今の社会は「市場」を抜きには考えられない。昔、まだ人間の集団最大人数が30人くらいだった頃には、市場はなくても良かった。しかし、現代で生涯を30人としかかかわらないで生きることは不可能――特に日本では無理なので、ここでは市場というものは「ある」という前提で考えていく。

さて、ここできつい言い方になるが、「市場価値」のない人間はこの世に生きることを許されない。積極的に殺されるわけではないが、社会からつまはじきになってしまい、遠からず死が待っている。それは「孤独死」や「自殺」だったり、あるいは野垂れ死にだったりする。いうなれば、消極的な殺人だ。

建前的には、そういう消極的に殺される人たちにも「基本的人権」があることになっているが、それはあくまでも建前であって、実際は違う。毎年何人もの人が孤独死するし、自殺するし、野垂れ死ぬ。なぜなら、彼らは「市場価値」を失ったからだ。そして社会は、市場価値を失