アメリカのインディプロレスの“現在”を伝える連載! アメリカインディープロレス専門通販「フリーバーズ」(https://store.shopping.yahoo.co.jp/freebirds)を営む中山貴博氏が知られざるエピソードを紹介していきます! 今回のテーマは勝手にしやがれ! アメプロ開催中止騒動の歴史です



先日10月17日、沢田研二が、さいたまスーパーアリーナでのコンサートを「契約上の問題」を理由に急遽中止したことが騒動になった。中止理由についてはいろんな憶測が飛び交ったが、結局のところ「お客さんが9000人と聞いていたのに7000人だった」ことだとされた。本来なら怒っても良さそうなファンたちだが、あまりSNSを使わないファン層が多いせいか、表立って怒りを表明するツイートをするわけでもなく、逆に沢田研二を心配するファンも少なくなかったそうだ。規模は違えどアメリカのインディー団体でも過去に様々な開催中止騒動があった。

2005年10月22日。アメリカ深南部と言われるアラバマ州にある人口わずか5000人のスモールタウン、チルダーズバーグ。平和でのどかなこの街の体育館で、インディー団体IWAディープサウスの興行1Dayデスマッチトーナメント『キング・オブ・ザ・デスマッチ』が開催されていた。
会場の体育館には、小さな子供たちを連れた家族や、年配の老夫婦まで、老若男女が多く集まっていた。

そこへ突然、「やめろ!中止だ!こんな残酷なことは認めるわけにはいかん!」と、警察官が怒鳴りながらやってきた。警察官の宣告のまま、1回戦5試合が終わった時点で中止を余儀なくされてしまった。

この日集まったお客さんのほとんどが、IWAディープサウスをよく知らず、普段テレビで見ているWWEのようなファミリーエンターテイメントプロレスを期待していた。しかし、目の前で繰り広げられたのは、蛍光灯や有刺鉄線による凶器攻撃で血だるまになるデスマッチだった。ここでも憶測が飛び交った。「ケガをした選手が病院に運ばれ、病院側が警察に連絡してしまったのでは?」とか「近所の人が気持ち悪がって通報したのでは?」などなど。

実際は、小さな子供を連れて見に来ていた母親が、蛍光灯攻撃により、肩口がえぐられ、そこからドボドボ流れるおびただしい量の血を見て卒倒しそうになってしまい、「いつもテレビで見ているプロレスと違うじゃない!こんなの子供たちに見せられないわ!」と、その場で警察に通報してしまったのだった。
いま入会すれば読める11月コンテンツ

北関東プロレス界隈の首領・島田宏インタビュー/UFCフライ級は消えてしまうのか?/アメプロ開催中止騒動の歴史/MMA業界初の大型トレード! その幸福な結末/QUINTETラスベガスの衝撃――中井祐樹