
こんな仕事をしていると、筋トレについていろんな質問を受けるわけです。たとえば、
- サプリはどれが最強?
- プロテインはトレ後30分以内じゃなきゃダメ?
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腕立て伏せの手幅を1cmずらすと効きが違う?
- 筋力が最もつく時間帯は?
- サウナは週2か週3か?
- トレ中に飲む水は常温か冷水か?
みたいなやつですね。もちろん、これらの要素を調整するのも無駄ではないんだけど、ここらへんはどれも完全な「小技」。過去の研究によれば、これらの要素をコントロールすることで、多少の差は出ることが確認されてるんだけど、あくまでどれも枝葉のレベルであります。木の幹を太くする前に葉っぱを磨いても大木には育たないんで、まずは筋トレの幹を太くすることを考えるのが先決なわけです。
で、このような筋トレの太い幹を、一部の研究者は「Big Rocks=大きな岩」などと呼んでおります。筋トレの成果は、いくつかの“基盤”となる要素に大きく左右されるため、まずはそこから動かさない限り、どんなに細部を磨いても意味がない、という考え方ですな。
まあ私たちが「小技」に惹かれちゃうのはしょうがないことで、そもそも人間の脳は「努力が少なくて済む方法」に自然と引き寄せられる傾向を持ってますからね。そのせいで、「たった1日5分で腹筋が割れる!」「筋トレの30分後にプロテインを飲むと筋肉が増える!」と聞いたら、つい飛びつきたくなるものなんですよ。これはしかたないところです。
さらに、ここにSNSやYouTubeの情報が拍車をかけまして、「最新サプリ!」とか「最強の回復法!」みたいな刺激的なフレーズのほうが拡散されやすいんですよね。結果として、私たちは“本質”ではなく“小技”に振り回されやすくなるわけです。
ということで今回は、筋トレの専門家が最も重視する「Big Rocks(大きな岩)」の3大要素を見ていきましょう。まずは筋トレの成果を大きく左右する“基盤”となる要素を押さえて、それをまず動かした後で細部を磨きましょう、ってことですな。当たり前ですけど、
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プロテインの摂取タイミングを気にする前に、「昨日はしっかり寝たか?」
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サプリを探す前に、「先週は何回ジムに行ったか?」
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フォームローラーを買う前に、「今日のメインセットに全力を出せたか?」
って感じで、“正しい順序”でトレーニングを行わないと、「大きな岩」は動かないですからね。なにごとも基盤が大事。
ただし、「筋肉を増やすためにに必要なこと」ってのは以前にもやったことがありますんで、ここでは「筋力をアップするにはどうすればいいか?」に的を絞ります。筋トレと言うと、つい「筋肉がどれだけ増えるか?」に意識が向かいがちなんだけど、実際に健康的な生活を送るために必要なのって筋力ですからね。
実際のところ、人間の健康・寿命・生活の質を根本から支えるのは筋肉の力よりも“筋力”でして、近年の研究でも以下の傾向があきらかにされております。
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長寿との関連:大規模な疫学研究では、握力や脚力といった「筋力の指標」が、死亡リスクや病気の発症リスクと強く関連することが繰り返し報告されている。筋肉量よりも“力を出せるかどうか”が寿命を左右する因子だと言える。
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ケガ予防と生活の質:日常生活のほとんどは「力の出し入れ」でできている。階段を登る、荷物を持つ、つまずいたときに体を支える──これらを安全に行えるかどうかは筋力に直結する。
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メンタル面の恩恵:筋トレによる「自己効力感の向上」や「うつ症状の軽減」もよく知られているが、その裏には“実際に体を動かす力がついた”ことによる自信が働いているとも考えられている。
ということで、つまり筋力ってのは、ただの筋トレ趣味の産物ではなく、人生100年時代を支える“保険”そのものだと申せましょう。
では、筋力アップに欠かせない要素を順番に見ていきましょうー。
大きな岩1.「努力──最強の基盤」
筋トレについて最もよく聞かれる質問のひとつが、「どんなプログラムが一番効率的ですか?」というものであります。たとえば「スクワットは週に何回が正解か?」「ボリュームはどのくらいがベストか?」みたいなやつですね。もちろんどちらも大事な疑問だし、最適解を探したくなる気持ちもわかるんですが、最新の研究を追いかけていてわかるのは、どんなプログラムも“努力”なしには成果ゼロということであります。
「はぁ?努力?そんなの当たり前じゃん!」と思った人も多いでしょうが、人間は「当たり前すぎること」をすぐ忘れてしまう生き物なので、あらためてここを心がけておくのはめっちゃ大事なんですよ。特に筋トレの世界では、サプリやテクニックの話が派手に取り上げられる分、「結局どれだけ本気を出せたか?」ってポイントがかすみがちになるんで。
ただし、ここで言う「努力」ってのは、「毎回限界まで追い込め!」とか「吐くまでやれ!」みたいな話とは関係がないので、そこはくれぐれもご注意ください。こういった昭和っぽい根性論にもとづいたトレーニングは逆効果になりやすく、毎回トレーニングで限界まで追い込んでしまうと、疲労が蓄積しすぎて継続できませんからね。ここで重要なのは「今日の自分にとってベストを尽くす」というスタンスでして、
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