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バンタム級GP2回戦で扇久保博正戦が決定した大塚隆史インタビュー。DREAM時代「暴言スーパールーキー」と呼ばれた男は最終コーナーを見据える時期に差し掛かっていた……(聞き手/ジャン斉藤)


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――
獅庵戦後、めちゃくちゃ思いつめていた顔をしてたのが印象的だったんですけど。

大塚 試合後? 疲れてた?

――
そうですね、いつもよりも疲れた表情で。フルラウンド戦いきったから、というわけでもなさそうで。

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大塚
 いやあ、情けないなと思いました。うん。いままで試合した中で一番悔しさが……。マジでホントに一番悔しかったですね、勝った試合の中で。

――
2回戦に駒を進めたとはいえ、自分のやりたいことができなかったということですか。

大塚
 そうですね、うん。納得いく試合ができなかったです。やっぱりファンにも期待感を持たせたかったので……「大塚は強いんじゃないの?」ってところを見せられなかったのと、自分自身にも「……こんなもんかよ」ってガッカリしたというか。

――
GPである以上、次戦に期待をもたせたかった。でも今日の会見はめちゃくちゃ面白かったですね。

大塚
 そうですかね?

――
けっこうバチバチした感じがあって。

大塚
 向こう(扇久保博正)もスイッチ入ったと思うし。


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――
扇久保選手は「東京組と大阪組は全然レベルが違う」と挑発してましたが、東京と大阪に分けられたことに差をつけられてるなという印象ってありました?

大塚
 それはRIZIN側に? いやいや、それはないかな。 獅庵選手は大阪(パラエストラ大阪)なので、大阪ラウンドになるなって思ったんで。べつに大阪と東京……全然気にしてなかったですけどね。他の選手は思ってるんじゃないですか、もしかしたら。扇久保選手の発言に対して、ボソと言ってるのが聞こえましたけどね。金太郎選手の YouTube の人が何か言ってましたけどね。

――
今回は最初から扇久保選手でオファーがあったんですか?

大塚
 そうですね。 この会見の2週間前くらいに話があって。「お、いいじゃん」って。

――
第一希望は誰だったんですか?

大塚
 第一希望は特になかったんですけどね。第一希望はないんですけど、獅庵選手との試合を終えたときに「これはマズイな」とホントに思って。優勝候補と言われている朝倉海と井上(直樹)、ここと勝負できると思ってたので獅庵選手との試合をいいかたちで終えて、次にあの2人とやってもいい状態にしときたかったんですよ。でも、今回の試合を見直すと、この2人に勝つにはまだ準備が足りないなぁと。そんなときに扇久保選手が来たので、これはちょうどいいなと。

――
ここでワンクッションを置けるのはありがたいと。

大塚
 大晦日に迎えられるように勝ちたいなと。そこは本当に素直な意見で、客観的に自分を見直せるかなと。

――
扇久保選手にはどういうイメージがありますか。

大塚
 どうなんですかね……打撃をやるイメージだけど、テイクダウンやトップのキープだったり、寝技もしっかりできますよね。石渡(伸太郎)選手とかドツキあってるから気合いは入ってるけど、最近はどうなのかな?っていう。

――
瀧澤謙太戦とか。

大塚
 扇久保選手の実力だったら、もっと圧倒できるんじゃないかなって。こないだの春日井(“寒天”たけし) 選手との試合は途中で拳が折れたので動きに制限がかかったのかもしれないですけど。 

――石渡選手が引退しますが、同じ時代を戦ってきた大塚選手には思うところがあるんじゃないですか。

大塚
 石渡選手が引退を表明したRIZIN CONFESSIONSを見たときに寂しさがありましたね。格闘家に対してそんな感情になったのは初めてかな。怪我のことはあったとは思いますけど、同世代でトップで活躍する選手なので「マジかあ……」と。 

――
大塚選手たちが生きてきた時代はメジャーイベント不在というか、2011年にDREAMがなくなった後の目標はどういうものだったんですか?

大塚
  UFCを目指して頑張ったかなあ。UFCに行くためにどうするかを考えていたから、あんまり苦しいと思わなかったかなあ。 ボクはそのときDREAMに出続けてるわけではなくて主戦場はDEEPだったから。DREAMに定期的に出ていたファイターのほうがしんどかったんじゃないですかね。 

――
あの時代の目標はUFCになりますよね。

大塚
 それこそDEEPの大晦日に石渡選手をやって勝てば、 UFC にだいぶ近づけられたというのはありましたよね。 シュウ・ヒラタさんにもコンタクトを取ってもらって、 石渡選手に勝つと……だったんですけど。まあ、チャンスを活かせずで。

――
その石渡選手に堀口恭司選手が勝ってUFC行きを決めたわけですから国内の争いが熾烈だったということですよね。

大塚
 そういうことですよね。

――
2015年の大晦日にRIZINができたときはどう捉えていたんですか?

大塚
 初めはどうなんだろう。山本アーセンや才賀紀左衛門とかを使っていたから、こういう路線なんだろうなって。注目される舞台ではあるので出たい気持ちはあったんですけど。あと周りもよく言ってくるので「RIZIN、RIZIN」って。 なんだろうなあ……そのときは堀口選手もまだ来てないし、どちらかというとキャラクターのある選手が出るのかなって。

――
そこまで気にしてなかったと。

大塚
 すごく出たいとは思ってなかったですけどね。 堀口選手が来てバンタム級GPをやるよとなったときは、 DEEPのチャンピオンだったので「ちょっと待ってよ」という感じでしたよね。 

――
堀口恭司参戦からRIZINが視界に入ってきたということですね。

大塚
 そのへんから。堀口選手が来るまでバンタム級はフィーチャーされてなかったし。堀口選手が来てからですよね。

――それでバンタム級GPが開催されて、大塚選手はベスト4の結果を残しましたけど、そのあとRIZIN出場の機会はなかったじゃないですか。

大塚
 それはボクがバンタム級GPで負けたこともあるんだろうけど、RIZINという舞台ではそこは自分の役不足なんじゃないですか。あそこで理解しましたよね。

――理解ですか。

大塚
 準決勝で石渡選手に負けて終わったけど、いちおうベスト4。当然、次もあるんだろうなと思ってて。オファーを待ってたんですよね。そのときはDEEPのチャンピオンで、佐伯さんに「防衛戦どうする?」って。「RIZINがあるんだったらRIZINに出たいです」と言ったんですけど。半年ぐらい待ってたけど、オファーはない感じで。そこで理解したというか、俺の役不足というか……。 

――
役不足として納得するのは重くなかったですか。

大塚
 いや、全然全然。現実を理解したし、なんていうのかな。俺は人気のある選手でもないし、ルックスがいいわけでもないし、だから強い選手に勝つっていうことが大事なのかなって。シビアな戦いをしなきゃダメだってことで、いま戦える中で一番強い選手とやってやろうと。 そのときパンクラスでチャンピオンだったハファエル・シウバとやれないかなと。

――実際にアピールしてましたよね。 

大塚
 そうしたら佐伯さんが「ビクター・ヘンリーなら呼べるよ」と。彼に勝てば間違いないでしょって。それで組んでもらったんですけど……まあ負けてしまってね。 

――
大塚選手が新人の頃から戦ってきたDEEPを離れて修斗に戦場を移したじゃないですか。

大塚
 あのときは格闘技を続けるかどうかも迷ってて。元谷選手にDEEPで負けたときに「もういいかな、やりきったかな……」って。そのタイミングでコロナが流行って緊急事態宣言に入って練習ができない。よけいにやる気も削がれて。 

――そのまま引退してしまう可能性があったんですね。
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