「RIZIN11」で中井りんと対戦する杉山しずかインタビュー! 大学生時代にJEWELS旗揚げイベントでデビューし、就職、結婚を経て戦い続きてきたこれまでの道のりを語ってもらいました!(聞き手/松下ミワ)
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――杉山選手にとって念願の中井りん戦が決定しました! RIZINからオファーが来たときはどういう心境でした?
杉山 完全に「ラッキー!」という感じでした。だって私、前回のRIZINで渡辺華奈ちゃんに負けちゃったので、順番は彼女よりは後ろだと思っていましたから。
――榊原代表によると、6月のDEEP JEWELSに参戦した渡辺選手のダメージも考慮しつつ、同じ大会での杉山選手の戦いぶりを見て決めた……ということでしたね。
杉山 まあ、いろんな考えがあるとは思っているんですけど、それでも結果的に試合ができない人たちがいる中で、RIZINのような大きな舞台で戦えるというのは感謝すべきだなと思います。
――杉山選手は、以前から中井選手を意識されていた感じですよね?
杉山 それは、周りから「そろそろ中井りんとの試合が組まれるんじゃないの?」と言われることが多かったので。当時は私がJEWELS、彼女がVALKYRIE(ヴァルキリー)に参戦していたので、自分ではあまり認識していなかったんですけどね。でも、実際に試合を見ると「なんてヤル気に満ちた人なんだ!」と思いました。
――たしかにヤル気に満ち満ちています(笑)。
杉山 彼女は誘惑が少ない環境にいると思うんですよ。だから、格闘家という職業と、戦うということに集中できている選手だと思いますね。
――中井選手は地元・愛媛で日々練習されているわけですからね。それはつまり東京は誘惑が多いということですか?
杉山 そうですねぇ。私の場合は、“格闘家”という職業を使って、いろんな仕事をさせてもらっているし、生きていくためにそういうことを覚えたので(笑)。
――たとえば、テレ朝の深夜番組『超人女子』にレギュラー出演したり。
杉山 はい。だから、ほかの選択肢を持たず、ただただ格闘技に打ち込めるというのは、きっと学生のときの部活みたいな気分なんだろうなって。そういうのがまだ続けられているのかと思うと、羨ましいですね。
――試合の作戦はもう立てていますか?
杉山 相手を見すぎてダラダラと攻め込まれるのはもったいないので、いままでの彼女の試合を加味しすぎずに、自分の好きなように戦いたいですね。たぶん、向こうは“カブトムシ戦法”で攻めてくると思いますので。
――か、カブトムシ戦法? なんですか、それ?
杉山 ……え? 中井選手って、カブトムシを獲って生活しているから、そう言われてませんでしたっけ?
中井りん、カブトムシを捕まえる
http://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar1119759
――ええっと、確かにカブトムシは獲っているようですが、“戦法”に関しては初耳です(笑)。
杉山 あ、戦法というのは、村田夏南子ちゃんとの試合のときの話ですよ。
――2016年末の両者の対戦のときですか?
杉山 夏南子ちゃんってレスラーだから、中井選手はスゴく重心を低くして戦っていたじゃないですか。そういう状態で攻撃してくるから、カブトムシ戦法…………ん? もしかしたら私、勝手に名前付けちゃったのかもしれないです!
――どおりで初耳だったわけです(笑)。つまりは重心の低さに気をつけたいということですね?
杉山 そうです! 私とも身長差があるので、距離感には気をつけながら戦うつもりですね。
――その点では、同じジムの村田選手からは何か情報は得ましたか?
杉山 はい。夏南子ちゃんのレスリング能力はピカイチなので、私は同じ戦い方はできないんですけど、あれだけタックルにスピードがあったのに「なぜテイクダウンできなかったのか?」ということについて話しました。あとは、相手のセコンドの声を聞くなとも言ってましたね。
――相手のセコンド……。それは、中井選手の師匠である宇佐美館長のことですね!
杉山 私、記者会見では「相手のセコンドの声を、よく聞きたいです」と言ったんですよ。たとえば、「右に回れ!」とセコンドが言っていたら彼女は本当に右に回るから。それを聞いて自分の攻撃に活かしたいなと思っていたんです。でも、夏南子ちゃんに聞いたら、戦っているとスゴく気が散るから「絶対に聞いちゃダメですよ!」って。
――なるほど(笑)。
杉山 でも、試合になったら聞かざるをえないんでしょうねえ。相手は選手とセコンドの一体感が凄いですから。
――たしかに一体感がありますね(笑)。ところで、今回の試合は女子格闘家でもキャリアの深い2人の対戦となりました。杉山選手自身は東海大学在籍時にJEWELSでデビューしたのがキャリアのスタート地点ですよね?
杉山 そうです。それまではバレーボールをやっていたので、格闘技には触れていなかったです。もともと体育の教員になりたくて、そのために空手道禅道会に入ったんですよ。
――「そのために」というのは?
杉山 私が教員免許を取る時期に、ちょうど柔道やダンス、あと剣道あたりが学校で必修になる時期だったんです。でも私自身、柔道はもちろん、バスケットすら接触スポーツはイヤだったんですよ。東海大は柔道が強い大学だったので、柔道にはちょっとは興味も湧いたんですけどね。
――東海大といえば、井上康生さんをはじめ、数々のメダリストの出身大学でもありますもんね。でも、そういった競技を経験していないと、先生になれないということですか?
杉山 いや、経験せずに教師になる人もいるんですけど、採用されたり職員になってから「できない、どうしよう……」と、先生同士で教え合うということもあるんですよ。でも、私自身は先にそういう競技を経験しておきたかったんですね。ただ、部活じゃなくて、密かに習得できればいいなあという感じでしたけど。
――それで独自に習得できるとこを探したんですね。
杉山 で、自分の家の近くでできそうなところに入ったんですよ。でも、それが禅道会という空手の道場だったんです(笑)。
――柔道ではなかった(笑)。
杉山 いずれにしても部活のように集中して練習するというのは好きなので、大学でも何かに打ち込みたいとは思っていたんです。何かで「一番になってみたい」って。だから、打ち込めるものが見つかってよかったんですけどね。
――でも、こんなにハマると思いました?
杉山 思わなかったですねえ。いまだに続いているわけですから不思議ですね。その後、おかげさまで無事に体育の教員免許も取れまして、じつは大学を卒業して5年ぐらいは臨時教員として働きながら試合に出ていたんですよね。
――「戦う体育教師」だったわけですね。杉山選手は2008年のJEWELS旗揚げ大会でデビューされるわけですが、そういう女子格闘技イベントが誕生することについて、当時はどう思っていたんですか?
杉山 なんか、そういうのは全然わかっていなかったです。JEWELSに出て初めて総合格闘技に触れたみたいなものなので。私、ほとんど何も経験せずに、いきなり試合に出たような感じだったんですよ。
――では、JEWELS参戦のきっかけは?
杉山 禅道会の大会とかアマチュアルールで戦っている試合を、JEWELSの関係者が見に来られていたんですね。それで「階級的にも大きいし、ぜひ出てみませんか?」と声をかけてくださったんです。
――実際、総合格闘技の初試合はどんな感覚でした?
杉山 スゴく楽しかったです! 全然怖くなかったですし。それに、空手の道場に通っていたのに、私、デビュー戦はチョークで一本勝ちしているんですよ。まあ、寝技もまったく練習していなかったわけでないないんですけど。
――そこから4連勝、5連勝と、立て続けに勝ってしまうわけですから、総合格闘技にフィットしていたんですね。
杉山 そうですね。でも、初期のJEWELSってパウンドなしルールだったから、連勝できたのはルールに助けられたのかもしれないです。パウンドありだったら、本当は負けてたんじゃないかなと思ったりもしますね。
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