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【連載物語】『不思議堂【黒い猫】~阿吽~』 第五話第二章「再会」
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【連載物語】『不思議堂【黒い猫】~阿吽~』 第五話第二章「再会」

2022-09-28 10:35
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    第五話第二章 再会  

    著:古樹佳夜
    絵:花篠

    [本作に関する注意]---------------------------------
    本作(テキスト・イラスト含む)の全部または一部を無断で
    複製、転載、配信、送信、譲渡(転売、オークションを含む)すること、
    あるいはSNSなどネット上への公開・転載等を禁止します。
    また、内容を無断で改変、改ざん等を行うことも禁止します。
    -----------------------------------------------------

    ◆◆◆◆◆骨董闇市◆◆◆◆◆

    吽野に案内されてやってきたのは大きな古い洋館だった。
    町外れに建つそれは、近所の子供に『幽霊屋敷』と噂されるような場所だ。
    モダンなアーチ窓に嵌っているガラスは割れ、
    古い木の扉は塗装が剥げてボロボロだ。壁一面には蔦が這っている。
    窓の内側は暗く、人の住んでいる気配はないようだった。
    綺麗に手入れすれば立派であろうに……と阿文は心の中で思った。

    阿文 「こんな場所で骨董市が開催されているのか?」
    吽野 「そう。月一でね〜」
    阿文 「個人の家のように見えるが」
    吽野 「まあね。以前はある富豪が所有はしてたようだけど、ずいぶん前に亡くなってね。骨董闇市の主催者が仲が良くて、譲り受けたらしい。その人もここに住んでるわけじゃないから、手入れも最小限にしかしてないようだよ」
    阿文 「なるほど。てっきり、公園とか、大きな通りで開催してるのかと……」
    吽野 「普通の蚤の市と一緒にしない方がいい。なんせ、扱っている品には、『やばいブツ』もあるんだからね。日の下じゃとても扱えないよ」
    阿文 「ミイラ以上のものもあるのか」
    吽野 「ミイラなんて序の口だよ」

    口元をニヤつかせた吽野とは対照的に、阿文は口をへの字に曲げた。

    大きな鉄製の門を開け、中に入ろうとした時だった。
    後ろで黒塗りのベンツが停まった。
    中から現れた人物は毛皮を纏った太った婦人だった。
    骨董闇市へ参加しようとしている客だろうか。

    洋館の開け放たれた玄関の内側には、
    黒い背広のガードマンがいる。
    屈強な男を前にした吽野は一瞬立ち止まり、
    後ろから来る太った婦人に順番を譲りがてら、阿文に耳打ちをした。

    吽野 「阿文クン、連れてきた毛玉を懐に押し込んどいて」
    阿文 「わかった」

    阿文は強ばりながらも、吽野についていった。
    吽野は着物の袂から会員証を取り出して、ガードマンに見せる。
    ガードマンは頷き、目元を隠す仮面を二つ吽野に手渡した。

    阿文 「仮面……? どうして」
    吽野 「後で説明するよ。とりあえずこれ被っといて。じゃないと会場に入れないの」
    阿文 「あ、ああ……」
     
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