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第6回文化レクリエーション…特別展「人体-神秘への挑戦-」
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第6回文化レクリエーション…特別展「人体-神秘への挑戦-」

2018-06-10 20:33


     6月2日(土)に社会的にも大きく耳目を集めた特別展人体神秘への挑戦-」(以下、人体展)を文化レク設定して参加してきましたのでレポートします。本稿では基本的にヒトそのものについての学問領域を「医学」という言葉を用いて書きますが、実際はその分野は細分化されていて、かつ横断的要素もあって正確な表現ではありません。大きな枠組みで語っているものとご理解ください。

     上野の国立科学博物館での開催となった本展、随分と集客しているようで来場者の列が長蛇となっており、私たちが集合した13時の段階で入場制限がかかっておりました。1時間ほどの待ちということで接続する日本館や地球館の見学が可能でした。
     私は日本館を見て周りましたが、これだけでも重厚な展示内容。常設展なので時期を問わないわけですが、一度は目にしておく価値が十分にあると感じました。あまり大きくアナウンスされていませんが、「江戸時代の人間のミイラ(女性)」の実物も目にすることが出来ます。倫理・道徳上の配慮から撮影は認められておりません。この日も人だかりができており、その関心の高さがうかがえます。じっと見ていた子供たちにどのような感想を抱いたのかを聞いてみたい気もしましたね。

     さて、今回の人体展ですが今春NHKで放送された「シリーズ 人体」とのコラボレーション企画という性質も強いようで、番組で使われた素材が多く用いられていました。私個人のことを言えば、テレビを持っていないので放送に無縁でしたが、番組を見ていた人達にとっては二番煎じのような印象はなかったのかなとも思ったり思わなかったり…。
     展示自体は人間の頭部から足先まで順に、器官及び機能とその研究の軌跡(医学史)が示されるという展開。医療に携わらない人であれば、日常的に臓器を目にするようなことはまずないでしょうから、それらの標本が見られるというのは新鮮だったかもしれません。鑑賞(!?)に際しては、そうしたリアルを目にしたくないという入場者への配慮も働いていて、標本それ自体は隠れブースに設置されておりました。 
     人体展ではヒトの各部位についての標本とその医学史を対にしながら把握してもらおうという狙いだったと思いますが、後者の説明については少々冗長な印象も受けました。レオナルド・ダ・ヴィンチやウィリアム・ハーヴェイなどの著名な人物がどのように人体の謎に挑んできたのかという歴史的経緯は興味深いものの、当時の医学的見地と現代医学の進捗を照合しながら脳内整理をして医学史を俯瞰しながら味わうには幾分情報量が多すぎるようにも感じた次第です。
     一方、こうした知識は医療関係者にとっては自明のものが大半だったはずで、特に更新されるべき情報はなかったかもしれません。珍しかったものを挙げるなら、アインシュタインの脳の切片が展示されていたことでしょうか。世紀の大天才は脳まで刻まれてしまうものなのだなと別な感慨を抱きもしましたが、その取得経緯などを見るに人間社会に渦巻く思惑の交錯に恐れ入るところでもありました。

     私は今回の人体展での主題を「連絡し合う臓器・器官」という視点で捉えました。「ヒトの中枢」がどこにあるのかは常に議論の的ですが、それを仮想的に見立てたブースを展開していましたね。人体を駆け巡るネットワークと、そこを伝って行き交う情報を可視化する内容。部位同士の連絡を言語や音、光で表すというのは色々と誤解を生むような気もしましたが、現実的にはそのような手法を通してしか説明できないというのが現生人類の限界かもしれません。
     それほど昔ではない時代の医学においても、大脳がヒトの生存を維持するためのコントロールを束ねて担うと考えられていたようですが、今日では「体内のそれぞれの部位が独自に要求を発し、受け手がレシーブして応答する」という構図で理解が進んでいるような説明。生命維持・継承という複雑なプログラムを大脳に集約せず体内で分散処理する設計が生存戦略として選択的に残されてきたのか、はたまた、その青写真は生命の最初期から完成されていたものなのか、興味は尽きません。
     ヒトはヒト自体がどのようにプログラムされてきたのかを知り得ないという点では、その存在基盤はとても脆弱だとも言えるでしょう。いや、「プログラム」という視点そのものが誤りなのかもしれないし、かといって代替できる有力な案は今のところ見当たらない。信仰・宗教・祈りなどの人間にしか見られない様式を考えてみても、生命実感を底支えするとか補強する、あるいは設定するといった機能はあるが、生命それ自体の成立過程を矛盾なく説明する分野ではないでしょうしね。未来の人類がそれを突き止められるのか、また出来るのであればそれはどのような手法なのか、そんな想像をしながらの鑑賞となりました。
     展示後編では細胞写真がずらりと並ぶ。当該分野の学者・研究者はこの画と四六時中にらめっこしながら研究・探求を重ねているのかと思うと頭が下がります。長足の進歩を遂げている医学・生物学・細胞学等々の世界。「解明が進むほどに不明な分野も広がる」というパラドックスを内包しながらも、「ヒトとは何か」という謎を追求し続けることでしょう。
     
     今回の人体展に掲げられたテーマは「神秘への挑戦」。理性・悟性を傾けて突き進んできた諸科学が挑む相手は「神秘」なのですよね。人智を超えた神の設定に依拠し続けている現生人類の挑戦、その先行きに思いを馳せながら大混雑の会場を後にしました。



    ※第6回文化レクリエーションのアセスメント結果は
     https://musiumart.or.jp/assess/8 で参照できます。 




    -上野公園内看板-
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    -待ち時間-
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    -返金されるコインロッカーは好印象-
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    -体内に張り巡らされたネットワークを仮想可視化して-
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    -NHKで使われたタモリさん-
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    -会場外から日本館を望んで-

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    -MAA集合写真-
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