-12-14 11:12  
    53pt



    前回(12月2日)、この欄に、滞在期間の長短を問わず、むしろ自分の生き方の拠点は農村にあると考え、正社員だろうが派遣社員であろうが、都市での仕事は「出稼ぎ」ととらえる「新・出稼ぎ暮らし」について書いたが、鴨川自然王国のホームページに王国内T&T研究所の田中正治さんのレポート「都市若者の最先端は”非営利・非所有”」「半農半XYZ・脱都会する青年群像」「遊牧民ネットワークとしての田舎ぐらし」がアップされていて、これが面白い!
    田中さんは王国のスタッフや、里山帰農塾に集まってくる若者のみならず、鴨川を拠点に「半農半XYZ」の暮らしを実現している若者たちの観察から、「もちろん、田舎に”ひきこもる”ことはない。多くの都会からの移住者は、都市とのネットワーキングを縦軸に生計を立てている場合が多いのであるから、都市と農山村を自由に往還する、”遊牧民的ライフスタイル”がむしろトレンディーだと思う。自
  • 甲斐良治:新出稼ぎ暮らし

    2006-12-02 11:16  
    53pt



    昨日書いた「派遣社員の癒やしとしての農作業体験」のことだが、逆にこんなことは考えられないだろうか。
    つまり、滞在期間の長短を問わず、むしろ自分の生き方の拠点は農村にあると考え、正社員だろうが派遣社員であろうが、都市での仕事は「出稼ぎ」ととらえるのである。
    これまでここで書いてきたことを大雑把にふり返ってみると、戦後、学校教育再生のなすすべのなさに国会で文部官僚が号泣するしかなかったころ、農山漁村の人びとが自前で建てた学校で教育を受けた「団塊の世代」は、年功序列・終身雇用などの「擬似共同体的性格」によって都市へ、企業へと奪われた。しかし、そのジュニアの世代が社会に出るころ、企業は「擬似共同体」であることを放棄し、正社員であれ、派遣・契約社員であれ、都市においては「食の不安、労働の崩壊、身体の悲鳴」にさいなまれることになる。
    そうした中で、一筋の光明を示しているのは、「農山村に向かった若

    記事を読む»

  • 甲斐良治:派遣社員に癒しの場を?

    2006-12-01 11:17  
    53pt



    タウンミーティングの広告代理店丸投げもあきれたものだ。どうしてお役人はこうも「民間」や「企業」に弱いのだろうか?
    農業関係の「インターンシップ」や「再チャレンジ」にも似た例があるのではないかと思って調べていたら、「丸投げ」とは違うが、某人材派遣企業のプレスリリースにこんなものがあるのを見つけてしまった。
    「●●●(社名)派遣登録スタッフに“癒やし”の場を提供する『収穫祭』」――「当日は、派遣登録スタッフと社員はもちろん、参加者に家族や友人を連れてきていただき、農作物の収穫や収穫した農作物を使った料理作りなどを楽しんで頂きます。●●●では、こうした農業体験を派遣登録スタッフの福利厚生として活用し、農村及び農業の“魅力”や自然に囲まれた環境で農作物を育てる“癒やし”を参加者に感じていただくため実施いたします」
    「福利厚生」なら当然、ただだろうと思ってみていたら、「会費3000円」、しかも

    記事を読む»