三井住友銀行がユーロ建てで1260億円分の担保付社債(満期5年)をマイナス金利で発行することが話題を呼んでいる。日本企業が社債市場からマイナス金利で資金調達するのは初めてだとされる。
借り手が金利を受け取れるのだから、これまでの金融市場の常識を覆す出来事と言える。
日本でマイナス金利政策が導入され始めたのは2016年1月。日本銀行と民間銀行の間での金利政策だが、民間銀行から企業への貸し出しを増やしデフレを脱却するために導入されてはや4年以上の年月が経過。この間、デフレ脱却どころか、日本では消費税率の引き上げや今年に入ってのコロナ禍で消費が落ち込みますます不景気が続く。
ゼロ金利を通り越しマイナス金利となる時代を横目に株式市場は今後どうなっていくのか、モノを保有していても価値を生まない時代。インフレに強いとされる株式だが、そうした視点では投資対象とはなり得ないが、理屈抜きでキャピタルゲイン狙いを求めてリスクマネーが市場を彷徨っている。
日銀や年金資金(GPIF)がETF買いを通じて市場から主力銘柄の株式を吸い上げてきたことで需給はタイトになり、コロナショック後のボトムから株価はジリ高歩調。多くの銘柄は同じ動きを見せつつあるが、個別にはPBR0.5倍水準の銘柄が数多く存在し、4%程度の配当利回りの銘柄も見出せる。
運用のプロである機関投資家のみならず個人投資家もますます投資対象を求めて動くことになりそうだ。
マイナス金利下での投資方法としてはインデックス連動型銘柄の変動をうまくとらえる方法、IPO銘柄への投資、マザーズなど新興市場銘柄投資、テーマ銘柄投資、好業績成長銘柄投資、キャッシュリッチなバリュー銘柄投資(以下の事例を参照)などいくつかのパターンが存在する。
それぞれにリスクは考えられるが、やりようによっては大きなリターンを上げるチャンスもある。
皆さんもしっかり研究し、運用成果を高めて頂きたい。
【参考:時価総額が現預金を下回っているテノックス】
テノックス(1905・JQ)
時価869円 直近高値930円 3月安値642円
同社の時価総額は現在約60億円。
3月安値時は44.4億円 直近高値時64.3億円
保有現預金は前期末93.3億円、1Q末88.9億円
建設基礎工事の大手企業。本年7月1日で設立50周年を迎えた企業。
コロナ禍で今期の業績が減収減益見通しとなる中で株価の頭重い展開が継続中。
4-6月期は54百万円の経常赤字となったが通期は680百万円(前期比▲42.3%)EPS61.8円を見込む。中間期11円、期末22円(うち10円が記念配)、年間33円(配当性向53.4%)の配当金が株価を下支え。時価の配当利回りは3.8%。
PBRは0.51倍、期末予想PBR0.49倍。
今期の業績ダウンで見切り売りが出て、流動性に乏しい中、先週は827円の安値まで売られる動きが見られた。大型工事の端境期を経て来期以降は大阪万博まで再び受注増を期待。
再び活躍する時期を2年後と見てじっくり投資するスタンスを堅持。
浮動株は12.9%で約100万株。8.7億円が売買の対象となる。自己株を除く筆頭株主は住商セメント、2位が三菱商事で現在の社長は住商出身。
保有現預金が約90億円(運営上必要な資金は50億円と推察)で自己株買いの余力は豊富。
中間期説明会開催については未定だが、何らかの形で通期見通しについての説明が求められるだろう。
(炎)
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