通学路で娘が転んだ。

 駆けだした途端に足が縺れて転んだ。すぐにわっと泣き出した。自分でもびっくりしたのだろう。五メートル後方を歩いていた僕自身も驚いた。咄嗟に駆け寄ろうとしていた。だけどすぐに踏みとどまった。娘は反射的に両手をついていた。膝小僧を擦り剥いたくらいだろう。ひとりで立ち上がれるかどうか見守るべきだ。そう思った。だが、娘は泣き続けたまま立ち上がろうとしない。