ボーイズ・ラブの話を続けます。いやまあ、BLに限らない「ジャンルフィクションとは何か」、ひいては「エンターテインメントとは何か」という話ですね。

 まず、ぼくが好きな『ひだまりが聴こえる』というBL漫画があるのですが、その最新刊のAmazonレビューに「これってBLじゃないですね、もう。リミット1までは3回くらいは読み返せたけど、この巻はもう、胸キュンとか萌えとかとは縁遠い世界。もう一度読み返したいと思いませんでした。」というものがあります。

 つまり、この人は「胸キュンとか萌え」こそがBLであり、そこから逸脱してしまったらもう「BLじゃない」と考えているわけです。

 この意見は示唆的だと思います。ジャンルフィクションにともなうある種の予定調和性(「コード=お約束」)から外れてしまったら、そのジャンルのファンからは反発が生じるということ。

 お約束がものをいうジャンルフィクションで何かし