今でもよく覚えているのだが、2年前の6月、僕はこの仕事に就いてから初めて「今月は(音楽の)仕事が一切ない」という事態に陥った。

 

 「事態に陥った」なんて書くと、悪事に聞こえるかもしれないが、全然そんなことはない。幸いにしてこのブログマガジンがあり、活性化したし、今日に至る流れができた。

 

 世の中には「転んでもただでは済まさない」「逆境は最大のチャンス」とかいう言葉があるけれども、あれはきっと、転んだら転びっぱなしの人が嫉妬して言い放ったのだろうし、逆境をチャンスにできなかった人がいったのではないかと思う。

 

 ずっとワーカホリックだった僕のスケジュール帳が真っ白だったのを見たとき「なんか詩的だな」と思った。モダンアートの清潔さというか。今から思えば「バカンス」感覚だったことは、前の日記に書いた。

 

 今更嘘だとも思われないだろうけれども、僕は「この禍々しいコロナ禍が去ったら、必ずこの手帳いっぱいに仕事を戻してやる」と、拳を握りしめたり全然しなかった。この時握りしめた人が「逆境は」を言語化した人々だろうな、というのが3段落目の要旨である。

 

 2年が過ぎ、2年後の6月は、仕事でいっぱいになった(今年、最も仕事が多いのが今月である)。復興した。という感はなく、「2年前って、なんだったんだろうな」と、SFかファンタジー小説のような感覚があるだけだ(まあまあ、実際は、ブロマガ活性化で大いに働いていたわけだが)。

 

 厳密には5月末だが、新音楽制作工房のパーティーがあったし、先日は四谷の「い~ぐる」でトーク&ミニライブ(良いねえこの響き笑。貧乏臭さにも、バブル感にもどっちも使える「トーク&ミニライブ」笑)があって楽しかったし、今週末は生まれて初めて子供向けのワークショップをすることになった(自分でもまだ信じられないので、宣伝動画を撮って、自分で見ている。「自分でも信じられない」というのは、このアイデアを、僕自身が出した。ということを主に指している)。