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【第35回】Pの中の人おすすめの何か(福岡は今日も雨だった)【ジャーマネ】
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【第35回】Pの中の人おすすめの何か(福岡は今日も雨だった)【ジャーマネ】

2015-01-16 17:42

    みなさま、こんにちは|。・ω・)ノ
    「む」の寿退社により、中の人が私一人になって落ち込んでいるジャーマネです。
    この文章のUP日である2015年1月16日、私は福岡におります。
    所用で出張することになり、ついでに泊まりで観光もしてこようかとヾ(( °ω° ))/
    なんだか、読んだことあるなと思った方、こちらを読み返しください♪
    初の九州上陸。あいにくの雨ですが、心は躍っております(*´ω`*)ノ



    今回、ジャーマネは飛行機に乗って、人生で初めて九州の土を踏みました(`・ω・´)
    飛行機苦手な中の人は、離陸早々に寝入ってしまい、ほとんど記憶がないのですが(汗)。
    現代なら飛行機でひとっとびすればいいですが、昔の旅行はとっても大変だったはず。
    ましてや、海外に行くなんてことは、「命はないかもしれない」と考えるくらい、覚悟のいる事だったに違いありません。

    では、私たちの祖先である昔の日本人の方は、どのようにして旅をしたのでしょうか?
    初めて海外の国々に行った日本人は、現地でどのように受け入れられたのでしょうか?

    本日のおすすめは、この一冊(`・ω・´)キリッ


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    熊田忠雄著『そこに日本人がいた!』(新潮文庫)

    です。

    今回は、みなさんにあんまり縁がないかもしれない、でも、ジャーマネが大好きなノンフィクション本についてちょっと書きます(≧ω≦)

    この本は、さまざまな外国に「初めて降り立った日本人」のことを書いています。
    いつ、どこの国へ、どのようにして、私たちのご先祖様が旅したのか?
    旅行、留学、貿易、漂流、はては人身売買のような事例まで、とっても丁寧に資料たっぷりに描かれます。

    カバーに使われている写真は、初めてエジプトに行った日本人の使節団のご先祖様です。
    羽織袴にちょんまげ、刀を差して、神妙な顔つきでスフィンクスに乗っています。
    その巨大さには、きっと昔の人も驚いたことでしょうね。

    この本の面白さはたくさんありますが、私が一番好きなところは、全然名前の知らない人ばかりが取り上げられていること。
    夏目漱石とか、長州ファイブのような、歴史的偉人の方の話しはほとんど出てきません。
    もしかしたら、おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんの友達かも、と思うくらい、普通の人たちの話がほとんどです。

    アフリカのケープタウンに行った古谷さんは、現地で「ミカド商会」というお店をひらき、たくさんの人に日用品や食料を売りました。
    日本を出て一旗あげたい。そんな挑戦者精神で海を渡り、成功したご先祖様です。

    天草の人たちの話は、衝撃的です。
    昔から貧しい土地柄で、食べるのに精いっぱいで、だから隣人で助け合うキリシタン文化が根付いていった天草。
    彼らは、家族にご飯を食べさせるため、海外に出稼ぎに行きます。
    二度と帰れないだろうと想いながら、自分は見知らぬ土地に行く。
    そんな人たちが、たくさん、たくさんいたことが、資料からははっきりとわかります。
    彼らの多くが、船で東南アジアの各国へ向かいました。
    そして殆どの人が日本に帰れないまま、海外で亡くなりました。

    九州に着いたとき、まず真っ先に、私はこの天草の話を思い出しました。
    本州から九州へは2時間で、韓国や中国、もっと遠くの国へも、今はすぐに行くことができます。
    もし、当時の天草の人が今の状況を見たのならどう思うだろう……。
    そんな想像をせずにはいられませんでした。

    この本を初めて読んだ時、私は大学4年生でした。
    本の仕事に関われることになって、いろんなことを卒業までに知りたいなと思っていた丁度その時、人に勧められて読んだのです。
    一晩で夢中に読んで、私は卒業旅行で海外に行こうと決意しました。
    パックで同じ年代の学生との人たちと一緒に、ドイツ、イタリア、フランス、チェコ・スロバキア、オーストリアなどを、2週間ほど回りました。
    あの時の見たもの、感じたものが、時折、何かのきっかけで、意識の底から浮かび上がってきます。
    それが本の企画につながったり、著者の方との打ち合わせで笑い話になったりして、役に立っているんです。

    エンターテインメント作品と言われるものは、誰かに「面白い」と思ってもらえることがすべてだというような意味の話を、今回の福岡出張で打ちあわせした作家さんはおっしゃっていました。
    その点でいえば、この本は、私にとって最上のエンターテインメント作品でした。
    普段PHP-COMIX作品を読んでいる人には縁遠い本かもしれませんが、ちょっとでも気になった方がいたら、ぜひ手に取ってみてください。
    この本が窓口となって、みなさんの「面白い」と思うものの幅が広がったら、そして、自分がそういう本を編集者として世の中に出せていけたら嬉しいな、なんて思っています(*´Д`)


    今回の「Pの中のおすすめの何か」はここまでです(○´ω`○)
    今日は顔文字少な目でお送りしました!
    ご精読ありがとうございました!

    【ジャーマネ】

    PHP研究所 PHP-COMIXの編集および広報全般担当。各種WEBサイト管理人、Twitterの中の人として活動中。コミックスや小説も好きですが、どちらかと言えば、新書、ノンフィクションなどを好んで読みます。大学時代は新書ばっかり読んでいました。自分の面白いと思うものを、他の人が面白いと思うように形にするのは、本当に難しいなぁと頭を悩ませているアラサー編集者(;´Д`)


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    【第2回】 九井諒子さんの作品集×3作品
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    【第4回】 へんしゅうちょの机
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