12月14日(土曜)

 

 明日(実質上の今日)の夜電波は、ここにも書きました通り、大友良英さんと薄毛の話しをするつもりが、盛り上がりすぎて急遽2週連続に成り、薄毛コーナーは翌週の後半からになったので、補完的にコチラで展開します(笑・何言ってんだ)。

 

 とにかくワタシが申し上げたいのは、「ハゲ」という言葉は、「阿呆」「蛸」等と同じで、実際に禿頭かどうかは問題ではなく、怒りに任せてすべての対象に向けられる、万能罵倒語の側面もあるので、という事をワタシは充分承知しております。ワタシの実家が、毎夜客同士のケンカが繰り広げられるバトルフィールドであった事は御存知の通りですが、特に毛髪の状態と関係なく、やたらと興奮した御仁が「るっせえハゲ!!」等とシャウトしておった事を、目を細めて懐かしく思い出します。

 

 然るに、しかしですなあ、何事にも中央分離帯というか、グレーゾーンというか、そういった存在がありますし、何せワタシが思うに、ここ数十年で、日本人が最も研ぎ澄まし、定着させた観念/単語は「微妙」だと思います(その反動で、ネット内の自我が――どんなに斜に構えても、結局の所――どんどん退行して純化し、つまり「微妙でない」状態に追い込まれる事でバランスする訳ですが)。英語だとデリケートとかセンシティヴだとか当てたく成りますが、どちらも「微妙」に違いますね(ワタシの経験ではSUBTLE(サブトゥル)――A SUBTLE DIFFERENCEは、厚いガラスと、薄くはないガラス、の違い等に用いられるので――ですが)。

 そんな「微妙」という微な妙を愛で、初めて恋人に作って貰ったオムライスに対し「どう?美味しい?」と言われて「うーん微妙」と(あまりに正直に)答えてしまう。といった微妙の国のお子様ランチ達が、薄毛という、明らかにインデペンデンスな状態、まあ、独立国家ですね。それを「ハゲ」という、これまた完全に独立した王国と乱暴に同一視してしまうのは、糞味噌一緒というよりも(ここでは特に)ケニアと南アを一緒にしてしまったり、オランダとベルギーを一緒にしてしまう愚に等しいと言えるでしょう。長きに渡り「はげと薄毛は殺人と殺人未遂ほど違う」という修辞によって訴え続けて参りましたが、先日の番組収録では自粛せざるを得ませんでした(無念)。

 ワタシの考えでは「薄毛」という国の中でさえ「猫っ毛(一本一本が細く、腰が弱い)」という地域と、毛髪自体の本数が少ない「ハゲ未満」という地域があり、そして、その双方をあらゆるパーセンテージの中で共有している、広大な地域があります。

 

 そこで、さて自分の住所は何処だという事ですが、ワタシは薄毛国の猫っ毛県の県庁所在地から自家用車で僅か40分ほどに位置する、ハゲ未満県の県境に住んでいます。写真をご覧下さい。