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「スーパーエイジャーの科学」の続きです!(#1,#2,#3,#4,#5,#6,#7,#8,#9,#10,#11,#12,#13)

 

このシリーズでは、年をとっても脳と体が元気に動きまくる“スーパーエイジャー”の最新研究をもとに、いくつになってもピンピンした状態を保つための知見を考えております。

 

で、そのために本シリーズでは、スーパーエイジャー研究で有名なトポル先生が提唱する『Lifestyle+(ライフスタイル・プラス)』を掘り下げてまして、ここんとこは「運動」の話をしております。

 

健康寿命の話になると、どうしても「どれだけ運動すればいいのか?」が気になるところ。1日1万歩なのか、週150分なのか、筋トレは週何回なのか、HIITをやるべきなのか、ゾーン2がいいのか……みたいな話っすね。

 

このへんの数字が大事なのは間違いなく、スーパーエイジャー研究で有名なエリック・トポル先生も、健康寿命を伸ばすうえで「既知の医療介入のなかでも運動は最強クラス」と言っておられます。

 

が、ここで見落とされがちなのが、

 

運動は「やった量」だけでなく、「回復できた量」で考えたほうがいいんじゃないの?

 

という点であります。というのも、同じような運動メニューをこなしたとしても、ある人には健康寿命を伸ばす刺激になり、別の人にはただの消耗になる可能性があるんですよね。

 

ってことで今回は「スーパーエイジャーの運動編」のラストってことで、運動量を自分に合わせて調整する方法をチェックしてみましょうー。

 

 

 

運動はたしかに良いものの、「多ければ多いほどいい」とは限らない

さて、まず前提として、運動のメリットが強力であることは言うまでもなし。心肺機能、インスリン感受性、炎症、睡眠など、運動はかなり広範囲に効くわけです。

 

なので、我々としては「じゃあ、もっと運動すればいいんだな!」となりそうですが、そう簡単にはいかないのが健康の難しさであります。というのも、運動量と健康メリットの関係は必ずしも単純な直線ではないんですよ。

 

たとえば、ある有名な研究(R)では、「ある程度までは運動量が増えるほどメリットが大きいが、一定量を超えると利益が頭打ちになるのではないか?」と報告しておられます。具体的には、この研究によりますと、

 

  • 中強度運動なら週300〜600分、高強度運動なら週150〜300分あたりで、死亡リスク低下のメリットがだいたい頭打ちになる

 

みたいな感じっすね。ざっくり言えば、ウォーキングや軽いサイクリングのような中強度運動なら1日40〜80分ぐらい、ランニングや激しいスポーツのような高強度運動なら1日20〜40分ぐらいで、健康メリットが得られるかもしれない、という話です。

 

ここでのポイントは、健康寿命のために必要な運動量には、ある程度の“実用的な上限”があるかもしれないってところです。たとえば、

 

  • 週150分の運動ができていない人なら、まずはそこを目指す価値はかなり高い。
  • さらに余裕がある人は、週300分ぐらいまで増やすことで追加のメリットが得られる可能性がある。

 

しかし、すでに十分な運動をしている人が、睡眠を削り、仕事の疲労を抱え、関節の痛みを無視してまで運動量を倍に増やしたところで、健康寿命への上乗せ効果がどこまであるかは怪しいわけですな。まぁここらへんはまだ議論が残るとこでもあって、「運動量が多いほどメリットが増える」と見る研究もあれば、「一定量を超えると追加メリットは小さくなる」と見る研究もあるんですが、少なくとも健康目的で睡眠や回復を犠牲にしてまで増やす必要はなさそう。

 

で、このようなポイントが、今回のテーマである「運動の量は、回復できた量で決めたほうがいいのでは?」ってとこにつながるわけです。これはちょっと考えれば当然の話で、「運動が体に良い」のは間違いないものの、個人レベルでは、同じ運動量でも意味が変わるのは間違いないですからね。

 

たとえば、同じ週150分の運動でも、

 

  • 睡眠が7〜8時間取れている人
  • 仕事のストレスが低い人
  • たんぱく質や総カロリーが足りている人
  • 関節や腰に痛みがない人
  • 以前から運動習慣がある人

 

にとっては、ちょうどいい刺激かもしれません。一方で、

 

  • 睡眠が6時間未満
  • 仕事で慢性的に疲れている
  • 食事量が少ない
  • 腰痛や膝痛がある
  • いきなり運動を再開した
  • 年齢とともに回復が遅くなっている

 

という人には、同じメニューが「健康刺激」ではなく「追加ストレス」になることもありましょう。つまり、運動ってのは「どれだけ増やすか?」だけを考えてもあんま意味がなくて、健康寿命をキープするためには、

 

最低限の運動不足は絶対に避ける!しかし、そこから先は、自分が回復できる範囲で増やす!

 

みたいに考えるのが現実的な発想になるんですな。「今日はどれだけ頑張ったか」じゃなくて、「明日もちゃんと動ける体でいられるか」を基準にしようってことですね。

 

これは筋トレも同じで、筋トレってのは週60分あたりで全死亡リスク低下のメリットが頭打ちになる可能性があるんですよ(R)。なので、実際の例としては、「週2回 × 30分の筋トレ」「週3回 × 20分の筋トレ」「週4回 × 15分の自重・ダンベル・マシン運動」ぐらいのイメージっすね。

 

ここも面白いところで、筋トレに関しても「とにかく長時間やればよい」ってわけじゃないんでご注意あれ。繰り返しになりますけど、筋トレの目的ってのは、

 

  • 立ち上がれる
  • 階段を上れる
  • 荷物を持てる
  • 転ばない
  • 姿勢を保てる
  • 腰や関節への負担を減らす

 

といった、人生の後半でも自由に動き回れるための能力を守ることですからね。なので、筋トレは疲労を積み上げる作業ではなく、明日も自由に動ける体を作るための投資になるわけです。というか、私もこんなに筋トレする必要ないんだよなー、といつも思っております。

 

 

 

「翌日の状態」を運動ログに入れておこう!

さて、それでは回復できる運動量をどう見極めるかを考えてみましょう。