ハックルベリーに会いに行く
世界的なプロダクトを生み出す日本の美的感覚:その73(1,826字)
マンガの神様といわれた手塚治虫が語っていた「創作の方法論」の中でも、取り分け印象的なのが「アイデアは必ず堂々巡りし、最後は『一番初めに考えたアイデア』のところに戻ってくるから、最初にアイデアを考えたらそれ以上考えないようにしている」というものだった。つまり彼は、ものごとが一周回ることこそ本質だと分かっていたために、あえて最初のところから動かないで、その分時間短縮を図っていたのである。
ところで、日本の美的感覚においてひときわ顕著なのが、「すぐれたコンテンツを生むのは組織ではなく、個人である場合が多い」ということだ。すぐれた個人がほとんど一人で状況を打ち破り、革新的な仕事を為す。
日本には、マンガ、アニメ、ゲームといういずれも社会の中で大きな役割を果たしている巨大なエンターテインメントジャンルがあるが、そうしたジャンルそのものを強い力で牽引し、また可能性を切り開いてきたのはいずれもすぐれた個
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