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ドライな書き方をすれば、どのような状況であれプロモーターや格闘技関係者がイベント開催に奔走するのは当然の仕事なのかもしれないが、北岡悟クラスのファイターがいろんなリスクを背負って自ら戦う場を作ることは驚きである。7月31日、無観客・ウェブ配信のみ、場所は北岡自身が代表を務めるパンクラスイズム横浜、しかも相手はZSTチャンピオン。レジェンド格闘家・近藤有己も出場。運営資金はクラウンドファンディングで募る(https://www.makuake.com/project/satoru_pank)。
「生きる、戦う そして勝つ」のイベントコピーが心に響く「iSMOS.1」の意気込みを北岡悟選手にぬの〜と伺いました(聞き手/ジャン斉藤)
北岡 ありがとうございます。
――メインイベンターにして興行主。やっている本人は大変だと思いますけど……。
北岡 あー、あんまり苦労自慢みたいなことは大嫌いなんですけどね。
――いや、非常に北岡さんらしいです。
北岡 とりあえずここ2週間近く、大好きなツイッターで姿を見せてない、ということだけで事の重大さをわかってもらえれば。
――大好きなツイッターを放棄するぐらい大変なことをやっていたと(笑)。
北岡 ツイッターを放棄しないと回せないというか。クラウドファンディングの記事も自分のスマホだけで書いたんですよ。すべてスマホ。リリースとか自分ができるかぎり書いたものを仕上げてもらって。ちょいちょいパンクラスやRIZINの方が手伝ってくれたりして。
――いやあ、スマホ一本で自主興行が打てる時代なんですね。
北岡 このスマホも2015年の秋くらいに買ったやつですよ。
――いったいどのモデルなんですか(笑)。
――このイベントはいつぐらいから計画されてたんですか?
北岡 4月17日の『Road to ONE:2nd』を見て。あの大会をどこでやったかは表に出せないですけど、都内の某◯◯で行なわれたじゃないですか。ボクはあの大会をABEMAで見てたんですけど、ウチ(パンクラスイズム横浜)でやったら映えるなっていう。ボク自身がそこで試合をすれば引きはあるだろうし。ボクのワンマッチだけでもいいけど、ウチにはいっぱい選手がいるし。パッと思いついたのは近藤(有己)さん。
――北岡さんと近藤さんがこういうイベントに出るって凄い話ですよね。
北岡 ボクと近藤さんの2試合をやる時点でソフトとしてはひとつできてますよね。あとは若い子の試合。そこに木村裕斗というパンクラスとDEEPのアマチュア2冠。どこでプロデビューさせるか考えていた子なので。
――そして放送作家でアウトサイダー王者の大井洋一さんも出る。
北岡 プロになれそうな可能性のあるアマチュアの子(矢澤諒)に「誰とやりたい?」と聞いたら大井さん。その子はDEEPのフィーチャーキングの1回戦で優勝した相手に負けたんですけど、あそこに大井さんが出るかもという話があって。結局大井さんは出なかったんですけどね。
――それでオファーしたんですね。
北岡 大会を妄想した時点でみんなに連絡を取ってみたんですね。「練習はどうしてますか?」と。 コロナがあったから練習できてない可能性があるから。
――練習ができていないジムや選手は多かったみたいですよね。
北岡 長南(亮)さんも無観客イベントやりますけど、練習してない選手が多くてオファーが大変だったみたいで。
――長南さんのイベントってもっとカードを組むのかなと思ったんですけどね。
北岡 そうなんですよね。自分は妄想の段階で実際に試合ができるかどうか確認したんですよね。
――北岡さんの相手はZSTライト級チャンピオンの小金翔選手。また凄い組み合わせですよね。他の国内イベントのどこでもやりたいカードですよ。
北岡 最初に自分の対戦相手として思いついたのは小金くんだったんですよ。対戦相手はベルトを持ってるような選手がいいなっていう。
――対戦相手はベルトを持ってるほうがいいってガッチガチですね!(笑)。ボクは北岡さんがこういうイベントを企画してもまさか本人が出ると思わなかったし、相手がこのクラスであることにもビックリしました。
北岡 妄想した時点で関係者にいろいろと相談して。小金くんがいいかなって思ってたんですけど、関係者から対戦候補のアドバイスをもらったんですよ。「この選手は話題になるんじゃないか」っていう2名。練習してなさそうだけど、ダメ元で当たってみたらどっちも即NGで。
――ちなみにどなたですか?
北岡 ◯◯◯と◯◯さんですね。
――なるほど。たしかにその組み合わせは目を引きますね。
北岡 パンクラスの坂本(靖)さんと話をしたら「北岡悟に勝てると思っている若い選手とやるのがいいですよ」と。だったら最初に立ち返って小金くん。でもZSTがNGなんじゃないかなって思ったんですけど、小金くんもZSTも快諾してくれました。
――幻に終わったカードも興味深いですけど、北岡vs小金のカードにはこの先も懸かったヒリヒリ感がありますよね。
北岡 格闘技として見世物になってますよね。ボク的にも小金くんになって本当にありがたかったですね。でもまあ、戦う本人として試合前に声高に感謝できるわけじゃないですけど。
――戦いながらプロモートするって凄く難しいですよね。
北岡 そうですね。やったことないから。 真剣にもてなしたいから、真剣に格闘技の練習をして、強い自分を用意するというのが礼儀だなっていう。
――まずは競技者としてしっかり向き合うことですね。コロナの中で練習はしっかりできていたんですか?
北岡 はい。それがもう変わらず。ただ、やっぱり4月は練習量は抑えました。 体調を崩す怖さというのは正直あったし、あとはなによりも身体のケアが……整体やサウナがほとんど閉まっていったから。めちゃくちゃ練習で追い込んでも身体のメンテナンスができないというのがあったから。
――コロナの中の生活って手探りですよね。
北岡 初体験ですよね、みんな。新時代。 ボクは早い段階で「コロナは慣れだ」って唱えてたので。 それはツイッターを見て振り返ってもらってもわかるんですけど。それを真似して青木も「コロナは慣れだ」と言い出して(笑)。
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