「助言-若い世代へ」としているが、今回はどう考えても、若い人々への言葉ではない。

でもいいか。書いてみよう。ひょっとして、伝わるものがあるかもしれない。

「おみさ居らねば餅つく気にもならず」

たまたま、中野孝次著『老いの矜持』に出てきた。次の解説がある。

「中野好夫は“私の文書心得」という短文の中にこのことを書いていて、それによると、この文章は、彼の母方、曾祖父、並河聴雨という人の日記にある由。聴雨は幕末から維新にかけての儒者。聴雨は70歳をいくつか越した年に、糟糠の妻おみさに死なれた。実子はなく、養子夫妻は都会に出、老夫婦二人きりの暮らしでだった。そしてその年の歳末の日記にただ一言、この一行を書き残していた。」

 こちらは残された者の心情を書いた。

 これから去る者の心情を見てみたい。ソ連の詩人エセーニン(1895103-19251227日)の詩である。