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プロレスラーの壮絶な生き様を語るコラムが大好評! 元『週刊ゴング』編集長小佐野景浩の「プロレス歴史発見」――。今回は大谷晋二郎選手の試合中の事故についてです。
――4月10日のゼロワン20周年記念興行で、杉浦貴選手とシングルマッチで対戦した大谷晋二郎選手が頸髄損傷の重傷を負ってしまう事故が起きてしまいました。
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――4月10日のゼロワン20周年記念興行で、杉浦貴選手とシングルマッチで対戦した大谷晋二郎選手が頸髄損傷の重傷を負ってしまう事故が起きてしまいました。
小佐野 あの日は昼間にDDTの解説があって、時間がかぶっちゃうこともあってゼロワンの会場には行ってないんです。事故が起きた瞬間の試合映像は見てます。
――杉浦選手のターンバックルに投げるジャーマンを受けた直後のことでした。
小佐野 その技は杉浦が普段は繋ぎ技としてやってる攻撃なので、その技が決まった瞬間自体は衝撃映像ではなかった。叩きつけられた大谷が自分で首を起こそうとするんだけど、そこから動くことができない。そのときの周りの判断が難しくて、試合を止めるまでに時間かかっていた。杉浦は「これからだオラ!」って煽っていたけど、大谷は起き上がれない。杉浦はいったんその場を離れるんだけど、大谷のセコンドは「起きてください」と声を送っている。レフェリーが大谷本人に確認して、そこでようやく試合を止めた。すぐに止めていいかどうかプロレスは本当に難しいね。格闘技の場合は「おかしい」と思ったら、すぐに止めるでしょ。でも、プロレスの場合はそうじゃない。
――プロレスはそこが難しいですね……。
小佐野 格闘技ってルールで守られてるじゃないですか。「こうなったら止めます」というルールの中で試合をしてる。でも、プロレスの場合は、5カウント以内の反則がオーケーであったりとか、グレーな部分があって。そこがプロレスの醍醐味でもあったりするから。あとは「 Show Must Go On」じゃないけど、いわゆる純粋な格闘技的な見方をしてくれないから、戦っているレスラーたちも中途半端なところではやめられないという意識の高さはある。たとえば昔の全日本で三沢(光晴)と川田(利明)がやったとき、試合開始5分で三沢が川田の蹴りで眼窩底を骨折して、三沢本人も吐き気がしてるから大ケガをしたことがわかってるわけ。でも30分時間切れ引き分けまで戦い抜いた。あと大阪で川田が裏拳をやったときに折れたことはすぐにわかったけど、そのまま試合をやって最後はパワーボムまでやっちゃって。
――言い方が難しいですけど、ストーリー以外のハプニングもあっても続ける場合があるわけですね。
小佐野 ホントに止めなきゃいけないケガもあるし、いまの三沢たちのようにそのまま続ける場合もあるから、すぐには止められない。ひょっとしたら、まだ起きるかもしれないと。それこそ猪木さんの舌出し失神事件と一緒ですよ。坂口さんが無理やり猪木さんをリングに上げたよね。
――1983年6月2日、第1回IWGPリーグ優勝戦のアントニオ猪木vsハルク・ホーガン。エプロンでホーガンのアックスボンバーを食らって場外転落した猪木さんが起き上がれず、セコンド陣が猪木さんをリングに上げて……。
小佐野 結局あれは猪木さん1人の演出だった……という話になってるわけだけど、猪木さん本人が何も語ってないから謎は謎のままだよね。
――右腕だった坂口征二さんが「人間不信」の書き置きを残して失踪しちゃうくらいだから、何かがあったことはたしかとはいえ。あと天山広吉vs小島聡のIWGP&三冠統一戦では、60分フルタイムドロー直前に天山選手が脱水症状を起こしてレフェリーストップ。これも予想外のアクシデントのように見えましたね。
小佐野 変な話、試合中に選手がおかしな状態になって立てなくなる場合がある。このままだとレフェリーのダウンカウントが10まで数えられちゃうから、相手が慌ててストンピングを入れて相手を起こして試合を継続させたりすることもあるから。「こんなとこで終わっちゃ、まずい」という判断だよね。
――場外カウントもレフェリーが配慮することがありますよね。
小佐野 とくに全日本の場外カウントは10カウントだから。和田京平さんは本当にダメだったら数えちゃうけど、行けそうだったら数えないで、なんとか試合を成立させようとする。
――そこの見極めは難しいですね。試合の流れ的に決着はまだ先に見えて、これは起きてこられないんじゃないか……ってときはありますし。
小佐野 この前の全日本プロレス後楽園ホールで諏訪魔と大日本の野村卓矢のシングルがあったけど、諏訪魔の最後のラリアットなんて、野村本人の意識がない角度から横殴りに入ってるから。京平さんはそのままワン・ツー、ちょっと間をおいてスリーを叩いた。昔の全日本でいえば、ジャンボ(鶴田)のパワーボムを食らった天龍さんがもう絶対に起き上がってこないと思って3カウントを叩いたそうだね。
――それはつまりレフェリーとしても「ここでは勝負は終わらないだろう」「ここで終わると思ってなかったけど……」と読みながら臨機応変にレフェリングしてるってことですね。
小佐野 川田が三沢のタイガースープレックスを食らったときに、京平さんが返すだろうと思ってツーで止めけど、川田は返せなかったんだよね。三沢が「京平ちゃん、いま返さなかったでしょ?」と聞いたら「レフェリーが叩いてないんだから返してる」と。それで三沢は仕方なくもう一発タイガースープレックスを決めてワンツースリー。
――川田さんからすれば災難ですねぇ。
小佐野 今回大谷も「立ってくるだろう……」とみんな思っていたはず。必殺技ではなかったからね。いつもと違う点をいえば、ノアのリングだとターンバックルが3つに分かれたセパレートタイプ。ゼロワンは1本なので、そこの当たり方の違いはあったのかもしれないけど……ターンバックルへの技が必要かといえば、必要ではないと思う。わざわざターンバックルにぶつけなくたっていいとは思うけど、この技は初めてやったわけじゃないからね。いま非難するんだったら、初めて使ったときに非難されるべきで。杉浦以外にも使うレスラーはいっぱいるし、ターンバックルにパワーボムをやる人だっているわけだし。あとは大谷の首が悪かったのも事実だから。
――ターンバックル・ジャーマンだけに問題があったわけではないという……。
小佐野 2016年9月10日のリアルジャパンのディファ有明大会で、大谷が船木誠勝に勝ってリアルジャパンのチャンピオンになったことがあったんですよ。その試合中に大谷は頚椎損傷をやっちゃって1ヵ月休んでるんです。そのときから首はどう考えても悪いはず。去年の4月の全日本のチャンピオンカーニバルでは右肩をやって欠場して、今度は9月に左腕もケガしたでしょ。肉体的にかなりキツくなってたのは事実だと思うんだよね。
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コメント
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すみません!
――最近は身体能力を活かした「アスリートプロレス」ですね。
小佐野 運動神経がよくできない。いまはヘビー級でもガンガン飛ぶから。
ここの小佐野さんが仰っている、運動神経がよくできない。は何かの誤字脱字だと思うのですが、言ってたことを推察できないので修正いただけないでしょうか?
>>1
どう考えても
運動神経がよく『ないと』できない
でしょ
ありがとう