海外メディアは日本の秘密保護法に対して警戒感を持ってきている。
その最も代表的なものに次がある。
(1)11月11日ルーシー・バーミンガム日本外国特派員協会々長が「特定秘密保護法案は報道の自由及び民主主義の根本を脅かす悪法であり、撤回、または大幅修正を勧告する」との声明を出した。
(2)国際ペンクラブは11月20日、「市民の表現の自由を弱体化させる」 として反対する声明を発表した。国際ペンが日本の国内法案について、反対声明を出すのは戦後初めて。
これに加え、2013年12月16日ニューヨーク・タイムズ紙は社説で「日本の危険な時代錯誤ぶり( Japan's "Dangerous Anachronism)」を掲載した。サイト「Peace Philosophy Centre」がその和訳を掲載している。米国のリベラル層が如何に現在の動きを警戒しているかを示す貴重な論評である。
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現在の官僚、政治家、マスコミなど社会の指導者たちの目指すものが、お話のように米国流民主主義が支配する戦後レジームからの脱却であると大変危険な方向である。「特定秘密保護法」は、体制の恣意的判断が大きく入り込む「体制批判抑圧法」といえるもので、主権在民の憲法を大きく逸脱しているといえます。
日本では、侵略、略奪などの悲惨な歴史が無く、且つ又、体制に支配された歴史しかありません。民衆が立ち上がり、体制を崩壊させ勝ち取った悲惨ではあるが,血を流して得た民主主義ではない。戦後の民主主義は米国流民主主義で、米国流に国民の意識を合わせさせた民主主義である。今日本の指導者が、日本ナショナリズムを利用して、国民を体制に都合の良い民主主義に誘導しようとすると、米国流民主主義は排除されることであり、米国がどこまで、日本独自の民主主義を容認するかである。今回の出版が断られるような現象が、国内で問題化すると、言論統制ということで、米国が黙っているわけが無い。体制側は、社会的問題となってくる前に抑える強硬な態度が目に付くようになるのでしょう。当たり前のことながら、セオリーどおり、黙っていてはだめであり、声を上げ続けることが大切ではないか。
「戦後レジームの脱却」という言葉を、対米従属をやめて世界の一員として責任ある働きをする国にしたいのかと思ったら、安倍氏は「戦前レジームの復活」に走りだしてしまった。発足した国家安全保障会議の方針宣言は、冷戦時代に岸元首相が考えていた内容とそっくりで、ニューヨークタイムスが時代錯誤と指摘するのは当然である。
安倍首相は、米国にすり寄っているつもりかもしれないが、米国は「こんなおかしな考えに、付き合っていられない」と思っているだろう。このままでは、世界から孤立するのは確実だ。
孫崎氏が紹介されているような出来事、すなわち、外国特派員協会会長、国際ペンクラブ、そしてNYタイムズ紙などが
挙って、特定秘密保護法制定をはじめとする、今回のような安倍政権の一連の危険な動きを厳しく批判している事実を、果たしてどれだけの国民が知っているだろうか? 殆どしらない。 殊に、特定秘密保護法はアメリカ側の要求を受けて制定されたなどと思い込まされている人たちの何と多いことか。事実は、NYタイムズ紙が指摘するように、それとはまったく逆である。
日本のメディアは上記のような事実を、どうした広く国民に知らせようとしないのだろう(NYタイムズの記事など、12月16日付だとすれば、とうに日本の各紙に紹介されてしかるべきであろう。そうすれば、まだこうした法律が必要だと
言い続けている人たちも、考えを変えるに違いないのに。つくづく分からない。
今回の特定秘密保護法は、よく言われるように実体は「不特定秘密保護法」であり、何とも不気味な、戦前の治安維持法にも似た、まったく途方もない法律である。
一刻も早く廃案にする必要があるが、国会では多勢に無勢、なかなか容易ではあるまい。考え得るあらゆる手段で廃止を強く訴えてゆくほかない。
そこでその方策であるが、あまり人々に知られていないと思われる手段として、この法律の廃止を求める「請願」の運動があると思う。
日本国憲法はその第16条に、「請願権」に関する規定を置いている。いわく、「何人とも、損害の救済、公務員の罷免、
法律、命令又は規則の制定、廃止又はその改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」
同法を受けて、「請願法」(昭和22年制定)という法律が作られて尾り、具体的な請願の仕方や手続きについて定めている。
それによれば、請願は書面により、一個人でも簡単に行うことができ(ただし、議員一名の紹介が必要)、今回の場合は衆院議長、参院議長宛に行うことになる。
請願にはそれ自体、もちろん法的拘束力はないから、聞き届けられなくても仕方がないが、しかしもし多くの国民がこの文書に署名すれば政府の側もまったく無視を決め込むわけにも行かず、それなりの力は持ってくる筈である。
この法律に反対して結成されている各地の会ならびに、法案に反対した民主党をはじめとする各野党の国会議員たちが音戸をとって、是非、全国的な請願運動を行ってくれることを切に期待したい。