プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回は新日本vsノア対抗戦です!



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令和の横アリ大実験!新日本vsノア対抗戦

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武田有弘☓小佐野景浩 「これまでのノアと、これからのノア」




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新日本プロレスとノアの全面対抗戦はかなり盛り上がりましたが、カード発表当初は「交流戦か、対抗戦か」という議論にもなりましたね。

小佐野 「交流戦か、対抗戦か」は選手それぞれの捉え方になっちゃうと思うんだけど、第0試合の新日本・藤田晃生とノア・矢野安崇の若手シングル対決。この試合によって対抗戦のムードがガッと盛り上がったと思うんだよね。 今大会のファンの意識はあの試合で決まったのかなと。キャリア半年の藤田とキャリア1年の矢野にはプレッシャーはあったと思うけど、お互いの団体の看板を背負ってガッチガチに頑張ったと思う。彼らが緊迫感のある試合をしたから、対抗戦として空気ができあがったかなと。

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しかもドローだったことでスイッチが入ったわけですね。藤田vs矢野は第0試合でしたけど、オープニングマッチって本当に重要ですね。

小佐野
 それは新日本プロレスvs U インターの対抗戦もそうだったよね。第1試合の永田裕志&石澤常光vs金原弘光&桜庭和志の緊迫感のある試合があのときの対抗戦に火をつけた。新日本やノアのファンは普段自分たちが見ている団体を応援するだろうし、 そこには中立のファンもいるんだろうけど、 交流戦というイメージだったらチケットは完売にはならない。対抗戦だからこそ応援しようとファンも意気込むんだろうし、藤田vs矢野のぶつかり合いがうまくハマったというか。

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カード云々じゃなくて団体同士の選手が試合をすれば、やっぱり応援しちゃいますもんね。

小佐野
 それにプロレスラーってリングに上がったら自分が一番でありたい生き物だから。それは普段の試合からそうなんだから対抗戦も交流戦もないんだよ。 ただ、昔はただ勝てばいいというものだったけど、いまはキャラクターが強い選手ならば、そのキャラを活かさなきゃいけなったりする。そこらへんも問われるところが昔とは違う点だよね。 勝ち負けも重要だけど自分のキャラクターを届けられるかどうか。 極端な話、負けてもいいけどキャラクターを発揮すればいいという考えの選手もいる。 第0試合の藤田vs矢野のあとにノアのファンキーエクスプレス(キング・タニー、モハメドヨネ、齋藤彰俊)が出てきたけど、彼らはファンキーな部分を見せなきゃいけないわけだよね。

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名前がファンキーだとそうですよね(笑)。

小佐野
 この試合が一番最初じゃなくてよかったと思う。キャラの強いファンキーたちの試合が最初だったら会場の空気はちょっと変わっていたかもしれない。 ファンキーは第3世代(永田裕志、小島聡、天山広吉)と戦ったけど、ファンキー側は齋藤彰俊が出てきたでしょ。あのシーンはよかった。 齋藤彰俊はかつて1人で新日本プロレスに乗り込んだわけだから。

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90年代の新日本vs誠心会館の抗争ですね。

小佐野
 それに当時新人だった永田裕志にとって齋藤彰俊は壁だったんだよね。上に行くために倒さなきゃいけない相手。昔から見てるファンからすると、齋藤彰俊と永田裕志から始まると当時の記憶がよみがえってきたんじゃないかな。

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今回の対抗戦で思ったのは、どういった歴史を感じたりするのかが問われるなって思いました。

小佐野
 本来は、知識がなくても楽しめるべきなんだけど、組み合わせによっては過去を思い出しちゃうレスラーがいっぱいいたってことだよね。いろんな団体に出たうえで、いまは新日本所属、いまはノア所属だったりするし、 どこかのリングでその選手と接点があったりするわけだよ。石森太二が言ってたのかな。“ノアのレスラーと、いまノアにいるレスラーでは違うからと。石森は今回、HAYATA、吉岡世起と当たった。石森がノア所属だった当時、吉岡はいなかったし、最後のほうにHAYATAとは絡んでるけど、石森の中ではHAYATAはノアのレスラーという認識ではないってことだよね。石森からすれば、あくまで外からノアに来たレスラーだから。石森の意識ではノアとの対抗戦と言われても違うでしょと。 でも、それはそれで個人の闘争になるわけだから。

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横アリがレスラーの交差点になってるんですね。

小佐野
 戦いながら懐かしさを感じる組み合わせもあったし、こんなところで巡り合うだという見方もあったよね。
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