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  • 防災情報のてびき 第四回:高温・低温

    2021-09-02 12:00

    管理者のSCです。
    BSC24では防災週間の間毎日「防災情報のてびき」と題しまして、気象庁等から発表される情報について解説するブロマガを投稿してまいります。

    今回は高温・低温に関する情報について解説します。


    1.2週間気温予報

    8日~12日後を中心とした5日間平均の最高気温・最低気温・平均気温を予報するものです。

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    2週間気温予報の情報例。地域ごとに色分けされ、2週間後の気温が平年より高いか低いかを確認することが出来る。

    また、2週間気温予報のページで地図をクリックすると、地域別の詳細情報を確認することも可能です。

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    2週間気温予報の地域別ページ。日毎の推移を確認することが出来る。


    2.熱中症警戒アラート

    熱中症警戒アラートは環境省と気象庁が行う、危険な暑さへの注意を呼びかける情報です。従来気象庁から発表されていた「高温注意情報」を置き換えた情報で、暑さ指数(WBGT)が33以上と予測された場合に地域別に発表されます。
    熱中症警戒アラートが発表された地域では水分・塩分補給や休息を念入りに行い、危険な暑さを避けるため不要不急の外出や運動を控えるようにしましょう。

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    熱中症警戒アラートのページ。地域別に発表状況が確認できる。


    3.低温注意報

    気象注意報の中で唯一気温に関する情報です。低温注意報は冷夏の場合にも発令され、発表された場合は農作物の被害(冷害)が発生する恐れがあります。また、冬にこの情報が発表された場合は水道管の凍結・破裂にも注意が必要です。


    4.スモッグ気象情報

    気温関係とは少々逸れますが、光化学スモッグが発生しやすい気象状況の際に発表される情報として知っておきましょう。

    光化学スモッグとは?

    主にオゾン(9bc6ce0ee78bd59f0f6e2545122d9a3e41574ffd)やアルデヒドからなる光化学オキシダントと、硝酸塩などの微粒子が混合して視程が低下する現象です。オゾンは「オゾン層」という言葉でよく耳にするかもしれないですが、反応性が高く人体に有害となりやすい物質でもあります。光化学スモッグが発生する状況ではオゾンなどの有害物質が増加し、目や喉、皮膚などに刺激症状を引き起こします。特に気管支喘息(既往者含む)、乳幼児、高齢者、持病持ちの方などは影響を受けやすい可能性があるとされています。

    スモッグ気象情報には「注意報(0.120ppm以上)」「警報(概ね0.240ppm以上)」「重大警報(0.400ppm以上)」があります。これらの情報が発令された場合や、光化学スモッグによる症状を感じた場合は、窓やカーテンを閉めて外出を控え、運動を行っている場合は中止することとされています。


    5.最後に

    近年、最高気温が40℃近くまで達する事が多くなってきています。また、冬は寒さで低体温症が発生しやすくなる時期でもあります。気温は人体に大きな影響を及ぼすことを頭に入れ、適切な冷暖房の使用や適度な水分・塩分補給を行いましょう。

    第五回では大雪について取り上げます。



    引用・出典・権利表示

    2週間気温予報サンプル画像:気象庁「「2週間気温予報」と「早期天候情報」について」
    熱中症警戒アラート:気象庁「熱中症警戒アラート」
    (C)2021 Japan Meteorological Agency

    サムネイル背景画像:写真AC「温度計」写真AC「救急車」

    その他画像・文章の作成:自然災害情報共有放送局
    (C)2021 Bousai Share Channel



    ブロマガ作成

    文章:SC
    画像:SC

  • 防災情報のてびき 第三回:地震

    2021-09-01 12:00

    管理者のSCです。
    BSC24では防災週間の間毎日「防災情報のてびき」と題しまして、気象庁等から発表される情報について解説するブロマガを投稿してまいります。

    今回は地震に関する情報について解説します。

    はじめに

    今日は自然災害情報共有放送局の開設から7年です。今後とも自然災害情報共有放送局をよろしくお願いいたします。

    また、今日は防災の日・大正関東地震(関東大震災)から98年です。「常に備えていつ災害が来ても良いようにする」この心がけで、様々な災害に対して対処することが出来ます。ぜひ身の回りの備えを確認してみてください。

    1.緊急地震速報

    言わずと知れた、揺れることを即座に知らせてくれる情報です。おそらく災害に関心のない方でも耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

    .どういった仕組みで発報されるの?

    地震波(厳密には実体波)は大きく分けてP波S波の2つに分けられます。

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    平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)発生時の強震モニタの様子。最初に比較的弱い揺れであるP波、その後に強い揺れであるS波が同心円状に広がっている。(画像は2011年3月11日14時47分13秒の様子) 国立研究開発法人防災科学技術研究所より引用。

    速度が早く比較的弱い揺れ「P波」の観測を基に、速度が遅く強い揺れ「S波」の大きさを予測して発表しています。
    P波が到達してからS波が到達するまでの時間(P-S時間)が長ければ長いほど猶予時間が長いこととなります。逆にP-S時間が短い直下型地震では緊急地震速報が鳴らないうちに主要動ということも十分考えられます。緊急地震速報を過信しすぎず、揺れを感じたら身を守ってください。

    Ⅱ.緊急地震速報にはどういった種類があるの?

    大きく分けて予報警報の2種類があります。

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    緊急地震速報の種別分類一覧(一部例外あり)。

    テレビやラジオ、携帯電話で受信する緊急地震速報は「緊急地震速報(警報)」と呼ばれるもので、基本的に予想される最大震度が5弱以上の場合に発令されます。なお、予想最大震度6弱以上の場合は特別警報に分類されますが、発報時には区別されません。
    一方、BSC24でも取り扱っている「緊急地震速報(予報)」は高度利用者向けとも呼ばれ、専用の受信機やソフトを用いて受信します。発令条件は予想される最大震度が3以上、もしくは予想される規模がM3.5以上の場合です。※継続報においてはその限りではありません。

    緊急地震速報(警報)を受信して該当地域に居る場合は、速やかに身(特に頭)を守る行動を取ることが大切です。
    緊急地震速報(予報)はあくまでも迅速性に重きをおいた情報ですので、目安程度に見ると良いかと思います。

    Ⅲ.どういった情報が発表されるの?

    緊急地震速報では、地震の発生したと思われる震源(緯度経度、深さ)や規模(マグニチュード)、予測した最大震度、地域ごとの震度と到達予想時刻が発表されます。

    予報では、同じ地震に対して2報~10報程度、最大260報程度が随時発表されるものに対して、
    警報では、大きい地震で1回程度、地震がとても大きい場合は5報程度発表されます。

    また、気象庁が震度を予測したものではなく、地震動予報事業者(NIEDやWNIなど)が予測した震度を緊急地震速報(予報)として発表している場合があります。



    2.地震情報

    気象庁等が設置している地震や震度計のデータを集約し、どの観測点でどのくらいの揺れを観測したのかを発表します。

    国内の有感地震(震度1以上の地震)に関する地震情報は大きく分けて「地域別の震度情報(震度速報)」「規模・深さ・位置・津波有無の情報(震源に関する情報)」「震源の位置と観測所別の震度情報(震源・震度情報)」の3つに分けられます。


    「震度速報」は、最大震度が3以上の際にざっくりとした地域別の最大震度を発表するものです。おおよそ地震発生から1分半ほどで発表されます。

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    震度速報の発表例。この例の場合、宮城県南部・福島県中通り・福島県浜通りが震度4、宮城県北部が震度3となる。(画像は2021年8月22日11時24分ごろに発生した福島県沖地震の地震情報) 気象庁より引用。


    「震源に関する情報」では、震度速報の後に名前の通り規模・深さ・位置といった震源の情報、また津波の有無が発表されます。テレビでよく聞く「この地震による津波の心配はありません」や「若干の海面変動の恐れがあるものの被害の心配はありません」は基本的にこの情報が基となっています。※津波注意報・津波警報・大津波警報発令時は情報発表されません。地震発生から2~3分ほどで発表されます。

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    震源に関する情報の発表例。(画像は2021年8月22日11時24分ごろに発生した福島県沖地震の地震情報) 気象庁より引用。


    「震源・震度情報」では、観測点別の震度情報が発表され、この時点で市町村別の震度がわかります。地震発生から3~6分ほどで発表されます。なお、最大震度2以下で震度速報等が発表されなかった場合はこの情報が初報となります。
    ※以前は震源・震度情報と各地の震度に関する情報がそれぞれ発表されていたが、現在は事実上統合。
    ※また、震度1以上観測していなくても津波予報や緊急地震速報(警報)を発表した場合などにも発表されます。

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    震源・震度情報の発表例。(画像は2021年8月22日11時24分ごろに発生した福島県沖地震の地震情報) 気象庁より引用。

    また、これらとは別に、海外での大規模な地震について発表する「遠地地震に関する情報」もあります。

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    遠地地震に関する情報の発表例。(画像は2021年7月29日15時16分ごろに発生したアリューシャン列島地震の地震情報) 気象庁より引用。



    3.さいごに

    今回は地震に関する情報について特集しました。地震はいつどこで起こるか全く以て分かりません。日本の場合、何百年も大地震が発生していない地域で今大地震が発生しても不思議ではないのです。発表される情報の意味を理解しながら平時にシミュレーションすると、いざという時に適切な防災行動を取りやすくなります。なるべく想定外を減らすためにも是非実践してみてください。

    第四回では高温・低温について取り上げます。



    引用・出典・権利表示

    強震モニタ:NIED(国立研究開発法人防災科学技術研究所)
    (C)2011 National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience

    地震情報:気象庁
    (C)2021 Japan Meteorological Agency

    サムネイル背景画像:写真AC「神戸港に残されている震災の遺構」

    その他画像・文章の作成:自然災害情報共有放送局
    (C)2021 Bousai Share Channel



    ブロマガ作成

    文章:SC、そうし
    画像:SC
    サムネイル:SC

  • 防災情報のてびき 第二回:津波

    2021-08-31 12:00

    管理者のSCです。
    BSC24では防災週間の間毎日「防災情報のてびき」と題しまして、気象庁等から発表される情報について解説するブロマガを投稿しています。

    今回は津波に関する情報について解説します。

    1.そもそも津波とは?

    津波とは地震や火山活動、山体崩壊などにより、海底の地形そのものが急変して、海洋に生じる大規模な波の伝播現象です。波浪や高潮とは大きく異なり水の塊のような波が押し寄せるため水圧が非常に大きく、場合によっては人的・物的ともに甚大な被害をもたらします。

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    通常の波と津波の比較図。津波は水の塊が押し寄せるイメージ。(一部AC worksの素材を使用)


    2.津波情報にはどういった種類があるの?

    津波情報は「大津波警報」「津波警報」「津波注意報」の3種類(「津波予報」も含めると4種類)があります。

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    津波情報の一覧。予想される高さによって区分が分類されている。

    I.津波予報(若干の海面変動)

    津波予報は0.2m未満の海面変動が予想される場合に「若干の海面変動」と発表されます。津波による被害の心配はありませんが、漁業関係などで海に出る場合は注意して活動する必要があります。

    II.津波注意報

    津波注意報は0.2m以上1m以下の津波が予想される場合に「1m」と発表されます。発表された場合、海岸線や川の河口から離れる必要があります。なお、津波は「津波とは?」に示したとおり水の塊ですから、20~30cmでも巻き込まれる恐れがあります。YouTubeに1mの津波を実験する動画が上がっていますので、そちらもぜひチェックしてみてください。BSC24開設後の事例では、薩摩半島西方沖地震(2015年11月14日)、熊本地震(2016年4月16日)、山形県沖地震(2019年6月18日)、宮城県沖地震(2021年3月20日)等があります。

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    2021年3月20日の宮城県沖地震の際の津波情報。

    III.津波警報

    津波警報は1m超3m以下の津波が予想される場合に「3m」もしくは「高い」と発表されます。※精度の良い規模がすぐには求められないM8超の巨大地震と推測される場合は「高い」を使用。自治体などが発行しているハザードマップや現地の標示に従って避難する必要があります。BSC24開設後の事例では、福島県沖地震(2016年11月22日)があります。

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    2016年11月22日の福島県沖地震の際の津波情報。

    IV.大津波警報

    大津波警報は3m超の津波が予想される場合に「5m」「10m」「10m超」もしくは「巨大」と発表されます。※精度の良い規模がすぐには求められないM8超の巨大地震と推測される場合は「巨大」を使用。大津波警報クラスとなると沿岸部が浸水する恐れが高くなるため、なるべく海岸から離れたところや頑丈な建物のなるべく高いところへ避難する必要があります。2021年8月現在、BSC24開設後に大津波警報が発表された事例はなく、最新の事例は東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)となっています。※当時の区分名は「津波警報(大津波)」



    3.どうやって高さや時間を予測しているの?

    気象庁では津波を発生させる可能性がある様々な地震について、予め「位置」「深さ」「規模」のパターン分けをし、予報区ごとの高さと到達時間をデータベースに保存しています。気象庁資料によれば、その数は約10万件に及ぶそうです。

    なお、断層の傾きが45°の逆断層型地震としてシミュレートするので、45°よりも小さな角度であれば予想より小さな津波が来ることも考えられますが、45°よりも大きな角度であれば予想より大きな津波が来ることも十分考えられます。予想高さを過信せず、とにかく遠く・とにかく高くを意識して避難してください。



    4.津波情報で注意すべき点

    現在の体制では津波情報は2~3分ほどで発表されますが、震源が陸地に近い場合は津波情報が発表される前や揺れが収まらないうちに津波が到達することもあります。海岸付近や河口付近で大きく長い揺れを感じたら、津波情報の発表を待たずに避難することが大切です。

    避難する際、車での避難は渋滞に巻き込まれ逃げ遅れる可能性がありますので、自らの足で避難することをおすすめします。

    大規模な津波の場合、場合によっては1日以上津波が繰り返し何度も押し寄せます。波が引く時間帯もありますが、その時点で沿岸部の低地に戻ってしまうとその後来襲する波に襲われてしまうケースもあり非常に危険です。津波情報が解除されるまでは安全な高台や海岸から離れたところへの避難を継続させることが被害を減らす上で重要となります。



    5.さいごに

    今回は津波に関する情報について特集しました。警察庁資料に拠ると、東日本大震災で亡くなられた方々の死因の9割以上は津波に依る溺死です。震源地が陸地に近い海底の場合、数分のうちに津波が来ることも考えられます。沿岸部で大きく長く揺れたらとにかく早く逃げることが大切になってきます。いつ避難しても良いよう予め避難経路は確認し、実際に発生した際は一目散に逃げ、周囲に知らせながら逃げられるようにしましょう。

    第三回では地震について取り上げます。



    引用・出典・権利表示

    東日本大震災の死因割合(出典):平成23年版 防災白書・図1−1−4 東日本大震災における死因(岩手県・宮城県・福島県)

    サムネイル背景画像:写真AC「第18共徳丸 東日本大震災の記憶 気仙沼市鹿折地区」

    その他画像・文章の作成:自然災害情報共有放送局
    (C)2021 Bousai Share Channel



    ブロマガ作成

    文章:SC
    画像:SC
    サムネイル:SC

    ブロマガ確認:ND