多くの日本人は米国の戦略的思考を理解できない。
日本の中に流布している考え方で、米国の戦略的思考考え方を理解しようとする。
自分に経験がないから、米国の戦略的思考を理解できない。
こうした考え方に出会うと陰謀論という言葉で排除する。
残念ながら言論界で生活をしている人の中にみられる。ただ、彼らの経歴を見ると、経済をテーマにしてきたとか、文学をテーマにしてきた人々が多い。日本人の経験や考え方を学び、特段米国の外交史等を体系的に学んでいないから理解できないのも無理がない。
この問題を解りやすく説明したのが、進藤榮一の「アメフトと相撲」論(『アジア力の世紀』)である。下記に紹介する。
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アメリカン・フットボールーアメフトと略称される米国の国技だ。対する日本の国技は相撲である。この二つの国技の違いに、両国の外
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戦略的思考と言う言葉を知ったのは岡崎久彦氏の「戦略的思考とは何か」であり、素人の私が国際関係論に興味を持った第一歩だった。門外漢にとってみれば、戦略的思考とは例えば素粒子論のような物理学や化学の理論ほどは難解ではないが、我々の生命や社会生活に大きな影響を及ぼしていることには変わりない。米国がそれ自身の戦略を持つのは自明であり、それが日本の戦略と食い違うことぐらいは、難しい理論を聞かなくても誰にも理解できる。国民はそれほど無知ではない。米国にかぎらず、世界各国の具体的な政策・戦略を研究し、理解して国政のかじ取りを誤らないようにすること、さらに国民に国政について理解させるように勤めることは専門家である、国政に携わる政治家や関係各省庁の官吏に課せられている義務である。もし、国民が米国の戦略を理解していないと言うならば、少なくともその半分の責任は彼ら専門家の責任である。科学技術の分野では一般人のscientific & technological literacyを上げる努力が続けられている。日本が国際連盟を脱退して孤立化の道を辿ったのは、なぜか。国民全体の意志であることは言うまでもないが、当時の国政を司り、国民にその妥当性を解説・宣伝した政治家と官僚の責任が一番重いのではないか。国民が無知だから国政を誤るというなら、全く日本国に希望は無い。
これまで、いろいろな問題について、孫崎さんの主張に納得し同感を感じていたが、これに関しては同感できない。
アメフトという団体競技と、相撲という個人競技が違うのは、国民性とは無関係だと思う。相撲に似たモンゴル相撲やレスリングの盛んな国が戦略的視点がないといえるだろうか。
欧米では、小学校でもディベートという討論のやり方を教育していると聞く。それにより、特定のテーマについて多様な考えがあることや、議論に勝つにはどうしたら良いかを身につけている。
それに対し日本では、国会の討論を見ても誹謗や中傷ばかり、答弁は決まり文句のくり返し。何時間議論を続けても、一歩も前進が見られない。相手の主張のどこが、なぜ違うのかを指摘もできない。自分の意見が正しいと理解させる戦略は、もっと高度な考察力と話術が必要だろう。