鈴木千裕戦直前! タイトルマッチ挑戦を控えた金原正徳11000字インタビューです!
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――タイのトレーニングキャンプは所(英男)さんと一緒に行かれてたんですね。
金原 ゲストハウスもあるんですけど、ボクらはちゃんとしたというか……まあいいオジサンなんで、さすがに泊まれればどこでもいいやみたいな感じじゃなくて(笑)。
金原 キッチン付きのホテルを借りれるんですね。ボクは減量があったんで、あんまり外食したくないし、偏食なんで食べれるものがけっこう決まっちゃうんですよ。だから自炊したいなと思ってて、今回はスーパーで食材を買っての自炊がメインで。
――所さんと部屋は別々ですか?
金原 さすがに同じ部屋ではないです(笑)。2人とも気使いなんで、あの人は年上だけどボクに気使うし、ボクが気使われるのもイヤだし。格闘技以外は干渉しないように別々に。お金がない若いときだったらまあしょうがないですけど、まあ2人とも一応それなりに稼いでいるんで(笑)。
――経済的余裕があるってことですね。
金原 そこは自己投資ですね。ボクは今回の試合で回収できるんですけど、あの人まだ試合が決まってないから、キャンプ費用を回収できないという現実はありますね(笑)。
――あ、所さんは試合が決まってないのにタイに出向いたんですね。
金原 ボクはクレベル(・コイケ)戦の前にタイに行ったじゃないですか。あの人も(アラン“ヒロ”)ヤマニハ戦が決まってたから誘ったんですよ。「ボクらもこれが最後の試合になるかもしれないからタイで頑張りましょうよ」って。でも、あの人は都合がつかなくて行けなかったんですよね。で、ヤマニハ戦が終わってから「行っておけばよかったです」みたいなことずっと言ってて。今回「今度こそ行きましょうよ」って冗談半分で誘ったら「行きます!」と。それでタイでのトレーニングしながら「半年前に来てればヤマニハに勝ってた……」ってずっとボソボソ言ってました(笑)。
金原 そうです。「こんだけやって負けたらしょうがねえな」っていう諦めはつくんですよね。自分も「もうちょっとできたんじゃないか」と後悔することはいっぱいあったし、「こういうふうにやっとけばよかったな」って思うことはいままでたくさんあったんで、そういう後悔はしたくない。この歳だといつ終わってもおかしくないじゃないですか。だからその後悔だけはしたくなくて、100%自分ができることをやってみる。で、前回クレベル戦の前にキャンプを張ってすごく調子がよかったんで、今回も同じようにやってみようかなってまた行ったんですね。
――今回もやり切りましたか。
金原 100点満点だと思います。大きなケガもなかったし、自分がやろうとしてたメニューは一応妥協なくクリアはできたんで、まあ1人だとちょっとね、途中で帰ろうかなって思うこともあって(苦笑)。前回もそうですけど、いろんな意味で苦しくなるところもあったんですけど、試合も決まってないオジサンが一生懸命頑張ってるんだから。
――オジサン2人が共に支え合って乗り越えたファイトキャンプ(笑)。
金原 ホントですよ(笑)。まあ、オジサン2人が身体のあちこち痛いとか言いながら一生懸命キャンプをクリアしました。もうできないですけどね。
――もう無理ですか?
金原 もう行かないです。やっぱキツイっすよ。こんだけのトレーニングキャンプは年齢が限られるなと思いますね。それにボクらはベテランになってくるとラクしたいじゃないですか。いかにラクしてリングに上がって、いいギャラもらって、いい仕事をするかみたいなことを考えるんですけども(笑)。ボクは不器用だからそれができない。100%仕上げてリングに上がって、パフォーマンスで発揮して、見てくれる人を喜ばせることしかできないからラクできないんですよね。
金原 そうそう。メンタル的に厳しい部分があるから「最後なんだから」「いい思い出なんだから頑張ろう」とずっと自分に言い聞かせてやってて。芦田(崇宏)戦で復帰したときから「もうこれで最後だ」ってずっと思ってますよ。
――次の「これが最後だ」があるかもしれないんですか?
金原 うーん、それはそんなときになってみないとわからないですけどね。その相応の相手と戦えるのか、「コイツだとそこまで練習しなくてもいいや」と思うかもしれないし、そこはわからないですよ。
――いまのタイってファイトキャンプのメッカになってますけど、他の日本人選手はいましたか?
金原 最初はRENAもいたし、ブレイブの若い子2人もいたし、あとウチのジムからも若い子が3人来たりとか。別便で1週間だけですけど、今度ネオブラに出る20代前半の子。ボクが来るタイミングもあって、世界を知っておきたいみたいな。そこは自己投資じゃないですけど、ボクも初めてアメリカに行ったのも20代前半だったんで必要な経験かもしれないですね。世界を見るだけでも価値観は変わってくると思う。自分の実力だったり、周りがどういう風に頑張ってるのか。ああいうところで練習している人たちって、格闘技に人生を懸けている人たちばかりなんで。自分たちがどんだけ甘い環境でやってるかっていうのもわかるかな。
――「甘い環境」ですか。
金原 はい(笑)。
――若い子は経済的に1週間なんですね
金原 まあそうですね。バイトしてお金を貯めて行く若い子たちが多いので。それはボクの若い頃そうでしたよね。こっちも練習があるから向こうでかまってあげたりすることはできないですけども、まあ少しジム代を出してあげたりとかのサポートはしてあげましたけども。
――金原さんがタイに行ってるあいだRIZINの記者会見があってですね……。
金原 あれは全部、佐伯繁が悪いです!(笑)。
――ハハハハハ! 金原さんが会見に出なかったことを対戦相手の鈴木千裕選手が怒ってたんですよね。「そのぶん練習できるのはズルい」と。
金原 俺は佐伯さんにタイに行く日程を伝えていたし、会見があることさえも知らされてなかったし、練習が終わったらいろんな人からDMが来て「鈴木千裕が怒ってますよ」と。なんのことかと思ったら、俺めちゃくちゃとばっちりじゃんと思って(笑)。
――このカードは大晦日に発表はされていたんですけど、あの日も金原さんが不在でしたよね。
金原 大晦日に北海道の家族旅行を入れちゃったんですよ。そうしたら大晦日に発表することになったらしくて、大会中カード発表するときに電話でもいいから出られないか?と。
――榊原さんがリング上からの電話で皇治選手に「朝倉海とやってくれない?」って交渉したことがありましたけど、そんなRIZINテレホンショッキングが再び(笑)。
金原 電話でやりとりするはずだったんですよ。で、大晦日当日の便で北海道に行く予定だったんですけど、飛行機が大遅延しちゃって。リングで発表したときは雲の上だから電話できなくて(笑)。
――ハハハハハハハ!
金原 向こうはそのへんのことは何も知らなかったんじゃないですか。わかんないですけども。
――鈴木千裕選手をインタビューしたら、そのへんの事情をあとで知ったみたいで「マジですいませんでした」って謝ってましたね(笑)。
金原 まあでも彼なりに盛り上げようとする気持ちももちろんあるだろうし。ボクも会見に行かない理由はとくにないわけじゃないですか。練習したいからサボったことなんていままでないし、意外にそういうとこ真面目なんで。それにケンカをやるんだったらなんか目の前でやりたいし、ネットを通じてだと気が付かない場合もあるじゃないですか。
――挑発リプを見逃してしまう場合もある(笑)。
金原 周り言われて「あっ、そうなんだ」って気付く時点でケンカにならないんで。だからそういう場があるんだったら行きますよ。あとこの件で本気で怒ってDMを送ってくるアンチもいるんですよ。「オマエはチャンピオンに対して礼儀がなってない!」とか。
――うわー、面倒くさい(笑)。
金原 そんなやつにいちいち説明するのもめんどくさいですけど。ボクにも言いたいことはあるけども、歳が倍くらい違うんで口ケンカしてもしょうがないし。結論としては佐伯繁が悪いってことで(笑)。
金原 最初、向こうがケガしてるから連絡待ちみたいな感じでしたね、自分としては大晦日にやるつもりで準備はしてました。結局大晦日は難しいから、あらためて春にやるという話になって。RIZINがどう考えていたかはわからないけど、ボクの希望としては最後の試合になるかもしれないから、周りの人や自分のジムの人たちの前で試合したいから東京でやりたいと。そういうことがあって4月になった感じですね。
――準備期間もだいぶ取れたわけですね。
金原 そうですね。クレベル戦が終わってから半年以上、空いてますね。自分は2ヵ月あれば準備できるんですけど、年1試合くらいでも全然問題ないので。試合が早く決まっても、長すぎると逆に早く仕上げすぎちゃうんで。早く仕上げすぎずにタイでちゃんと身体を作ってきて、日本に帰ってきて最終調整している感じですね。タイでちゃんとキャンプを張れたことは、自分の中ではすごく大きいと思います。
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