ノリーナ・ハーツ著、『THE LONELY CENTURY なぜ私たちは「孤独」なのか』(ダイヤモンド社、2470円)
・孤独と不寛容の政治のつながりを初めて指摘したのハナ・アレント。
・アレントは『全体主義の起源』の最後に驚くべき要因に目を向けた。孤独だ。
全体主義の根底には孤独がある。それは人間にとって最も極端かつ絶望的な経験の一つだ。全体主義の追随者の最大の特徴は残虐性や時代遅れの考え方ではなく、孤立と、普通の社会関係の欠如にあるとし、社会に居場所のないと感じる孤独の人々は、自己のイデオロギーに捧げることにより、生きる目的と自尊心を取り戻すのだと指摘した。世の中に全く所属しない経験こそが全体主義の本質であり死刑執行人と犠牲を生み出す準備過程なのだ。
・孤独はしばしば経済環境の悪化と結びついている。
・近年、これほど多くの人が選挙でポピュリストに票を投げてきた大きな理由は孤独だ。
・苦しい時、ト
孫崎享のつぶやき
「孤独」が増大する社会(その2)ハナ・アレントは『全体主義の起源』の中で、「全体主義の根底には孤独」「全体主義の追随者の最大の特徴は残虐性や時代遅れの考え方ではなく、孤独の人々はイデオロギーに捧げることにより、生きる目的と自尊心を取り戻す」
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コメント
コメントを書く「自己肯定的発想」するか、「自己否定的発想」をするかで、大きく異なってくる。
著者=孫崎さんのように、才能に秀でた人が自己中心的発想をすれば、「全体主義肯定」のご投稿発想は理解できる。
支配層と被支配層の継続的階層体制、言論封鎖による公的自由制限された柔軟性の欠如した全体主義社会と民主主義社会の選択の問題である。
様々な才能で、社会最上層1割の人、社会最下層2割の人は、競争社会より、公的に支配層と被支配層が固定化した社会で生き方を保障された社会が望ましい。経済的に確定された生活を確保できるからである。
問題は、中間層7割の人たちであり、経済的自由がある競争社会、体制に束縛されない言動の自由は、社会の活性化=社会の革新に不可欠であり、全体主義では望めない。人間の本質から見て言動の自由がなければ、「孤独」というより「絶望」意識が強く湧き上がるといえる。
中国で蔓延を始めた「寝そべり主義」は、孤独より「絶望」の方が強い。体制を揺るがす若者意識である。支配層に500万人組み込むというが、本質的解決には程遠い。共産党全体主義の限界が見え始めているともいえる。
私の知る範囲ですが、日本では極右ポピュリストは維新後は歴史的に観て誕生してません。強いて、言えば、石原慎太郎氏ではないでしょうか。東京都民が何故彼に投票したのか、今もって分かりません。ただ、彼のした「らしきこと」を一つ上げれば、新宿歌舞伎町から中国大陸からやってきた中国人のならずものを残らず追放したことを都民は評価したのでしょうか。
世界に目を広げれば、極右ポピュリストは誰でも知っているドイツ第三帝国のアドルフ・ヒットラーでしょう。自民党の麻生さんは彼に心酔しているような発言をしたことがありましたが、恐らく認知能力の欠陥に起因するのではないでしょうか。
第一次大戦後の民主主義の失墜のなかから、アドルフは忽然と登場しました。彼が訴えたのは、共産主義者打倒と同列に取り上げたのがユダヤ人、ロシア人の蔑視虐待でした。ドイツ・ゲルマンが熱狂的に反応したのは、共産主義のイデオロギーよりもむしろユダヤ人、ロシア人に対する蔑視・虐待です。専門用語ではその蔑視・虐待をXENOPHOBIAというらしいです。
よその国のことはともかく、日本の現在の嫌中嫌韓は嫌ですね。どうみても、第三帝国のヒットラーのユダヤ・ロシア嫌いに重なります。石原さんは新宿から中国人を追放しただけで終わりましたが、これから、自民党に極右ポピュリストが生まれて、嫌中嫌韓を国民に訴えれば、どうなるか。
効くか効かないかまだ不明なワクチンでさえ、多くの人が跳びつくんだから、大多数が第三帝国のドイツ国民のようにコブシを上げる可能性は十分にあるのです。
韓国、北朝鮮、中国の軍備は勿論狂犬みたいな米軍部に対するものなんですが、日本に極右ポピュリストが誕生するかも知れないことを常時警戒してのものなんですよ。
>>1
孫崎先生の今日のご投稿は全体主義肯定ではありませんよ。極右ポピュリストについてのご投稿です。
ハナ・アレントはかの有名な哲学者ハイデッガーの弟子でした。ハイデッガーは共産主義を死ぬほど憎んでましたが、それに劣らず、米国の物質主義をも嫌ったのです。
彼はナチズムについては党員にもなって賛同しましたが、ソ連との戦いにナチズムが傾斜し始めて、距離を置きました。その後も死ぬまでその態度は変わりませんでした。
アナ・ハレントはナチスに追われ、米国に亡命し、全体主義と言う言葉を発明し、ナチスとソ連に冠しました。ハイデッガーが嫌った米国の物質主義には、私にはアナ・ハレントは肯定的に見えるのです。
今の米国の横暴はアナ・ハレントにも責任があると考えてます。その後、全体主義がいろんなところで使われ出し、便利な言葉になってますが、米国大統領がファシストであることをカモフラージュするには使い勝手が良いと感じている次第です。
ハンナ・アーレントについては、かつて映画「ハンナ・アーレント」を見ただけだが、内容は殆ど思い出せない。
師匠の「存在と時間」は文庫の上下巻を勇んで買ったきり一頁も読んでいない。読まなくても毎日よく眠れているからだ。
ノリーナ・ハーツ氏も全く知らなかったが、講演映えする容貌の持ち主のように見える。すると、食虫植物を警戒する昆虫の気分になる。
まるで鬼の首でも取ったかのような「孤独が孤独が」との論だが、何かズレている感が否めない。
「社会に居場所のないと感じる孤独の人々」がカルト宗教の いいカモにされるのは昔からだが、それで十分だろう。
支配者側の常套手段は分断統治だ。支配される側を孤立させてナンボである。それを支配者DSは手を変え品を変え延々続けているのでないか。孤独な人間の大量発生という「原因」によって、全体主義が出てくるという「結果」が生じるのでなく、人間の一括支配という悪意ある「目的」のために、意図的に多くの人々が孤独な状況に追い込まれるという「結果」が生じている━そう見た方が良さそうだ。