Omasuki Fightの北米MMA抄訳コラム「MMA Unleashed」――今回のテーマは「アメリカで金曜8時は地上波プロレスの時間! WWE、UFCもビックリのビッグディール獲得!です!






5月17日午前9時30分、ステファニー・マクマホンとその夫、ポール・ラベスク(トリプルH)は、マンハッタンにある21世紀フォックス本社44階の会議室に向かった。彼らはそこで、WWEの放映権獲得を狙っているFOXの重役にプレゼンを行うのだ。

WWEの人気番組RawとSmackdownは共に、2014年から現在に至るまで、NBCUniversal(以下NBCU)傘下のUSA Networkチャンネルで放映されている。2019年9月末で満了する現在の放映権料は、年間1億3,000万ドル(143億円)だ。NBCUでは両番組の放映権契約を、これまでの3倍弱に当たる年間3億6,000万ドル(396億円)、期間10年で更新しようと考えていた。しかしNBCUとWWEの交渉は合意に至らないまま、独占交渉期間が5月16日の午後4時59分を持って終了すると、WWEとFOXは、Smackdownの放映権について、年間2億500万ドル(225億円)、期間5年で契約を締結した。

こんなに早く契約がまとまったことをみても、プロレスなどのライブイベントが同局の戦略にとってどれほど重要だったかがよくわかる。FOXグループを率いるマードック一族は今、資産のほとんどをディズニーやコムキャストに売却した後の新生FOXの立ち上げに奔走しているのだ。

5月17日のミーティングには87歳の御大、ルパート・マードックも参加した。この案件を仲介した広告代理店は、UFCの親会社エンデバーのライバル会社であるCAAだ。会議室には巨大なテレビ画面が設置され、そこにはレッスルマニア34でロンダ・ラウジーがトリプルHをファイアーマンズ・キャリーで持ち上げているシーンに、Fox Sportsのロゴがあしらわれた写真が映し出されていた。 ラウジーはこれだけでも、すでに大仕事をやってのけたも同然だ。
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