『ダンケルク』を見に行った。
見に行って、あらためて感じたことを今日は書きたい。

『ダンケルク』は、これまでにない映画である。
これまでにない部分はいくつかあるが、「主人公がいない」ということもその一つだ。第二次世界大戦のダンケルクにおけるイギリス軍の撤退線が主軸としてあって、それに翻弄される人々をオムニバス形式で描いている。しかもそこで、三の軸を平行に扱い、主人公を決めないようにしている。

この要素が、『ダンケルク』という映画においては非常に重要な役割を担っている。映画の内容としてもそうなのだが、それ以上に企画やテーマとして前面に押し出されているし、それを宣伝でも積極的に伝えている。

なぜそうしているかというと、そうすることで観客に「見に行く意味」を生じさせようとしているからだ。観客というのは、「これまでにない映画」だったら、それにお金を出し、時間を使ってでも、映画館に見に行く意味を見出