その男、タカ 3―加藤鷹ゴッドフィンガー伝説 (プレイボーイコミックス)

 このあいだいとこの娘(8歳)がうちに遊びに来たのですが、ひとの家だというのに傍若無人の限りを尽くし、ぼくの部屋に入ってエロ漫画を見つけては「これなあに?」と訊ねるというお約束をかましてくれたので焦りました。

 「いけない! それはエッチな大人の漫画だよ!」とはいえず、無言で取り上げるに留まったのですが、いやー、ほんと、子供って恐ろしい。「だからそれはソファであってトランポリンではないといっているだろ!」と何度思ったことか。でも可愛いけれどね。

 まあ、そういうわけで(何が?)エロ漫画はわりと好きなんですが、男性向けのエロ漫画はあまりに観念的で現実を無視していて、時々、白々しい感じがしてしまいます。この場合の観念的というのは「肉体を軽視している」ということを意味しています。

 このニュアンスが伝わるかどうかわからないけれど、とにかく読んでいて肉体を感じないんですね。もう完全に作者の妄想の世界なんだよね。いや、もちろん妄想の世界でまったくかまわない、むしろそうでなくては困るのだけれど、純粋な妄想の世界に触れていると、時々、もう少し現実よりの世界が恋しくなる。

 それならアダルトビデオ見ればいいだろといわれるかもしれませんが、あれはあれで何かこう不毛感がただようというか、表現としての豊かさを感じさせないものなんですよね。まあそうじゃないものもあるんだろうけれど、ぼくとしては「なにか違う」感が否めない。

 一時期、『エヴァ』の庵野監督がAVを撮りたいといっていたことがあって、それはかれのドキュメンタリー志向から来ていることなのだろうけれど、ぼくとしてはあんまりそういうものを見たいとは思わない。庵野さんの撮るAVって関心が「女の子」じゃなくて「自分」に向かうものになりそうな気が。偏見かしら。

 まあそういうわけで、長い前置きになりましたが、「肉体」を感じさせる女性向けエロ漫画としてぼくはもんでんあきこの漫画が好きです。「肉体を感じさせる」とは、べつだん性描写がリアルだということではなく、あくまで感覚として「生身」を感得させるものがあるということですね。