私は石川県小松市の出身だ。ここは九谷焼の産地である。子供の頃、宴会は各家庭で行った。当然酒が出る。主人は徳利や盃を「これは誰々の作で」と自慢する。そんな雰囲気の中で育ったのが影響したのか、私が最初に買った日本の美術品は陶芸で、九谷ではないが、河本五郎氏の花入れだった。

外務省時代イラン・イラクに勤務した。イランでは4千年、5千年前、土器を作っている。中央アジアにも勤務した。この地の陶芸は中国とペルシアの双方の影響を受けている。だから中国とペルシアの陶芸に高い関心がある。

 私が勤務したテヘランには「ガラス・陶芸博物館」がある。ここでは正倉院の代表的宝物の一つ、白瑠璃碗と類似したものを展示している。ラスター彩の陶器もある。こんなこともあって、元駐日イラン大使と芸術について話していた時、彼は面白いことを述べた。

 「日本人とイラン人は類似している。日常品を最高の美術品にする。ペルシアに絨毯が