初沢克利著『浅草』(春風社、7000円)を手にしている。写真集である。520ページという大部。

 写真には様々なタイプがある。対象が運動や、戦場やで、最高のクライマックスが切り取れれる場合が多い。

初沢氏の場合はそうではない。冒頭を飾る約10枚の写真は、路上パーフォーマンスを見入る群衆を被写体とした。彼らが演じているわけではない。本来は写真の被写体にはならない。それを対象にして写真集の冒頭の写真とした。この被写体をみれば、それぞれの被写体は自分のドラマを持っていることを推定させる。初沢氏はそれを感じながらシャッターを切っていると思う。写真が全てを語っているのでなくて。写真は考える入口だ。そういう写真が初沢氏の写真でないか

初沢克利氏の経歴:早稲田大学仏文科中退、東京写真専門学院卒業。1972年に渡仏する。モンパルナスに居住しながらパリの写真を撮りはじめ日本、フランスの広告界