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3月20日(水)、ずっと見たいと思っていながら、なかなか見るチャンスに恵まれなかった「アリータ:バトル・エンジェル」を鑑賞しました。いや都内複数の映画館で上映されているため、観賞しようと思えばできたのですが、どうしても「吹替版」で見たかったんですよね。私は声優ファンということもあり、吹替版のある作品は、可能な限り吹替版で鑑賞するようにしているのです。
「映画.com」で調べたところ、23区内での吹替版上映は終了。一番近い映画館が川崎のCINECITTA'(チネチッタ)で、上映時間が12時35分から14時50分でした。普通の社会人が鑑賞するにはハードルの高い時間設定ですが、私は無職みたいなものなので、チケットを購入。せっかく川崎まで行くので、ほかの映画もセットで見ようと思ったのですが、15時から16時までに上映開始される面白そうなタイトルがなかったため、映画の後は、映画以外の予定を入れることにしました。
※ここから映画のネタバレあり。
■木城ゆきと「銃夢」の思い出
「アリータ: バトル・エンジェル」の原作は、木城ゆきと先生の描くSF漫画「銃夢」です。単行本はもちろん、連載中は「ビジネスジャンプ」を購読するぐらいにはファンでした。あとOVAも鑑賞しているのですが、続編の方は全部を追えていない、という感じです。特に好きなのはモーターボール編ですが、TUNED編に登場したビュイックの述懐、そして最期にも感動しました。
というわけで、ジェームズ キャメロン氏が映画化権を獲得したというニュースを聞いて以来、ずっと待ち続けていたのですが、本当に満足できるクオリティーの作品でした。
特に良かったのは脚本です。原作の「ガリィ誕生」→「マカクとの決戦」→「ユーゴ編」→「モーターボール編」という流れには思い入れがあるし、とても良いと思っています。しかし、木城ゆきと先生も何かのインタビューで、最初からストーリーを考えていたわけではなく、成り行きに任せていた部分があると答えていたと記憶しているため、物語の再構成もありかなと考えていました。約2時間の映像にまとめるならば、エピソードを1つずつ消化していくのではなく、同時に複数のエピソードを展開させた方が面白いはずですからね。
原作のガリィは、ユーゴを失った悲しみからモーターボールに参加します。ここは物語の重要ポイントだと思いつつも、くず鉄町の2大人気スポーツで草レースも行われているとか言う割に、それまでモーターボールが描かれているシーンはほとんどなく、そこは唐突だなとも感じていました。ですから、ここに整合性を持たせた映画の脚本は、本当に素晴らしいと感じたのです。
■聞こえてきた「分からなくない?」という声
バトルシーンも迫力があり、原作の印象的なカットも再現されている。不満があるとすれば、「馬借戦記」も映像化してほしかったので、ノヴァの立ち位置とかザレム人の脳みそとか、続編のハードルは高そうだな、ということぐらいでした。
しかし、映画が終わった後、隣にいた若い男性が友人に「ちょっと分からなくない?」と話し掛けるのを聞いてしまったのです。「え!?そんな分かりにくかったかな~」と動揺したのですが、冷静に考えてみると、原作を読んでいないと分かりにくいシーンがあったのかもしれない。
そこで映画のストーリーを思い返してみたのですが……。よく分からなかった箇所を挙げるならば、それはノヴァの動機でしょうか。チレンはザレムに戻りたい。ベクターはアイアンシティの権力者でありたい。それは分かるのですが、ノヴァの動機は何でしょうか?
原作のノヴァは、ザレムにはない脳を求めて地上に追放されたわけですが、映画のノヴァはなぜ、わざわざベクターを通じて脳を収集する必要があったのか。300年前から存在するザレムの支配者ならば、そんな裏口を使わなくても、堂々と脳を収集できるのではないかという疑問が1点。
また、URMのターゲットになるぐらいなので、相当な悪人のようですが、映画を見た限りでは“嫌な奴”で個人的な“復讐の対象”ではあるものの、排除しなければならない“巨悪”という感じがしない。個人的な復讐を成し遂げる(決意をする)物語でも問題はないのですが、それにしては話が壮大すぎる。もし第2部があったら、ノヴァがアリータに「I am your father.」とか言い出しかねない。なぜノヴァがアリータに興味を持っているのか、その辺りの説明も少なかった気がします。
とはいえ、そういう細かいことはさておき、原作ファンである私としては納得のクオリティーだったので、吹替版でも字幕版でも、とにかく鑑賞をお勧めします。
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