• このエントリーをはてなブックマークに追加

2024年4月の記事 4件

Nothingが日本市場展開に本気モードへ  石川 温の「スマホ業界新聞」Vol.560

-------------------------------------------------------------------------------------- 石川 温の「スマホ業界新聞」 2024/04/20(vol.560) --------------------------------------------------------------------------------------         《目次》 1.Nothingが新木場でイベントを開催して日本展開を強化 ----ChatGPTをいち早く取り入れ、他社と差別化 2.楽天ポイントカードアプリに楽天ペイと楽天Edyが統合へ ----iPhoneで楽天Edyが支払える日は来るのか 3.NTTコミュニケーションズが無線区間を優先制御する「5Gワイド」を開始 ----スライシング導入に向けた布石でノウハウを蓄積 4.今週のリリース&ニュース 5.編集後記 -------------------------------------------------------------------------------------- 1.Nothingが新木場でイベントを開催して日本展開を強化 ----ChatGPTをいち早く取り入れ、他社と差別化 ------------------------------------------------------------------------------------------ イギリス・Nothing Technologyは日本でイベントを開催。フルワイヤレスイヤホンとして「Ear」「Ear(a)」を発表した。  今回、Nothing Technologyとして日本市場を強化するため、日本におけるマネージングディレクターとして黒住吉郎氏を起用した。同氏は4月1日にNothing Technologyに入社し、3週間弱でイベントのプレゼンに立ったことになる(その前から準備はしていたようだが)。  黒住吉郎氏はかつてソニーでXperiaの開発に従事。その後、ソフトバンクや楽天で経験を積み、ソニーに戻ってオーディオを担当。直近ではアップルにもいたことがある。つまり、メーカー、キャリア、Android、iOSというスマホだけでなくオーディオにも精通しているという人物だ。  Nothing Technologyは初代の広報体制がダメダメだったので、あんまりいい印象は抱いていなかったのだが、今回からは広報体制も見直され、かなりしっかりと立て直されている感がある。  黒住氏にインタビューした記事は来週、どこかの媒体に掲載される予定だが、取材のなかで印象的だったのが「スマートフォンに搭載されているNothing OSは、アンディ・ルービン氏が手がけていたEssentialを引き継いでいる」という話だ。  確かに調べてみると、Nothingが2020年に閉鎖したアンディ・ルービン氏のEssential Productsの知財を買収したと報じられている。  アンディ・ルービン氏は「Androidの父」とも呼ばれていたが、Googleを退社後、「Essential Phone」を発売したが、閉鎖に追い込まれていたのだ。独特なユーザーインターフェースで注目されていたが、計画中のプロダクトが発売されることはなかった。  そもそもNothingはMeizuからOPPOに移籍し、OnePlusを立ち上げたカール・ペイ氏が共同創業者となっているメーカーだ。  初代が発売されたころは「透明な筐体でビカビカ光るだけのスマホ」という程度の印象でしかなかったが、今回はChatGPTをいち早く取り入れるなど、フットワーク軽く、しっかりと話題性を提供してきた感がある。  Nothingとして日本市場を強化してきたということは、キャリアへの納入を狙っているのは間違いない。  果たして、Nothingを取り扱うキャリアは出てくるのか。また、Nothingはキャリアが扱ってもいいと思える品質、サポート体制を提供できるのか。  Nothingが今度、どのように進化していくのか、また日本で成功できるのか注目しておきたい。 ■Nothing、日本本格展開発表会 https://youtu.be/X8YrOqL2IPg -------------------------------------------------------------------------------------- 2.楽天ポイントカードアプリに楽天ペイと楽天Edyが統合へ ----iPhoneで楽天Edyが支払える日は来るのか --------------------------------------------------------------------------------------  楽天ペイメントは2024年12月頃に「楽天ポイントカード」アプリと「楽天ペイ」アプリを統合すると発表した。その後、電子マネー「楽天Edy」アプリも統合していくという。  確かに楽天の金融やポイントサービスは古くからそれぞれが独立してアプリを提供しており、利用シーンに応じて、別々のアプリを起動しなくてはならなかった。個人的にもポイントを貯めるためにポイントカードアプリを起動することはあっても、結局、その後はPayPayやd払い、au Payアプリを起動していまい、楽天ペイで支払うことはほぼ皆無であった。  他社は金融や決済サービスをまとめて一つのアプリで提供しているところが多いため、他社に追随するというのは当然のことだろう。  ただ、個人的に気になっているのが、楽天Edyも統合するなら「iPhoneで決済ができるようになるのか」という点だ。  楽天EdyはAndroidでは決済ができるものの、なぜかiPhoneではアプリはあっても、支払いには非対応のままとなっている。SuicaやiD、QUICPay、waon、nanacoなどはとっくの昔に対応しているのに、楽天Edyは置いてきぼりなのだ。  楽天EdyのiPhone非対応問題について、数年前から決算会見などの質問しても、明確な答えが返ってきたためしがない。  今回、「アプリを一つに統合する」と鼻息荒く宣言したので、質疑応答で「楽天Edyアプリを統合するということはiPhoneでも楽天Edyで支払いができるようになるのか」と聞いたところ「他社のポリシーについては私が申し上げる立場にはない。我々としては、可能な限りユーザーにとって利用が最大化できるように期待している」(楽天ペイメント、小林重信社長)とのことだった。  さらに突っ込んで「楽天としては努力しているが、(アップルの)ドアが開かないということか」と尋ねたところ「申し上げるところにはないが、会社としては圧倒的なオープン戦略を掲げており、ユーザーが期待しているのあれば、拡大していきたい。今後もオープン路線を強化していきたいのは変わらない」との回答であった。  個人的にはかつてはEdyのヘビーユーザーであったが、決済系サービスはすべてiPhoneで行うことにしたため、楽天Edyを使う機会がなくなってしまった。  楽天ペイメントとしては「楽天Edyは地方のスーパーなどで、カードによる利用頻度が極めて高い」ということであったが、楽天ポイントカードアプリにまとめていくのであれば、やはり楽天EdyをiPhoneで使えるようにしないことには、ユーザーの期待には応えていないような気がするのだが。  結局、楽天EdyがiPhoneで使えない問題は、何が障壁になっているのだろうか。 ■楽天ペイメント事業戦略説明会 https://youtu.be/4naFc6EYsLI -------------------------------------------------------------------------------------- 3.NTTコミュニケーションズが無線区間を優先制御する「5Gワイド」を開始 ----スライシング導入に向けた布石でノウハウを蓄積 -------------------------------------------------------------------------------------- NTTコミュニケーションズは、無線区間のリソースを優先的に割り当てる機能を実装した「5Gワイド」を4月22日より提供を開始する。 5Gワイドは、一般のユーザーに比べて通信が安定し、速度の向上も期待できるという。通常のドコモ5G契約端末で利用可能。5Gエリアだけでなく、LTEエリアでも対応しているという。 技術的には契約しているユーザーに対して、QoSを与えるというものらしい。「5Gワイド」という名称ではあるが、コア側の処理の話であり、無線区間においては「5Gに接続していたら、他の5Gユーザーよりも優先される」「4Gに接続していたら、他の4Gユーザーよりも優先される」となっている。 5Gにおける「スライシング」は、無線部分だけでなく、伝送区間やコア装置まで対象のユーザー・用途に応じた「リソース分離」なのに対して、5Gワイドは無線区間のみ対象ユーザーを「優勢制御」するだけに過ぎない。 NTTコミュニケーションズでは2024年中に開始するスライシングに向けた先行的な取り組みとしては5Gワイドを位置づけている。 そのため、とりあえず、5Gワイドを提供し、実際にどれくらい実用性があり、また需要があるのかを見極めたいようだ。 ただ、混雑時も他の回線よりも優先制御してくれるのであれば、例えば、繁華街やイベント開催時など、人で混雑している際も、優先制御が割り当てられるのであれば警察や消防、自治体の連絡手段としての需要はかなり高そうだ。 また配付資料にもあったが、テレビ局などの中継回線としてのニーズもかなり大きいだろう。個人的にも、ソラコムのように1枚からSIMカードが契約できるのであれば、普段、記者会見のYouTubeライブ配信で使っている回線を5Gワイドにしてみたいと思うほどだ。 ただ、こうした優先制御のサービスは実際に通信をしてみても「ちゃんと機能しているのか」がわかりにくいというのが難点だろう。 終了後の囲みでも聞いてみたが、5Gワイドに接続しているときにはスマートフォンのアンテナピクト表示が金色に輝くくらいの演出は欲しいものだ。 5Gのメリットでもある「スライシング」でも、キャリアが儲かるビジネスをモデルを描くには、やはり、顧客が「使ってみて、5Gの良さを実感」できなくてはならない。 通信品質はなかなか目に見えないため「5Gワイドやスライシングの効果を可視化できるツール」はいまからでも準備すべきではないだろうか。 ■NTTコミュニケーションズ 法人における5Gの最新動向とユースケースを徹底解説 https://www.youtube.com/live/jSi_54yMkN8?si=jFXpo0uqdEIVOAtj -------------------------------------------------------------------------------------- 4. 今週のリリース&ニュース -------------------------------------------------------------------------------------- 毎週、膨大に出されるキャリアやメーカーからのプレスリリースや、話題のニュース記事をピックアップ。ニュースとしての重要度とともに、キュレーションしていきます(ただし災害関連を除く)。 ■4月15日(月) 特になし。 ■4月16日(火) ドコモの森を活用した生物多様性保全ゲーム「もりまもり」を提供開始- <重要度★★> https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2024/04/16_00.html 希少生物のNFTってみんな欲しいのかしら。 「新トクするサポート(プレミアム)」を4月18日に“ソフトバンク”で提供開始 <重要度★★★★★> https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2024/20240416_01/ LEITZ Phone 3に向けてかしら。いずれにしても良い取り組み。 ■4月17日(水) 4月17日に成立した改正NTT法への見解 <重要度★★★★★> https://newsroom.kddi.com/news/detail/kddi_nr_s-1_2778.html ソフトバンク、楽天モバイルも同時にリリース ■4月18日(木) 「Redmi 12 5G」を4月25日に“ソフトバンク”で発売 <重要度★★★★★> https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2024/20240418_01/ お安い。 楽天モバイル、関東地方の5G(Sub6)エリアを2024年内に最大1.6倍まで拡大 <重要度★★★★★> https://corp.mobile.rakuten.co.jp/news/press/2024/0418_01/ 近畿はもともと衛星地上局との干渉の影響が少なかったということですね。 ■4月19日(金) 生成AI開発を支える大規模計算基盤の整備に1,000億円投資 <重要度★★★★★> https://newsroom.kddi.com/news/detail/kddi_nr-55_2775.html OpenAIが日本語に本気になってきたいけど、ソフトバンクを含め、日本勢は対抗できるんだろうか。 -------------------------------------------------------------------------------------- 5. 編集後記 -------------------------------------------------------------------------------------- 日経電子版や各ウェブ媒体で連載コラムを書くのがメインのお仕事になっているため、記者会見の現場に行っても、ストレートニュースの記事を速報で書くということがほとんどありません。 その代わりというわけで、最近では記者会見の現場からYouTubeでのライブ配信をするようになりました。 もちろん、企業や広報のポリシーで「生中継は禁止」というのは十分、理解できます。そこに逆らうつもりは全くありません。 しかし、もし生中継や録画したもののYouTube配信を禁止するのであれば、記者会見の告知メールにキチンとその旨を記載していただきたい。 こちらは重たい機材を持って会場に足を運んでいます。もし禁止なら、そもそも機材を持たずに出かけます。 もし、同じ時間帯に複数の記者会見が被ったら、発表内容だけでなく「生中継できるか」どうかで、どちらに行くかを判断します。 何も記載していない案内メールにもかかわらず、記者会見開始直前に「生中継も録画配信もしないでください」と言ってきたり、「生中継は禁止」というルールだけだったはずなのに、YouTube配信後に「非公開の発表会なので配信は取り下げてください」というのは本当に困ります。 また、同じく発表会を動画で上げているライターの中山さんは「発表会中の通訳さんの発言はカットして欲しい」と言われて困り果てていました。通訳さんが動画への2次利用を拒んでいるのは否定しないので、2次利用に寛容な通訳さんを起用するか、あるいは通訳さんの音声は別ラインで提供するなどして欲しいです。 そもそもインターネットや通信回線、半導体を売っている会社が、メディアのDXを拒む記者会見を開くというのは理解に苦しみます。 ではまた。

Nothingが日本市場展開に本気モードへ  石川 温の「スマホ業界新聞」Vol.560
石川温のスマホ業界新聞

日々、発信されるスマートフォン関連のニュース。アップル・iPhoneにまつわる噂話から、続々と登場するAndroidスマートフォンの新製品情報。ネットワーク障害やキャリアの新サービスなど、話題に事欠かないのがスマートフォン業界です。膨大なニュース記事があるなか、果たして、どの情報が重要で、今後を占う意味で重要になってくるのか。ケータイジャーナリスト・石川 温が独自の取材網を生かしたレポート記事を執筆。さらに業界のキーマンにもインタビュー取材を行い、スマートフォン業界の「今」を伝えます。スマートフォン業界人の「必読紙」を目指します。

著者イメージ

石川 温

ケータイ/スマートフォンジャーナリスト。1999年に日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。現在は国内キャリアやメーカーだけでなく、Googleやアップル、海外メーカーなども取材する。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。新聞、雑誌だけでなく、テレビやラジオでもコメント出演をこなす。近著に『iPhone5から始まる!スマホ最終戦争』(日本経済新聞出版社刊)がある。

http://twitter.com/iskw226
メール配信:ありサンプル記事更新頻度:毎週土曜日(月4本)※メール配信はチャンネルの月額会員限定です

月別アーカイブ


タグ