1:米国の指導者層に「TPPを実施したらいい」と思う人は、基本的に過半数を占めていると言っていい。

 2:米国は憲法で貿易交渉は議会の権限である。

従って、政府が交渉した案でも議会が修正していい。そうなると、相手政府は米国政府の交渉能力に疑問が出る。微妙な交渉に相手は真剣に対応しない。この状況を避ける為、本年初めに議会は、政府に一括交渉権を与えた。それは事実上政府案を承認するという前提であったので、議会はTPP批准を承認するものと思われた。

3:だが大統領選挙で情勢は一変した。

米国国民は、大手企業が生産拠点を海外に移転させたことからくる労働市場の縮小、住宅バブルの破壊などから生活が悪化している。人口の最下層20%、次の労働者を中心とする20%、その次の中産階級と言われる20%、合計60%の層は、自己の保有する財産価値は90年代に比し、20%から50%減少している。こ