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DEEPミクロ級トーナメント決勝をアム・ザ・ロケットと争う
古瀬美月インタビュー。『格闘技代理戦争』で注目を浴び、大一番を迎える19歳のこれまでをたどる(聞き手・松下ミワ)


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レスリングを20年間、撮り続けきたカメラマン――保高幸子インタビュー




――
AbemaTVの『格闘代理戦争 3rd』で話題をさらった古瀬選手ですが、2月に行なわれたDEEPミクロ級トーナメント1回戦・玉田育子選手に勝ち切って、またガッと注目度が増していますね。

古瀬
 ありがとうございます。私の周りでも、あの試合に勝ってからけっこう反響がありました。

――
『闘う女』というシリーズのYouTube動画でも、古瀬選手の特集が上がっていました。

古瀬 あれも、うまく作っていただいてよかったです(笑)。まあでも、1回戦の試合は自分的には勝ちはしましたけど、あとから試合映像を観たら、ちょっとモヤモヤする試合だったのかなあと反省しています。

――
結果としては判定勝利でしたけど、どのへんにモヤモヤしているんですか?

古瀬
 うーん、やっぱり全部受け身になっちゃってましたよね。自分から試合の流れを作れてないというか。相手の攻撃に対して対応している動き方だから、まだまだ自分から攻めたりすることができてないのかなと。

――
セコンドからの作戦指示は「好きに戦っていい」ということだったんですよね?

古瀬
 そうです。だから、自分的にはミドルをバチバチに蹴って、とにかくボコボコにしてやろうと思っていたんですよ。でも私って、試合で緊張しちゃうんですよねえ。人前がけっこう苦手で……。

――
そうなんですか?(笑)。

古瀬
 目立つことは好きなんですけど、人に見られているとスゴく上がっちゃうんです(苦笑)。だから、相手の名前がコールされているとき、意外と向こうの応援団が多くて、なんか気が滅入っちゃいました……。

――
ハハハハハ! 繊細ですねえ。

古瀬 いやー、ダメなんです。今回、大会の冒頭でもマイクで選手代表挨拶をさせてもらったんですけど……。裏で練習していたときは完璧に言えてたんですけど、やっぱり人がいるとわかると緊張しちゃって噛み噛みで。

――
たしかにに、めっちゃ緊張してましたね(笑)。

古瀬
 でも、なんか矛盾してますよねえ。目立ちたいんですけど、人前がダメというのは。今後も緊張とはうまく付き合っていかないといけないなって。

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――
緊張した中でも、うまく戦えた部分はどこだったんですか?

古瀬
 できたのは、やっぱりグラウンドですかね。タックルを切ったりする練習って、いままで嫌いでやっていなかったんですよ。でも、これから勝っていくためには好きな練習だけをやってちゃダメだなと。寝技の練習をしてきたことが試合で発揮できたのはよかったかなと思いました。

――
解説の富松恵美選手も「練習しているのが伝わってくる」とおっしゃってました。

古瀬
 それは、うれしいですね! あの試合までの期間に練習環境が本当にガラッと変わったんですよ。ジムも生活の拠点も神奈川から東京に変えて、そこからもう練習しかしてないので。

――
練習が充実しているわけですか。

古瀬
 そうですね。神奈川だと一般会員さんと軽くしか練習できなくて、時間帯も夜しかジムが開いてなかったので。でも、いまは昼も夜も練習できますし、かなり変わってきました。

――
そして当日、トーナメントの向こうの山から上がってきたのは、RIZINでも浜崎朱加選手や山本美憂選手と善戦したアム・ザ・ロケット選手でした。アム選手は適正のミクロ級だとさらに強かったですねえ。

古瀬
 強かったですね。でも、アム選手に対する恐怖心とかはまったくなくて。もう開き直ってやれることをやるだけという感じなんですよね。相手は強いですけど同じ人間ですし、自分は全然勝てると思っているし。たぶん、ちゃんとしたパンチや蹴りが当たれば絶対に倒れるから、その自信はありますね。

――
となると、イメージとしては打撃戦で。

古瀬
 そういう練習をめっちゃしてます。あと、何もしていないときも、ボーッとしながらゴングが鳴ったあとの試合の映像をずーっと頭の中に流している感じですね。

――
ちょっと気が早いですが、アム選手と戦う5月6日はDEEP JEWELSとDEEPとの同日興行で、DEEPではしなしさとこ選手vsにっせー選手のミクロ級タイトルマッチがあるんですよね。

古瀬
 そうなんです! その勝ったほうと絶対に戦いたいと思っていて。自分のイメージでは、右肩にトーナメントのベルトを、左肩にミクロ級タイトルのベルトを担いでいる姿を想像しているんですよね(笑)。

――
昨年12月のDEEPで行われた1度目の対戦は、ノンタイトル戦でしたが、にっせー選手がしなし選手にTKO勝ちしています。今回、古瀬選手の予想としてはどう見ているんですか?

古瀬
 いやー、どっちなんだろう。にっせー選手は前回強かったですけど、2回目はしなし選手も対策をするでしょうし。でも、自分が戦いたいのは、にっせー選手なんですよね。まあ、どっちにしても、そこにたどり着くために、自分をもっと高めないといけないなって。

――
そのために意識も変わってきているわけですね。

古瀬
 以前とは全然違います。今年は「自分の人生を変えるためにも!」という感じですね。

――
ところで、先ほど「寝技は嫌いだから、これまで練習していなかった」とおっしゃってましたけど、もともと古瀬選手って柔道選手だったんですよね?

古瀬
 はい。でも、柔道でも寝技が嫌いだったんで、立ち技ばっかりやってました。

――
そうなんですか(笑)。柔道自体は中学からスタートしたそうですが、柔道家としてはそんなに早いスタートではないというか。

古瀬
 そうですよねえ。早くもないし、しかも高校1年でやめちゃっているんで。だから、皆さんに比べたら、かじった程度なんですけど。小6のときから「中学校では柔道をやりたい!」と思っていたんですよ。

――
それは、どういう理由からですか?

古瀬
 小学5~6年生だった当時、『ドラゴンボール』が大好きになったので(笑)。悟空の息子の悟天くんっているじゃないですか。悟天くんがかわいらしくて「めっちゃ素直なのに強い!」みたいな。

――
ほう。でも、古瀬選手って『ドラゴンボール』直撃世代ですっけ?

古瀬
 どうなんですかね? なんかテレビでやってましたよ。でも、そこで「強い」というのがカッコいいなと思い始めたんですよね。だから、中学は一番ツラい部活に入りたくて。当時、その中学で一番怖い先生が顧問で、めちゃめちゃキツいと聞いたのが柔道部だったので「そこに入りろう!」みたいな。自分、なんか変わってたんですよ(笑)。

――
たしかに変わってます(笑)。

古瀬
 でも、そのまま続けて強くなろうと思っていたら、高校の柔道部で挫折しました……。

――
それは何が原因だったんですか?

古瀬
 まず、中学のときに自分が出ていた階級が、3年間ずっと40キロ以下の階級だったんですよ。でも、高校になると軽くても44キロとか48キロしかなくて。入学当時の自分は41~42キロしかなかったんで、やっぱり誰にも何も通用しないんですよねえ。それで心が折れちゃったじゃないですけど……。

――
体重を増やすのって、かなり大変だって聞きますもんねえ。

古瀬
 あとは指導者の違いもあるのかもなって。中学のときは凄く褒めてくれる先生で。まあ、お世辞でも褒めてもらうとヤル気が出るし、それで頑張ってこれた部分があったんですよ。でも、高校になると結局、結果や数字が重視されちゃうじゃないですか。試合までの過程なんか見てくれないし、評価されないし、興味もないというか。

――
高校は柔道の強豪校だったんですか?

古瀬
 並ですかね。まあ、当時は自分の考えが甘かったというのもありますけど、「みんな、なんでそんなに悪く言うの? 私、やってんじゃん……」みたいな。たとえば、体重が増えないのも、ご飯を食べてないわけじゃないし、弱いけどみんなより1時間早くきて練習してて。「やってないわけじゃないのに、なんでイヤなことばっかり言うの?」って。当時はそう思ってましたね。でも、いま振り返ると「子供だったな」って。それはいまの世界も同じですから。

――
プロ格闘家にとっても結果は大事ですもんね。

古瀬
 アマチュアだったら「練習、頑張ったね」でいいけど、プロは戦績だから。「練習、頑張ってるのに」なんて言い訳が通用する世界ではないですからね。

――でも、当時は挫折しちゃったんですね。

古瀬
 それでもやっぱり柔道は強くなりたかったんですよ。みんなを見返したいとも思ってたし。だからネットを検索して格闘技のジムを探して、そこに入会して強くなろうとしていましたね。

――
あ、そこが総合格闘技との接点だったんですね! でも「柔道で見返したい」のに、総合格闘技のジムに入るとは、けっこう突飛な行動ですよね?

古瀬
 よくそう言われるんですけど、検索して見つけたジムに柔術クラスがあったということもあったので。あとは、やっぱり違う方向から柔道にプラスになることがないかと思っていたんですよね。

――
ちなみに、当時「総合格闘技」や「柔術」については認知はしていたんですか?

古瀬
 いやー、じつは総合格闘技のことをあんまり知らなかったです(笑)。検索したのは「格闘技」というワードだけでした。だから自分、「格闘技 ジム」で検索して一番上に出てきたところに行っただけなんです!

――大胆ですねえ!

古瀬
 そこで、ちょっとやってみたら「いいね! センスあるね!」みたいにメチャクチャ褒められたので、完全にその気になっちゃいましたね(笑)。

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